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小説あれこれ

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#小説

テッド・チャン「息吹」

21世期の最も重要な作家のひとり、テッド・チャン。「あなたの人生の物語」以来、17年(!)ぶり2冊目の短編集です。寡作にもほどがあるだろう、と言いたくなりますが、これだけ密度の濃い傑作が詰まった短編集はそうあるものではないでしょう。
卓抜な着眼点、論理的で明晰な文体、巧みな語り口によって科学の最新知見を元にした複雑な話もスムーズに読ませてしまいます。プロットによっては、シニカルになったりペシミステ

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イタロ・カルヴィーノ「冬の夜ひとりの旅人が」

言葉の魔術師と評された、イタリアの作家、イタロ・カルヴィーノの最後の長編です。
カルヴィーノの長編は毎回趣向が凝らされているのですが、本作のそれはメタフィクションによる読書論。
こう書くとややこしく感じる方もいるかもしれませんが、彼の魅力的な語り口は難解さを感じさせません。
本作の書き出しはこうです。

<あなたはイタロ・カルヴィーノの新しい小説『冬の夜ひとりの旅人が』を読み始めようとしている

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ミシェル・トゥルニエ「メテオール(気象)」

この小説は、「卵形の愛」に充足していた双生児、ジャンとポールの物語と、彼らの叔父である、5つの町のごみ捨て場を支配する「ごみのダンディー」ことアレクサンドルの物語が、三人称の叙述と一人称の語りが交錯する形式で書かれています。

2つのテーマはほぼ並行して進行していきますが、この小説を序盤から中盤にかけて牽引するのはアレクサンドルの物語です。同性愛主義者の彼は、異性愛者は自然や道徳と一体化することで

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ハン・ガン『すべての、白いものたちの』

ハン・ガン『すべての、白いものたちの』

最近小説を手に取ることが少なくなっていたので、書店で表紙とタイトルが気になった、この本を読んだ。

久しぶりに“言葉”に触れたと思わせる作品だった。雪の一片一片が静かに降り積もるように、詩と小説のあわいをいく静謐で美しい断章が読者の心に降り積もっていく。もっぱら通勤と帰宅の電車の中で読んでいたのだけど、その間は喧騒から離れた澄んだ時間に浸ることができた。

静かな感動を与えてくれる傑作。