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ストレスで「イライラしやすい」と「発達性トラウマ」との関係とは❓【これからの免疫力を高める習慣33】
前回は、なぜポジティブではなくネガティブな思考ばかりに苛まれてしまうのかということについて述べました。
「不適切養育」とはすなわち、「日常のなかで繰り返される子どもへの不適切な関わりあいのこと」であるのですが、花丘ちぐさ氏によれば、このような不適切養育によって発達性トラウマを抱えてしまうと、片頭痛やストレス性皮膚炎、目まいや耳鳴り、喘息、高血圧や低血圧、アレルギーなど、様々な健康の問題も生じてくるといいます。
また感覚が過敏であったり、けがをしやすかったり、トラブルに巻き込まれたりすることもあるといいます(1)。
ちなみに「愛着障害」や「発達障害」「コミュ障」などと他人から安易にレッテルを貼られたり(もしくは自分で判断したり)、生きづらさや原因不明の体調不良を抱えたりしている場合も、実は発達性トラウマが関係しているかもしれないと思われますし、「自分は駄目なヤツだ」と自己肯定感が低かったり、失敗するたびに罪悪感にとらわれやすかったりする場合も、幼少期の不適切養育が関係している可能性は十分考えられます。
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すなわち、普段からどういうわけか他人よりもストレスを感じやすく、落ち着くことが出来ずにイライラしやすい・カッとなりやすいなど、自分の心をうまくコントロールすることが難しいという場合は、「不適切養育」による「発達性トラウマ」が原因としてあるのかもしれない、ということをここではお伝えしたいのです。
かくいう私自身、幼少の頃から両親が不仲で(いつも母は結婚したことが不幸だと嘆いていました)で、すぐに感情的な言い争いを始める家庭で育ったため、父と母が話をしているのを聞くたびにまた口ゲンカが始まるのではないかと脳が予測し、内心ではいつもビクビクしていたように思います。
父も母も相手の話にきちんと耳を傾け、落ち着いて話をすることが出来なかったため、不平不満を一度にまくしたてる母に対し、父はすぐに感情的になって「いいから黙れ!!」と怒鳴っていました。
そのため、私自身は、たとえ家の中にいたとしても、常に無意識のうちに警戒してしまい、いつまでも緊張が解けずにリラックスすることが出来ない状態がずっと続いていたのです。
またどこにいても不安な気持ちがずっと続いたり、悩み事があっても親には相談できず(母はやっかいごとを持ちかけると最初にイヤな顔をしましたし、会社で順調に出世した父は何でもお金を与えることで解決しようとしました)、何でも独りで物事に対処しなければならなかったため、ストレスが溜まってイライラしやすかったのです。
さらに30代くらいまでは、「うつ」や「アトピー性皮膚炎」の症状に悩まされていました(今は体調は以前よりもすごく良好ですが、その理由には、後述する「安心安全」が自分の中にあるように思います)。
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このように、「不適切養育」による「発達性トラウマ」を抱えてしまうと、健康に何らかの問題が生じてくるのですが、その背景には、「神経系」、より専門的に言えば「ニューロセプション」(神経受容)の問題があるといいます。
この「ニューロセプション」とは、「周囲の環境や相手の様子などを無意識のうちに評価し、その状態に合うように生理的状態を調整しているとされる」考え方で、ポリヴェーガル理論の生みの親であるステファン・ポージェス博士によって提唱されたといいます。(参考 花丘ちぐさ『その生きづらさ、発達性トラウマ?』)
より分かりやすくいえば、私たちが「つねに周囲の状況が安全か否かを感じ取り、判断している」仕組みのことで、危険や脅威を察知した時に、闘うか逃げるか(もしくは凍り付くか交流するか)、など「考え」を通さずにとっさに選択する、無意識下の判断・反応のことであると考えられます。
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「腹側迷走神経系」が慢性ストレスによる体調不良を少しずつ解消していくための鍵となる。
花丘ちぐさ氏は『その生きづらさ、発達性トラウマ?』のなかで、「不適切養育や、その他の要因で発達性トラウマが生じると、子どもの神経系が変化してしまう」と述べています。
「赤ちゃんは、お母さんから穏やかに見つめられたり、やさしい声を聞いたり、気持ちよくタッチしてもらったりしながら成長」すると、「腹側迷走神経系がより発達していき、人の気持ちを汲んだり、人の顔色や声の調子からその人の様子を理解し、お互いに気持ちよく感じられるようにふるまう習慣が身について」いくといいます。
しかし、「もし赤ちゃんがこのときにお母さんから適切な対応をしてもらえなかったとしたら、赤ちゃんは、自分は「安全ではない」と感じ」、「自分に何か害を与える人がいるのではないかと感じて防衛的になります」としています(2)。
そして早期から不適切養育を受けると、心身を大切にする方法がわからず、健康行動がとりにくくなることが知られているといいます(3)。
また花丘氏が、
不適切養育を受けると、心は愛情飢餓で苦しく、つらさでいっぱいになります。こうした焦燥感や自責の念、激しい怒りなどを抱えていると、仲間からやさしい言葉をかけてもらっても、居心地が悪く感じたり、イライラしたりします。
とし、
仲間からやさしい言葉をかけてもらっても、居心地が悪く感じたり、イライラしたりします。仲間と暖かい交流をすることによって穏やかに自分の心を調整していくことができません。腹側迷走神経系が十分に発達していないために、自分の中にオーケストラの指揮者がいない状態ですから、自分の状態を自分で調整することができないのです。
とも述べていることは傾聴に値します。
そして、
「腹側迷走神経系が十分に発達していないために、自分の中にオーケストラの指揮者がいない状態ですから、自分の状態を自分で調整することができない」
とあるように、心身の健康を維持していくうえで問題になってくるのは、副交感神経のうちの「腹側迷走神経系が十分に発達していない」ことなのです。
そのため、発達性トラウマによる生きづらさや慢性的なストレスによる体調不良を少しずつ解消していくためには、「腹側迷走神経系」の存在、そして「安心安全」が鍵となるのです。
次回へと続きます😊
![『その生きづらさ、発達性トラウマ? ポリヴェーガル理論で考える解放のヒント』](https://assets.st-note.com/img/1730950131-yp5gxPEjoqCiuwNUIKmXGL7V.jpg?width=1200)
注釈
1 『その生きづらさ、発達性トラウマ? ポリヴェーガル理論で考える解放のヒント』 花丘ちぐさ 著 春秋社
不適切養育によって発達性トラウマを抱えてしまった人たちは、さまざまな健康の問題を抱えます。たとえば、片頭痛、ストレス性皮膚炎、めまい、耳鳴り、喘息、高血圧、低血圧、過敏性腸症候群、腰痛、関節痛、免疫性疾患、婦人科系疾患などがあります。また、アレルギーや、触覚、聴覚、視覚などが過敏になる感覚過敏などを持つ傾向性もあります。さらに、いつも神経系が過剰に警戒モードに入っているにもかかわらず、肝心なときには凍りついてしまうため、けがをしやすかったり、とっさのときに言い返せなかったり、「ノー」と言えずに搾取されてしまったり、トラブルに巻き込まれたりすることもあります。
2 前掲書
不適切養育や、その他の要因で発達性トラウマが生じると、子どもの神経系が変化してしまうことがわかっています。赤ちゃんは、お母さんから穏やかに見つめられたり、やさしい声を聞いたり、気持ちよくタッチしてもらったりしながら成長します。このときに赤ちゃんは本能的に「安全である」と感じます。自分は歓迎され安全に過ごしていくことができるという、よいイメージを持つことができます。そうすると、腹側迷走神経系がより発達していき、人の気持ちを汲んだり、人の顔色や声の調子からその人の様子を理解し、お互いに気持ちよく感じられるようにふるまう習慣が身についていきます。自分も相手に心地よくなるような「合図」を出し、相手がそのような「合図」を出してくれているときは、喜んで受け取ります。そして、お互いに心地よくなるようなやり取りをすることができるようになるのです。安定したニューロセプションの機能が身につくと言ってもよいでしょう。
しかし、もし赤ちゃんがこのときにお母さんから適切な対応をしてもらえなかったとしたら、赤ちゃんは、自分は「安全ではない」と感じます。そうすると赤ちゃんの神経系は、安全を確認するために、つねに周囲に脅威を探すようになります。自分に何か害を与える人がいるのではないかと感じて防衛的になります。つまり、危険ばかりを探してしまうニューロセプションになってしまうのです。こうなってしまうと相手の気持ちを察したり、相手に気持ちよい思いをしてもらうためにどのような言動をとったらよいのかということを、学ぶことができません。そのような状態で成長すれば、人とうまくやっていくことが難しくなります。
3 前掲書
早期から不適切養育を受けると、健康行動がとりにくくなるということも知られています。つまり、自分の身体を大切にするためにはどうしたらいいのかを教わる機会がないのです。そもそも健康行動のお手本を見せてもらっていないので、心身を大切にする方法がわかりません。家庭内に問題のある態度でアルコールを乱用している人がいたり、性的な逸脱があったり、心身への加害行為があったりすると、そこには健全なお手本がありません。自分を大切にするという発想すらないかもしれません。
お忙しい中ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます💛💛💛
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