- 運営しているクリエイター
#小説
浜田広介「泣いた赤おに」(オマージュ短編)
「ひろすけ童話」と呼ばれ、今もなお親しまれる、美しい童話の数々。
代表作「泣いた赤おに」の、続きの物語を書きました。
どのくらいの間、赤おには、そうしていたでありましょう。
朝つゆにぬれていた、やまゆりが、日ぐれのひかりにてらされました。
赤おには、ついに、とぼとぼと、がけの下のじぶんの家に、帰って行きました。
次の日も、その次の日も、村人たちは、赤おにの家に、やってきました。
赤おには、おい
短編小説「銀河ステーション」後編《銀河鉄道の夜》オマージュ作品
※宮沢賢治「銀河鉄道の夜」をオマージュし、賢治の文章を時折ちりばめて書いたものです。
『銀河ステーション、銀河ステーション…』
突然、暗い夜空に不思議な声が響き渡りました。
次の瞬間、賢一はあまりの眩しさに目が開けられなくなりました。
空はもう明るいなんてものではありません。まるでよく晴れた日の雪景色のように、しかしそれの何倍もの明るさで、辺り一面が真っ白になりました。
そして気が付くと、
短編小説「銀河ステーション」前編《銀河鉄道の夜》オマージュ作品
※宮沢賢治「銀河鉄道の夜」をオマージュし、賢治の文章を時折ちりばめて書いた、短編小説です。
中学校の休み時間にクラスメートが言いました。
「賢一、お前今日の花火、来れるか?」
クラスの男子数名で、近所の公園で花火をやろう、と前々から計画していたのです。
「あ…うん、行かれれば。あっ行きたいんだけど…でももしかして母さんの仕事が…」
「やっぱ、どうせ来ないでしょ。まあ、一応言っとくけど、集
うすっぺらな街 【短編小説】
【駅のホームで出会った不思議な少年にいざなわれ、『俺』は冬の夜空へ飛び立った。
渋谷のスクランブル交差点、上空。俺は足元の光景に目を奪われていた。
多くの人が紙でできているかのように、厚みが無かった。
気付けば街の雑踏に混じって、ぺらんぺらんという音が辺りに響いていた。かさかさ、紙の擦れ合うような音も聞こえてくる。
その軽い音は、枯葉を踏んで歩く音に似ていた…】
***
俺は、まだ薄暗い駅