倉田そら

創作大賞2024の中間発表に残っていた作品は、残念ながら入賞できませんでした…。 作品は読後感の良いものを…と心がけています。だって自分がそういうものが好きなので…!

倉田そら

創作大賞2024の中間発表に残っていた作品は、残念ながら入賞できませんでした…。 作品は読後感の良いものを…と心がけています。だって自分がそういうものが好きなので…!

マガジン

  • 短編小説

    ちょっと不思議な短編を集めました。

  • 【連載小説】美容室「ヨアケ」、開店します。

    美容室「ヨアケ」には、ある「ひみつ」が隠されている。 それは、もし知られてしまえば全国から客がひっきりなしに押し寄せるような「ひみつ」だった。 ただ会う、だけではない。 “ 本当の意味で ” 誰かに逢いたいと望んだとき。 その人には、美容室「ヨアケ」から知らせが届くかもしれない。

  • エッセイ

    エッセイはこちらで読めます。

  • 【短編小説】公園の海に、ボートをうかべて

    いつもの帰り道の公園が、突然海になっていた。 家族の待つ家に、なんとなく足が向かなくなってしまった夜。 不思議な夜の公園に迷い込んだ恭介は、公園の海に漕ぎ出した…。

  • 短編小説「銀河ステーション」(オマージュ作品)

    宮沢賢治「銀河鉄道の夜」をオマージュし、賢治の文章を時折散りばめて書いた短編です。 中学三年生の「賢一」は、母親と三人暮らしだった。 小さな妹の面倒をみなければならないため、付き合いの悪い賢一から友達も離れていく。 鬱々とした日々を送っていたある日。 家を飛び出した賢一は、美しい銀河を走る列車にひとり乗り込んだ…。

最近の記事

  • 固定された記事

倉田そら 【 作品紹介 】

創作大賞2024のファンタジー小説部門、中間発表に残っていた作品『美容室「ヨアケ」、開店します。』は、残念ながら入賞することができませんでした…。 気にかけていて下さった皆さんに良い報告ができず、すみません…。 しばらくはクヨクヨしてみよっかな。し尽したらまたよっこらしょと頑張ります。 ありがとうございました! せっかくなので (なんのせっかく?) これを機に、いくつか過去作のご紹介をしたいと思います。 もしご興味ありましたら、読んでいただければ幸いです。 ※一部、公

    • 【#18】連載小説 『 美容室「ヨアケ」、開店します。』 (第4章 「おそいけど、おそくない。」5話)

      前回 シリーズの最初から読む  この章の最初から読む  次回 「………!!!」 坂本は、あーちゃんの横に立っていた女性達の姿に、驚きのあまり声もでなかった。 二人は、坂本の母親と叔母だった。 けれどよく見てみると何かおかしかった。年齢は今よりだいぶ若く、坂本が小学生くらいのときの年代に見える。 しかも二人の身体は、うっすらと透けていた。 母親は当時の髪型で長い髪を後ろで束ね、エプロンを着けていた。 叔母はテロテロとした生地の、坂本が密かに観光バスのシートの柄みたい、

      • 【#17】連載小説 『 美容室「ヨアケ」、開店します。』 (第4章 「おそいけど、おそくない。」4話)

        「ねえ、あーちゃんは?」 末継もいなかったので、あーちゃんも一緒に帰ったのかな…と思いつつ、坂本は隣にいた新城に聞いてみた。 「オーナーもいないなら、一緒じゃないっすか?」 「そっか…そうだよね」 「おっ!リーチだ」 新城が言うと、「私もーっ!」と、荒井が叫んだ。 坂本はそれでも何となく気になり、末継の携帯に電話してみた。 「…出ない」 そっと席を立ち、入り口のドアを開け通りに出てみる。真冬なので日暮れが早く、五時台だったが外はもう暗かった。 坂本は通りを見渡

        • 【#16】連載小説 『 美容室「ヨアケ」、開店します。』 (第4章 「おそいけど、おそくない。」3話)

          坂本は二人兄妹で、五つ上に兄がいた。 歳が離れているのでほとんど一緒には遊ばなかったし、そもそも趣味も性格も全く合わなかった。 今でこそ気が強くはっきりしている坂本だが、幼い頃は無口で自己主張はほとんどしない子だった。 長男、ということで兄がいろいろな面で優遇されており、坂本自身もその頃はそれが当たり前、長男を立てなくちゃいけないんだ、と思っていた。 そして、兄に何でも譲ることを覚えた。 そこにいたの?居るんだか居ないんだか分からなかった、と家族にまったく悪気無く言われる

        • 固定された記事

        倉田そら 【 作品紹介 】

        • 【#18】連載小説 『 美容室「ヨアケ」、開店します。』 (第4章 「おそいけど、おそくない。」5話)

        • 【#17】連載小説 『 美容室「ヨアケ」、開店します。』 (第4章 「おそいけど、おそくない。」4話)

        • 【#16】連載小説 『 美容室「ヨアケ」、開店します。』 (第4章 「おそいけど、おそくない。」3話)

        マガジン

        • 短編小説
          17本
        • 【連載小説】美容室「ヨアケ」、開店します。
          18本
        • エッセイ
          19本
        • 【短編小説】公園の海に、ボートをうかべて
          3本
        • 短編小説「銀河ステーション」(オマージュ作品)
          2本
        • 【連載小説】ぼくは、なつやすみの『すきま』に入った。
          5本

        記事

          【#15】連載小説 『 美容室「ヨアケ」、開店します。』 (第4章 「おそいけど、おそくない。」2話)

          前回(#14) シリーズの最初から読む  この章の最初から読む  次回(#16) 店の入り口から通りに出て壁沿いのシャッターを開けると、地下に続く短い階段がある。 そしてその奥が、十畳ほどの倉庫になっていた。 坂本は怖かったので大きな目を細め、あまり周囲を見ないようにしながら倉庫に入った。 電気をつけたが蛍光灯が古くなっているらしく、少し薄暗く感じた。   コンクリートの壁際にはスチール製の棚が並び、ダンボール箱やパーマやカラー剤などの在庫、なにやらよく分からない箱、ウ

          【#15】連載小説 『 美容室「ヨアケ」、開店します。』 (第4章 「おそいけど、おそくない。」2話)

          【#14】連載小説 『 美容室「ヨアケ」、開店します。』 (第4章 「おそいけど、おそくない。」1話)

          美容室 『ヨアケ』には、ある「ひみつ」が隠されている。 それはもし知られてしまえば、全国から客がひっきりなしに押し寄せるような「ひみつ」だった。 だけど今のところ「ひみつ」は秘密のまま、美容室の奥底に隠されていて、 「ヨアケ」は、ごく普通の商店街の片隅にあり、平凡な様子で今日も通りを見下ろしていた。 コトリ… 昼間でも薄暗い倉庫に、物音が響く。 美容室「ヨアケ」の、地下倉庫。 奥の方にアンティークの立派なスタイリングチェアと、美しい彫刻が施されたドレッサーが置かれてい

          【#14】連載小説 『 美容室「ヨアケ」、開店します。』 (第4章 「おそいけど、おそくない。」1話)

          シリーズ 【ふせんをはりたい、ことばたち。】 #10 『おはし持つ元気がなかったら、おにぎり食べるの』 (ドラマ「海のはじまり」のことばより)

          先日、最終回を迎えたドラマ「海のはじまり」。 生方美久さんの脚本、村瀬健さんの演出です。 「silent」や、「いちばんすきな花」も素晴らしかったので、今回も期待していましたか、期待以上でした。 とても深く考えられた脚本、妥協しない美しい映像…。 役者さんの表情にも毎回心を動かされていました。 物語は、主人公の「夏」が、大学の頃お付き合いしていた水季のお葬式に行くところから始まります。 そこで、自分と水季との間に小さな娘「海」がいることを、初めて知らされるのです。 大学生

          シリーズ 【ふせんをはりたい、ことばたち。】 #10 『おはし持つ元気がなかったら、おにぎり食べるの』 (ドラマ「海のはじまり」のことばより)

          【#13】連載小説 『 美容室「ヨアケ」、開店します。』 (第3章 「はい、どーじょ。」5話)

          ライブの数週間前、ヨアケの定休日のことだった。 吉祥寺はアパートの部屋で大の字になり、昼寝をしていた。 静かで、時折、遠くを走る車の音が聞こえるだけだった。 軒先には洗濯物がそよ風に揺れていたが、その中の一枚のシャツが、すこし不自然に動いた。その陰に何かがいたからだった。 シルバーグレーの毛並みの、美しい猫だった。 猫は、窓の外の柵に乗り、カギの掛かっていないガラス戸を前足で器用に開けると、音もなく入って来た。 口に何か手紙のようなものをくわえていて、それをそっと近くの

          【#13】連載小説 『 美容室「ヨアケ」、開店します。』 (第3章 「はい、どーじょ。」5話)

          【#12】連載小説 『 美容室「ヨアケ」、開店します。』 (第3章 「はい、どーじょ。」4話)

          「お願いって?」 智子が聞いた。 「入江さんって、シュガポのファンクラブ、確か入ってましたよね?」 「うん、もちろん入ってるよ!…あ、今度ライブやるって発表されたよね!」 「シュガーポット」略して「シュガポ」とは、最近人気の上がって来た男性アイドルグループで、吉祥寺は大ファンだった。智子も家族で応援している。 テレビ出演の次の日などは、「昨日観ました?!」「うん!観たよー!ダンスめちゃめちゃかっこよかったね!」などと、二人で盛り上がったりしていた。 「あの~僕、今

          【#12】連載小説 『 美容室「ヨアケ」、開店します。』 (第3章 「はい、どーじょ。」4話)

          【#11】連載小説 『 美容室「ヨアケ」、開店します。』 (第3章 「はい、どーじょ。」第3話)

          「ところで吉祥寺くんて、あの……出身って、どこ?」 「えーと、僕、東京です!」 「あ、東京?!そっかー、なんだー」 「えっ?」 智子が急に大きい声を出したので、吉祥寺はきょとんとしていた。 「あっ、ごめんごめん。そっか、東京なんだね」 「僕、一人っ子で、じいちゃんばあちゃんに育てられたんですけど、あんまりうまくいってなくて…今は一人暮らしです!」 「そうなんだね」 智子はほっとしたような、がっかりしたような、複雑な気持ちだった。 (そっか…東京なんだ…)

          【#11】連載小説 『 美容室「ヨアケ」、開店します。』 (第3章 「はい、どーじょ。」第3話)

          【#10】連載小説 『 美容室「ヨアケ」、開店します。』 (第3章 「はい、どーじょ。」第2話)

          よく手入れされたシザーが、まるで末継の手の一部かのように滑らかに動いている。地肌には触れられていないのに、心地よく柔らかな空気に包まれているような感覚がした。 シャキシャキ、カチッ、とシザーがリズミカルに鳴る音も、楽しげな音楽のようだった。 今まで見てきたどんな美容師とも違っている。 あまりにも鮮やかで、吉祥寺が文字通り口をぽかんと開けて見とれているうちに、カットは終わってしまった。 「す、す、す…すげぇ!!!」 末継は二つ折りの鏡をワゴンから取ると、後ろや横の部分も見

          【#10】連載小説 『 美容室「ヨアケ」、開店します。』 (第3章 「はい、どーじょ。」第2話)

          【#9】連載小説 『 美容室「ヨアケ」、開店します。』(第3章「はい、どーじょ。」第1話)

          美容室 『ヨアケ』には、ある「ひみつ」が隠されている。 それはもし知られてしまえば、全国から客がひっきりなしに押し寄せるような「ひみつ」だった。 だけど今のところ「ひみつ」は秘密のまま、美容室の奥底に隠されていて、 「ヨアケ」は、ごく普通の商店街の片隅にあり、平凡な様子で今日も通りを見下ろしていた。 「はい、どーじょ。」 「ありがとう。」 何かを握りしめた、自分のちいさな手。細くやわらかな手が、それを優しく受け取る。 ふわっと、何かの匂いがする。…なんだ? あなた

          【#9】連載小説 『 美容室「ヨアケ」、開店します。』(第3章「はい、どーじょ。」第1話)

          続編、もうすぐ出せると思います! 【美容室「ヨアケ」、開店します。】 今回は2章の最後にちょこっとだけ出てきた、吉祥寺くんという男の子にまつわる物語です。 1、2章は、ありがたいことにnote創作大賞の中間発表に残っています…!ドキドキ…! 読んで頂けたら嬉しいです…!

          続編、もうすぐ出せると思います! 【美容室「ヨアケ」、開店します。】 今回は2章の最後にちょこっとだけ出てきた、吉祥寺くんという男の子にまつわる物語です。 1、2章は、ありがたいことにnote創作大賞の中間発表に残っています…!ドキドキ…! 読んで頂けたら嬉しいです…!

          の、の、note創作大賞の、ファ、ファ、ファンタジー部門の中間発表に、の、の…残っているのを今見つけて、震えてます… https://note.com/soranosusuki/n/n81f62c127855?sub_rt=share_b

          の、の、note創作大賞の、ファ、ファ、ファンタジー部門の中間発表に、の、の…残っているのを今見つけて、震えてます… https://note.com/soranosusuki/n/n81f62c127855?sub_rt=share_b

          小豆島の旅 #6 (最終回)【からかい上手の高木さん】 「えっ、推し活ってこんなにしんどかったっけ?!」日記

          「ここだよ!」 「いや、ここじゃないよ」 「ここっぽくない??」 「いや、ちがうね。だって、ここの形が違うじゃん」 「ほんとだ。じゃ、あっちかも?!」 「えー?!違うでしょ??」 何の会話かというと… 「観光スポットではないので非常に見つけにくい、推し活スポットを探しているときの会話」 です。 そんな感じで、次に探していたのはこちら。 (ちなみに2024年9月現在、Netflixでドラマ版とアニメ版が観られます。ご覧になる方は、期限などをお調べ下さいね)

          小豆島の旅 #6 (最終回)【からかい上手の高木さん】 「えっ、推し活ってこんなにしんどかったっけ?!」日記

          小豆島の旅 #5【からかい上手の高木さん】 「えっ、推し活ってこんなにしんどかったっけ?!」日記

          (たった1日のことを、この人ったらこんなに長く書いて…とあきれられそうですが…! もうしばらくお付き合い下されば嬉しいです。) 前回までの日記はこちらです。 さて。 ルートをミスって、進むか、引き返すかの選択を迫られた私たち。 現在14時半。帰りのフェリーは17時15分です。 「なーんだ、2時間45分もあるじゃん、余裕でしょ?」 と思うかもしれませんが… まず一つめ。 フェリーはやっぱり、港に早めに到着してないと怖い。理想は30分前。ギリギリでも15分前には着い

          小豆島の旅 #5【からかい上手の高木さん】 「えっ、推し活ってこんなにしんどかったっけ?!」日記