【蒸留日記 vol.116】ピンク花ラベンダー品種 'ココナッツアイス'の蒸留。
こんちゃこんちゃ、ラベンダー蒸留家のエフゲニーマエダでっす。
さてさて北海道で生産されているピンク花品種'Perennial Pink'の蒸留に続きましてvol.116はニュージーランド産ピンク花品種'Coconut Ice'となります!
昨年2023年度の'ココナッツアイス'蒸留回⤴︎⤴︎
■Introduction -about cv.'Coconut Ice'
桜色のような淡く美しいピンク色の花を咲かせる品種'ココナッツアイス'(Lavandula angustifolia 'Coconut Ice')は、英国の園芸文化が色濃いオーストラリアあるいはニュージーランドで作出された品種とされています。
この品種を生産している海外ナーサリーによってはオーストラリア作出説を唱えている方々も少々おられますが、通説ではニュージーランド産品種とされるようです。
ウチでは2021年より栽培開始し今年で4年目の株となりますが、さほど大型化するラベンダーではないようで株サイズが小〜中型で落ち着く傾向のある園芸品種のようでした。
対照的に、英国ピンク花品種のミスキャサリンはこのココナッツアイスより大きく育つことが判明しています。
開花時期はやや早咲き傾向を持っており、7月初旬〜中旬までが見頃となるようです。
ウチでは、その南国を思わせる美味しそうな名前からラベンダーアイスに使おう!と決めて栽培していたのですが、いざアイスにして食べてみると…思いのほか美味しくなかったんですよね。
22年度の実食実験での結果でした。
北海道品種の3号濃紫がまだ幾分美味しい風味を持つことがハッキリわかるほど、'ココナッツアイス'は美味しく味わえる風味ではありませんでした。
(風味testingトライアルの内訳は3号濃紫・ホルゲイト・ココナッツアイス)
■Materials&Methods
7月も後半となり、ココナッツアイスは早咲きタイプなのですでに咲き終わりとなっているようす。(雨を受けすぎたというのもある)
とりあえず収穫前のようすとしていくらかココナッツアイスを撮影しておきました。
花色も褪せてしまっているので、ここまでくると蒸留してオイルを採るほかありません。
ということで、本来の時期からすれば遅刻気味ですが蒸留用に収穫していきます!
花壇に密植しているココナッツたちを上から見ると、昨年の高温多湿時期による枯れダメージが否めないようでした。
ところどころ枝が枯れ落ちて歯抜けになってしまっています。
ちなみに、、、
同じココナッツ花壇の奥に植わっている長穂の紫花品種はホームセンターで買った謎品種を仮定植しているものです。
当初は北海道品種の'ナナ・ナリサワ'かな?と見当つけて植えていたんですが、ココナッツアイスに比べてかなり大きく育っており、、、
近しい特徴をもつ品種として、英国品種の'スパイカナナ'じゃね?と見立てています。(花茎がまっすぐ立つ・開花時期がやや遅い等の特徴)
今秋にはスパイカナナ花壇に引っ越しさせる予定です。
前年の高温多湿ダメージにより枝がいびつになっていることでやや収穫に時間がかかりましたが、30分ほどジョキジョキやって収穫が完了しました!
収穫したココナッツアイスのボタニカル重量は総重量1423gから空バケツ重量851gを差し引いて572gでの蒸留となります。
蒸留釜に'ココナッツアイス'を詰め込んだ蒸留直前のようす。
蒸留時間は50分としました!
■Results
抽出量は4.3mLと見立てました!
1.収油率 - EO Yield
うーん1%を切っています。遅すぎましたかね。
通説では、花穂がまとまっていてコンパクトな品種より、長穂の品種のほうが収油率は高く出てくるという話を聞きました。
2.香りとか - EO Scent
ウチで収蔵している数多くのコモンラベンダー精油と香り特徴を比較すると、あまり強く香らないタイプのラベンダー精油のようなのです。
とはいっても年によって気候条件や収穫時期がバラついてしまったりするのでそこまで正確なことは言えないのですが、、、
まぁ今年分はあまり強い香り成分を持たない印象の精油となりました。
もっぱら花壇に植えて可愛らしく庭を演出する園芸品種といった位置付けのラベンダーになるんでしょうかね。