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「寅さんの金言 現代に響く名言集」 立川志らく

「愛とは、相手を大事に思うこと。これが寅さんの恋愛哲学です。」



「寅さんの金言 現代に響く名言集」 立川志らく


五木寛之さんの本を読んで思い出した言葉があります。映画「男はつらいよ」の主人公・寅さんの言葉をこちらで書きました。


寅さんの甥の満男が、寅さんにこう訊ねます。


「おじさん、人間って何のために生きてんのかな? 」


寅さんは


「むずかしいこと聞くなぁ。なんつうかなぁ、ほら、ああ、生まれてきて良かったなぁって思うことが、何べんかあるじゃない、そのために人間生きてんじゃねえのか」

   
         ◇


「男はつらいよ」の映画はテレビで放送されたものや、旅行に行ったときに観光バスの中で何本か見ていました。


それでも48作の内、20本も見ていませんでしたが、最近になってBSテレ東で毎週土曜日に放送されているのでよく見るようになりました。


映画が良いのはもちろんなんですが、昭和生まれの自分には響くものがたくさんあるのです。


昭和から平成への景色の移り変わり、国鉄時代の鉄道、走っている車、町の風景・建物、ファッション、日本の観光地、魅力的な映像が目白押しです。


今や映像遺産となるものがたくさん見られます。


そして


いちばんは寅さんの魅力。それから人情、寅さんを取り巻く人のあたたかさ、映画を見ていて誰も傷つかないし、笑えるし、泣けるし、あたたかい余韻が残るのです。


傷ついているのは、いつも素敵なマドンナにフラれる寅さんだけなんですよね~


「男はつらいよ」を全作くりかえし見たという立川志らくさんは、寅さんの恋愛についてこう語ります。


寅さんは、マドンナにフラれると傷心の旅へ……。そのワンパターンだと思われがちですが、マドンナが他の男性と幸せになる場合には、自分がマドンナを振ることもあるのです。

その結果、相手の女性が幸せになることがわかっているから、すーっと身を引いて消えていくのです。自分がいくら傷つこうと構わない。彼女が幸せになってくれる喜びのほうが勝る。それが寅さんの人生哲学なのです。


寅さんは「犠牲愛の人」だと志らくさんは言います。「この人を幸せにしてあげたい」という思いが全編に貫かれているのですね。


愛とは、相手を大事に思うこと。
これが寅さんの恋愛哲学です。


そんな寅さんの恋愛についての名言を2つ


「ああ、いい女だな、と思う。その次には話がしたいなあ、と思う。その次にはもうちょっと長くそばにいたいなあ、と思う。

そのうち、こう、なんか気分がやわらかーくなってさ、あーもうこの人を幸せにしたいなあ、って思う。

もうこの人のためだったら命なんかいらない、もう俺、死んじゃってもいい、そう思う。それが愛ってもんじゃないかい」

「男はつらいよ 葛飾立志篇」

「ほら、いい女がいたとするだろう。男がそれを見て、あぁ、いい女だなぁ。この女を俺は大事にしてえ。そう思うだろう。それが愛ってもんじゃないか」

「男はつらいよ 柴又より愛をこめて」


僕は寅さんを見ていて、いつも心を動かされる言葉があります。


それが


「いま、幸せかい?」

「男はつらいよ 寅次郎恋やつれ」


そんな風に、相手の幸せを考えているのですね。


あと


志らくさんは、寅さんをこう分析しています。


人間はとかく理屈で考えたがる生き物です。
ところが寅さんは違う。
理屈より大切なものがある。
寅さんは「感情」で生きている。
これが重要なポイントです。


そんな名言が


ザマ見ろぃ。人間はね、
理屈なんかじゃ動かねえんだよ。

「男はつらいよ」 第1作


この他にも、たくさんの寅さんの名言と志らくさんの「男はつらいよ」全作・こだわりの解説が映画を見ているような臨場感で展開します。


映画を見てからこの本を読んでもいいし、本を読んでから映画を見ても、どちらからでも楽しめますよ。


いずれにせよ、映画を見たら余韻から本や解説を読みたくなるし、本を読めば映画を見たくなります。


監督の山田洋次さんのインタビューを読んだことがあるのですが、映画「男はつらいよ」を見て、今も若い人から手紙がくることが多くて、動画もよく見られているそうです。今現在でも根強い人気があり、老若男女、幅広い層がこの映画を見ているのですね。


なぜなら


寅さんの映画を見たあとには、幸せになれるからだと思うのです。


「人間生きていると何べんかあるだろう?」


そんな幸せな気持ちになれるのです。



【出典】

「寅さんの金言 現代に響く名言集」 立川志らく ART NEXT

高橋ひろあきさん、ありがとうございました。


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