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短歌・詩・俳句

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2021年3月の記事一覧

第216話:定年退職

第216話:定年退職

2021年3月、これは単なる個人的な日記です。

今日、学校では離任式があり、基本的には本日をもって定年退職ということになりました。永年勤続ということで表彰状ももらいました。記念品はボールペン一本でした(笑)。

38年働いたか・・みたいに改めて思ってみましたが、振り返れば、あっという間の出来事であったような気もします。

学校は4月から翌年3月までの年度単位の動きをしているので、勤務した最後の1

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7万円のご飯

7万円のご飯

僕は夕食でも一食1000円を超えるとビビり、昼ごはんは500円を超えるとビビるのであって、それ以外に選べない時には仕方なく注文するが、迷うチャンスがあればそれらは95%の確率で素通りする。飲む時は別だが。
カミさんの作ってくれる弁当を持ち、仕方なくコンビニで買う時にはおにぎり2個で頑張る。ガソリン代を節約するためにクーラーは余程の雨の日以外はつけず、お酒も4リットルのペットボトルの焼酎で我慢。

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▲🟡(詩)定時制卒業→第133話

▲🟡(詩)定時制卒業→第133話

「まおまおー」

H君の当番日誌はいつもたったひと言

5目7日 「だあー」
6目20日 「みゃー」
10月8日 「だおー」
11月25日 「まおまおー」
1月30日 「にゃむー」

恐ろしいほどの意味不明
まったく途方もない「無意味」である

しかし僕は
毎回これらの意味不明に付き合いながら
いつしか次をひそかに期待している自分に
気が付いたりもした
そして、「まおまおー」を見るにいたって
稲妻

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▲▲🟢春のさみどり:短歌

▲▲🟢春のさみどり:短歌

触るるとき その身の琴を響かせて をみなといへる 春のさみどり

🟢過剰:短歌

🟢過剰:短歌


海つよくにおえば海を見やりたり  俺の過剰をどうすればいい

迷ったり、揺れたり、自分からこぼれ出してしまう自分をどう扱っていいのかわからない時がある。

🟢数千の耳:短歌

🟢数千の耳:短歌

数千の耳 闇の野にひらかれて 余さず愛は聴かれてゐたり

🟢ほろほろと酒に飲まれて:短歌

🟢ほろほろと酒に飲まれて:短歌

三半規管に梟の来て鳴く夜をほろほろと酒に飲まれてゐたり

酒は嫌いではないが、
さほど強くはない。
さほど好きなわけでもなかった。

ところが、この10数年
毎晩、酒を飲むようになった。

「あること」があった。

その「あること」とは秘密なのだが、
無論、失恋ではない。
その日以来、僕は酒を飲んで
今日を忘れなければ眠れなくなっている。

初めの頃はビールだった。
ヱビスビール。
お金がもたず、

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▲広重の雨→鬱の心象にまとめ

▲広重の雨→鬱の心象にまとめ

[ 鬱の心象 ]

驟雨いま晩夏の街を白く打ち すばやく耳ゆ すべり入る鬱

広重の雨 その明確な直線の 鋭く鬱は さし迫りにき

今回は激しい「鬱」を詠んでみました。
夏の終わりに 突然の驟雨がアスファルトを叩きつけている。
忽然と胸に走った緊張と、押しつぶされるような圧迫感。
なぜ不安なのだろう。
わかるわけもないのに、どうしても、そう問うてしまう。

二首目も同じ趣。
広重のイメージを借りて

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🟢海月:短歌

🟢海月:短歌


生きるとは ただ漂ふてゐるだけの ふはりふはりと ふはりと海月

水族館は落ち着きます。

「初デートはどこに行く?」と生徒に聞くと、
「ディズニーランド」とか答えるので、
「お子ちゃまだねえ。水族館がいいぞ」と言ってやります。

彼女と面と向かって話をするのはなかなか照れくさいけれど、
水槽を二人で並んで眺めて、そこに魚たちがゆっくり泳いでいて・・。
ちょっと暗いし・・手なんか握っちゃう?・・

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🟢違和感:短歌

🟢違和感:短歌

掌のうちにちひさき闇をあたためて組織に生きる日々こそ流離

「流離」とは「さまよう・さすらう」ことです。
社会という現実のなかを、掌の中に握りしめた「闇」を隠し(守り)ながら生きているような気がします。

🟢性の心象:短歌

🟢性の心象:短歌

すずやかになめらかにゆく月の川 身に流す野を をみなといへり

触るるときその身の弦を響かせてをみなといへる春のさみどり

手で足で胸で頭で 下にゐる 君の孤独を感じてゐたり

▲🟢鬱の心象:短歌

▲🟢鬱の心象:短歌


とりとめもなくなつかしい手触りのたとへば耳たぶのやうだ 鬱は

君のお腹に顔を埋めているやうな やはらかきやはらかき 鬱

🟢土竜が海を見ている:短歌

🟢土竜が海を見ている:短歌

寂しさもふわりふわりとあたたかく もぐらが海を見ていそうな日

広い意味では
「春の海ひねもすのたりのたりかな」(蕪村)
の本歌取りと言ったところでしょうか。

のんびりゆったりした春のふわっとした空想。
「もぐらが海を見ている」そんなこともあるかもしれない・・と。