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「食べる」それだけで私たちは頑張っている
「あー、面倒だなぁ」
発熱した日の真夜中。
トイレに行きたくて目が覚めた。
行きたい。
でも、寒いし面倒。
早く行かなきゃ…と思いつつ、中々動き出せない。
「早く行けよ」と内心つっこみつつ。
私は全身管で繋がれて、食事も排泄も管にお任せしていた日々の事を思い出していた。
全身麻酔
20代の頃、口腔内の手術のため18日間入院した。
手術は全身麻酔で行われるため、数日前から様々な検査のために入院した。
手術当日は朝9時頃にストレッチャーで運ばれて、酸素マスクの様なモノを口に当てられた時にほんのり甘味を感じて、スルスルと意識を失った。
次に目覚めた時は、鼻からチューブ、尿管にも管が繋がれて一才の身動きが取れない様になっていた。
20代にして、まさに介護状態。
尿管の管は翌日まで、鼻のチューブは1週間繋がれたままだった。
ながら食べができる
別に病気で手術をしたわけではない。
そのため、私はとっても元気だった。
偶然、同じ病棟に同い年の女性が2人も入院していて、暇な時は集まってお喋りに花を咲かせた。
(なんと彼女たちは後に結婚式まで来てくれた)
私はこの頃、SE職に異動するための試験勉強に励んでいたので、入院中に「これ幸い」とばかりに猛勉強をした。
口腔内の手術をしたため1週間お茶と水以外を口に入れる事ができず、食事という名のドロドロの栄養剤?みたいなものを鼻のチューブ介して胃に直接流し込んでいた。
鼻→食堂を通って胃に流されると、ほんのり和風の香りが感じられた。
でも味は全くしない。
鼻から常にチューブが出ているので、お風呂も大変だし、寝てる時にウッカリ引っ張るのでは?と不安で仕方がなかった。
それでも、数日経過して鼻からの注入に慣れてくると、3食とも自分でセッティングできる様になった。
更には鼻から栄養を補給しつつ勉強ができて「これは結構快適かもしれない」とさえ思う様になっていた。
それでも徐々に「口から食べる」事が恋しくなってきた。
普通のご飯と味噌汁を食べられる日が本当に来るのだろうか?とドキドキした。
いよいよチューブを抜く日が近づいてくると、「一番最初に何を食べたいか?」等と入院友達と共に盛り上がった。
1週間ぶりの食事
手術から1週間が経過して、遂に鼻のチューブを抜いた。
私は早速その足で、病院の1階にあるコンビニへ杏仁豆腐を買いに行った。
一番最初は「自分の好きなモノを食べる」と決めてたので、杏仁豆腐を買った。
でも、まだまだ口の中に違和感があって美味しいのかどうか分からなかった。
そして直後に、離乳食みたいな昼食が運ばれてきた。
こちらも美味しいのかどうか分からない。
昼食の食器を下げられた後、私は急に強烈な眠気に誘われた。
そう、顎が物凄く疲れていたのだ。
「ちょっと休憩しよう」と横になったら、次に目覚めたのは夕食が運ばれた時だった。
私は目が覚めた時に、物凄く衝撃を受けた。
何か薬を飲んだワケでもないのに、途中一切目を覚ます事もなく超熟睡だったからだ。
私は鼻からチューブだった1週間も、体は元気だったので「体力が落ちないように…」と1階から病室のある8階まで階段で往復してみたり、それなりに体力維持に気を遣っていた。
にも関わらず「咀嚼」がこんなに疲れを招く事になるとは…。
あまりの衝撃に主治医に話すと、「咀嚼をするというのは物凄く筋力を使う事なんだ。1週間全く咀嚼をしないと疲れを感じずに食事をとれるようになるまでしばらくかかる」と言われた。
その通り、私が「普通の食事」を摂取できるようになるまで約1ヵ月かかった。
普通の食事ができるようになる前に仕事復帰した為、昼食は既製品の離乳食を持参していた(笑)
生きてるだけで頑張っている
私達は普段、「食事を摂る」事に対して「自分は頑張ってる」とか「顎が元気だ」等と感じる事はない。
でも、1つ1つの動作にもあらゆる筋力と関節の働きがある。
トイレに行く事だって、寒くても面倒でも漏らしたりせずにちゃんと行く。
化粧をすればクレンジングが必要だし。
髪の毛にワックスをつけたら洗髪が必要。
汗をかいてもかかなくても殆どの人が毎日お風呂にも入っている。
そう、生きているだけで「タスク」は無限にある。
だから、発熱して何もできなかった3連休も
「何もできなかった」ではなく「生きた」と自分を讃えたいと思う(笑)
明日からまた平日が始まる。
皆さん、ほどほどに頑張りましょう。
〈あとがき〉
この入院の後に、無事に試験に合格しました!
働きながら試験勉強をする時間を捻出できなかったので、あの休暇?があって本当に良かったな~と思います。
でも、結局その合格により勝ち取った?SEという仕事も手放してしまったワケですが(笑)
本当に人生いろいろですね。
今日も有難うございました。
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