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Googleの新規事業を考えるワークで、アーティスティック・インターベンションを理解する

この記事では、MBAの講義で行った、 Googleの新規事業の提案を通じてアーティスティック・インターベンションを理解するというワークについて紹介します。

Google ATAP Jacquardプロジェクト


GoogleにはATAP (Advanced Technology & Projects)と呼ばれるハードウエアの開発を行っているチームがあります。このチームには、エンジニア、サイエンティスト、アーティスト、デザイナーなど多彩な人たちが参加していて、革新的なプロダクトを創ることにチャレンジしています。

Google ATAPが創ったプロダクトの一つに、ジャケットやバックパックなどのアパレル製品とデジタルを繋げる「Jacquard」というものがあります。

ATAPのチームは、最初に導電性の繊維を開発しました。そして、Levi'sとのコラボレーションで、導電性繊維を編み込んだデニムのジャケットを作りました。袖口に小さな「Jacqurd Tag」を埋め込みます。袖を手でタップすると、「Jacqurd Tag」から信号が送られ、スマートフォンを取り出さずに、音楽を再生したり停止したりといった操作ができるのです。

アメリカでは自転車通勤している人が多く、この機能は非常に便利です。

「Jacquard」プロジェクトには、日本人アーティストの福原志保さんが参加していました。Googleは、情報を全て集約して均質化することをビジネスのコンセプトにしています。一方のファッションは、個性を生み出す手段で対極にあるとも言えます。福原さんは、伝統的なアパレル企業であるLevi'sに学べきと考え、このコラボレーションを提案したそうです。


アーティスティック・インターベンションに挑戦する


アーティストが企業に変革をもたらし、新しい事業を起こすきっかけとなる、これがアーティスティック・インターベンション(Artistic Intervention)と呼ばれるものです。

私が講義をしているMBAで、先日、アーティスティック・インターベンションの説明をしました。その中で、この「Jacquard」の説明の前に、次のようなワークを行いました。

「あなたがアーティストとしてGoogle ATAPに加わったとしたら、どんな提案をしますか?」

提案の条件として、次の2つを設定しました。

  • Googleのエンジニアが思いつかないであろう事象

  • Googleが実行する意義のある提案であること

グループディスカッションで議論してもらいました。非常に短い時間で考えてもらったにも関わらず、各グループ、ユニークなアイデアを出してくれました。

中でも私のお気に入りは「パティスリー」の提案でした。
その日の歴史などをAIが調べて今日の一品を決め、Doodleのように日替わりで1種類のケーキを提供するというものです。
今日のケーキの謂れを書いたカードも一緒につけたりすることで、デジタルの世界の情報を、リアルのしかも食べられるものに変換するというのは面白いですね。

逆に、毎日提供しているケーキをインターネットにアップして蓄積していくと、世界ケーキ事典を創ることもできます。

アーティスティック・インターベンションで思考を飛躍させる


普段ビジネスの場で活動している人が新規事業を考えると、実現可能性や収益性が気になってしまうものです。そこで、今回のように、アーティストとして、Googleの人が思いつかないことという条件で考えると、飛躍したアイデアが出てくるようになります。

私の講義では、時々、アーティストにゲスト講師として来てもらっています。アーティストが入って議論すると、ビジネスパーソンが思ってもいないようなコメントが炸裂し、もっともっと飛躍した思考があるということの気づかされるのです。

さて、皆さんがアーティストだったら、Google ATAPにどんな提案をしますか?



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