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短歌・詩・俳句

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短歌・詩・猫を中心とした川柳などを掲載しています。
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#今日の短歌

今日の短歌

今日の短歌

見出しの画像は数日前の富士山の写真です。
雪がだいぶ積もり、朝の光を受けています。夏の朝に山の地肌が赤く色づくのを赤富士と言うのに対して、こんなふうに冬の朝に山の雪が紅く色づくのを紅富士と言うのだそうです。あまり綺麗な写真ではありませんが。

昨日、今日は暖かい春のような一日でした。

窓に午後の木漏れ日は揺れ 本を手に冬がちひさく欠伸をしたり

明日からまた寒波がやってくるようです。
春が待ち遠

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今日の短歌

今日の短歌

晩秋になりました。
朝晩はかなり冷え込みますが、日中は心地よい日差しが注いでいます。

■ 樹が腕を空に伸ばしてつかもうとしている青さ、冬がまぶしい

■ 凋落は美しきこと 木々の葉は命を終えて色づきにけり

■ 白銀にすすきの原は風に揺れ 肉親こそが最も遠い

■ なすすべもなく夕暮れの雨に濡れ ただ権力に無言なる街

■ 反戦ポスターは雨に濡れながら  ただ降りしきる雨を見ている

■ 雨が迷

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お弁当と鬱の歌

お弁当と鬱の歌

先週の金曜日のことでありました。

家に帰って弁当箱をカミさんに手渡そうとしてバックから出したとき、その重さに「オレは今日、昼飯を食べなかったんだ」と気づいたのであります。

教員にとって昼休みはあってなきようなものであって、以前にもそんなことはあったのですが、その日は別に何も忙しいこともなく、ただただ昼飯を食べなかったことに夜になって気づいたのでありました。

「お弁当を食べなかったみたい。ごめ

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台風10号

台風10号

猫は時期によって居場所を変えますが、我が家の猫はこの夏の後半は、午前中、僕の机のすぐ横でソファーに転がって惰眠を貪り、

午後は、車の屋根で惰眠を貪り、

夕方、日が傾くと「にゃーお」と呼びにきて僕を散歩に連れ出し、
(最近、なぜかこのスフィンクス座りが多くなりました)

夕食時には席について「私のごはん」を要求し、

ご飯が済むと、また、今度は車のボンネット?で惰眠を貪り、

夜中はどこにいるの

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母を知らぬ十七の夏 拾い猫

母を知らぬ十七の夏 拾い猫

日記です。

初夏。辺りの風景も家の庭も、初夏は緑と白の世界です。

ブルーベリーもびっしり実をつけています。

暇つぶしに?家の庭の隅を使って、家庭菜園を始めてみました。

猫と散歩をしていると川の中をカルガモの親子が歩いていました。

今日は多分、我が家の猫の誕生日です。
捨てられていたのを拾ってきたので正確な誕生日は分かりません。
あの日から、もう17年。
相当なオバアチャンなのに、めちゃく

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第276話:反戦の歌

第276話:反戦の歌

白菜はラファ砲撃を告ぐる日の記事に包まれ厨にありき

 戦争を歌うのは難しい。

白き雲穏やかにゆく空は青く ミャンマーで人が死んでゐる

 反戦を人に伝えるのも難しい。

高校生に反戦をどう語るかも実は難しい。

ロシアがウクライナに侵攻した時、「この時代にそんなことが起こるのか」という衝撃と同時に、みんな「自分に何もできない無力感」に駆られていた。

「祖国のために銃を取る」というウクライナの

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第268話:ネガティブ・ケイパビリティ

第268話:ネガティブ・ケイパビリティ

バイク飛ばす国道は雨すぶ濡れの顔が体が闇にめり込む

定年前まで980ccのバイクであちこち走った。何年か前からは日本一周一筆書きを目指し、距離を稼ぐために朝から夜まで海岸線をひたすら走った。いつも片方は海、片方は山、どんなに有名な観光地があっても基本は立ち寄らないみたいな走り方で。
冒頭の短歌はその頃の歌。暗い夜の雨の中、海岸沿いの道を飛ばす。その時の、まるで闇の中に身体が減り込んでいくような感

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迷子

迷子


誰も僕を知らない街でただ僕は迷子になっていたかったのだ

死にたいと思ったことはただの一度もないが、
どこかに行ってしまいたいと思ったことなら数えられないくらいある。

群青の思惟

群青の思惟

生きるとは群青の思惟 はつ夏の海からの風身に受けて立つ

ご無沙汰いたしました。慌ただしさの中でしばらくnoteをおやすみ、というより、「えーい、やぁ」と放棄してしまいました。コメントやスキをいただいた方には大変申し訳のない次第だと心苦しく思っています。
やっと通常に近い生活に戻れそうな気がしますが、ついてしまった怠け癖はなかなか消えないかもしれません。

新年度の混乱、文化祭体育祭もありましたが

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第271話:岡本真帆の短歌

第271話:岡本真帆の短歌

朝の雨 夢に重ねた唇のかたちを探していて雨だれ

62歳のジジイの作る歌ではなかろうと叱られそうな・・。

空前の短歌ブームだ!
と、ちょっと前のNHKのクローズアップ現代でやっていて「へー、そうなんだ」と思いました。
読むのは入試問題ばっかりの昨今で、ろくに短歌の現状も知りません。そんなことをそんなことでやっと知ったのですが、岡本真帆さんという方の次の歌が話題になっているらしく、

ほんとうにあ

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金目鯛と孤独

金目鯛と孤独

威張りたい人には威張らせておいて金目鯛つっついている

世の中にも職場にも
自分が正しいと思っている人が何人もいて
自分の「自説」と「自慢」を語る。
それで僕は
そういう時には
ポケットにパチンコ玉を忍ばせておいて
それで耳を塞ぐことにしている。

でも、
そういう声の大きい人の考えが
なぜか「正論」のように受け入れられるから
つくづく不思議な社会だと、
そう言ってみたい自分の正しさに
みみっちく

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第250話:母

第250話:母


「あんたは誰?」と母が言うので「ああ僕はあなたの子だ」と言ってはみたが

母の痴呆は進んでいる。

僕は実家を離れていて一番上の兄に母のことは任せっきりになってしまっているが、家に帰るたびに兄からは愚痴がこぼれる。

「店に行って勝手にパンを食べてしまう」とか
「庭でいろんなものに火をつけてしまう」などなど。
以前には、階段を頭から落ち救急車で運ばれたと突然電話がかかってきたこともあった。幸い頭

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栗ご飯

栗ご飯

哀しみは透明なビンに詰められて駄菓子屋に並んでいるマーブルチョコ

透明なビンにこっそり溜めてきた哀しみがもうあふれてしまう

まるで思春期の中高校生が歌うような感傷的な歌かもしれません。
でも、61歳になっても、精神は18歳?。成長しません。

それでも、日々はそんな感傷に浸れるほどの余裕もなく、怒涛のように過ぎていきます。
そんな自分にちょっとご褒美。

がんばって今日生きました栗ご飯

秋

ふと僕はここに置かれて夕暮れの野の寂しさに包まれていた

夕暮れの光に僕が包まれて消えゆくまでをじっと見ている

輪郭は次第しだいに奪われていつか私は芒であった

秋は何故が自分の存在が希薄になるような、そんな気がしてなりません。

蛇足です。「秋」を調べてみました。

■秋の「語源」
『日本国語大辞典』には12の諸説が紹介されています。
➀食物が豊かにとれる季節であることからアキ(飽き)の義

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