生野大輔

しょうのだいすけ、と申します。 短い作品を書いています。

生野大輔

しょうのだいすけ、と申します。 短い作品を書いています。

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山と太陽と月と

それは10月のある日のこと 残暑が残る昼の空の下だった ぼくの大切な人が 昼の空に浮かぶ太陽と月を見ながら 話していた 山脈は信念のようだね いつどのような時でも 揺るがずじっとしている 太陽は情熱のようだね どんなことがあっても 僕たちを照らしている 月は信念のようだね どんなに深い夜であっても よりいっそう冴え渡っている ぼくは初めて昼の空に浮かぶ 小さな月を見た 昼か夜かに関わらず 月は僕たちを見てくれている そう思うと温かさを感じた 僕はこの日から 昼の

    • 曇りの新月

      新月は 曇り空さえ 突き抜ける 見えることない 偉大な存在

      • おっちゃんのたこ焼き

        「俺たちの青春よ!バイバイ!」 地元の友達がSNSに投稿した写真には、 慣れ親しんだたこ焼き屋さんが写っていた。 強面のおっちゃんと、よく喋る奥さんの夫婦で営んでいて 100円で6個入りの、安くて美味しいたこ焼き屋だった。 小学生の頃、お小遣いを貯めてたこ焼きを買いに行った。 10円玉を10枚、ポケットに入れて自転車で行った。 「たこ焼き100円分下さい!」 僕はそう言いながらお金を奥さんに渡した。 奥さんはニコニコしながら、受け取った10円玉を数えていた。 おっち

        • 『未来の私へ』 : 「タイムカプセル」シリーズ

          朗読企画『タイムカプセル』の作品をシダさんに読んでいただきました。 下から聞けるので、よければ聞いて聞いてみて下さい。 作品を送るまで今回のテーマはタイムカプセルでした。 朗読企画の説明で、あまり上手く話せない時期だと知りました。 であれば、上手く話せない今の声を活かせる朗読作品を作ろう、 そう強く思ったのを覚えています。 朗読企画に参加することをシダさんに伝えてから数日、作品作りにすごく悩みました。 タイムカプセルを埋める方の物語にしようか、 タイムカプセルを開ける方の

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        山と太陽と月と

          『薄明かり』:朗読依頼

          ふと、目を開けた。 二日酔いの気持ち悪さを感じたまま寝返りを打つ。 シダさんのこの1年はうなシダのコラボ収録が多いように感じました。 そこで、うなじさんをイメージした作品を作ろうと思いたったのがきっかけです。 実は、この作品はメモ程度に作成して残していた作品でした。 ふと、新入社員時代に、飲み会のあとひどく疲れてしまった時を思い出しました。 なぜか早朝に起きてしまい、店も開いていない静かな町を途方もなく歩いていた時もありました。 電気のついていない小売店。車の通らない大き

          『薄明かり』:朗読依頼

          『決意のペン』:リレー任務シリーズ

          シダちゃんねるをお聞きの皆さん、いつも作品を聞いてくださり、ありがとうございます。そして、朗読をしてくださるシダさん、いつもありがとうございます。 今回は2回目のリレー作品に参加させていただきました。 前回に引き続き作品を仕上げるアンカーになりました。 作品を作成する時の考えを書いています。ニュアンスの違いなどがあると思いますが、その点も楽しんでいただければ幸いです。 作品を初めて読んだ時作品を初めて読んだ時、始まりが学生の恋愛ものでしたので、主人公の恋愛をどのように終わら

          『決意のペン』:リレー任務シリーズ

          『故郷(こきょう)のまち』:「ここに存在して」シリーズ

          シダちゃんねるをお聞きの皆さん、いつも私の作品を聞いてくださり、ありがとうございます。そして、朗読をしてくださるシダさん、いつもありがとうございます。 これから記載することは、私の意見です。 見方によって受け取り方も異なるとおもいますので、その違いも楽しんでいただけたら幸いです。 今回はベアカフェに居てほしいとの内容でした。 はじめにテーマを聞いた時、ベアカフェを目的地にするより、他の目的があるなかでたまたまベアカフェに居る感じがしました。 「ここに存在して」という響き

          『故郷(こきょう)のまち』:「ここに存在して」シリーズ

          『ふたば』:朗読依頼🌱

          シダちゃんねるをお聞きの皆さん、いつも私の作品を聞いてくださり、ありがとうございます。そして、朗読をしてくださるシダさん、いつもありがとうございます。 これから記載することは、私の意見です。 見方によって受け取り方も異なるとおもいますので、その違いも楽しんでいただけたら幸いです。 今回はシリーズではなく、私が個人的に朗読依頼を出した作品です。 題名は『ふたば』 シダさんがstand.fmを初めて1年が経ったことを祝って作成しました。 シダさんを想って作品を創ろうと考えた

          『ふたば』:朗読依頼🌱

          贈りもの

          「これでほんまに届くんやろか」 オンラインで花を贈るサービスを人生で初めて使った。 相手は祖母だった。 私が大学生時代に貯めたバイト代で贈ったんだ。 バイト代で生活していた私にとって、なけなしのお金だった。 誕生日の日に母からメッセージが届いた。 祖母が花束を持っている写真と共に、「花が届きました」と。 祖母は、笑っていなかった。 認知症があり、理解ができなかったのだと思う。 1番お世話になって、1番迷惑をかけた祖母にうんと恩返しをしよう。 そう、私は心に誓った。

          『シリアス健太』:「家庭訪問」シリーズ

          シダちゃんねるをお聞きの皆さん、いつも私の作品を聞いてくださり、ありがとうございます。そして、朗読をしてくださるシダさん、いつもありがとうございます。 今回の設定は、高校生の家庭訪問でした。頂いた主人公の名前は「シリアス健太」です。お題をいただいたとき、主人公はシリアスな性格なんだろうと思いましたが、話の展開はすぐに思いつきませんでした。 そこで、シリアルな性格の人を考えましたが、すぐに出てきませんでした。 思いついたことがありました。 また、私の実体験からの話になります

          『シリアス健太』:「家庭訪問」シリーズ

          生野大輔

          生野大輔と申します。 noteでの作品の作成と、stand.fm(スタエフ)という音声プラットフォームで、シダさんという方に私の作品を朗読していただいています。 私がはじめて作成した作品は、スタエフのシダさんの「奪った奪われた空」シリーズで投稿した作品になります。 もし良ければ聞いていただけると幸いです。 この後に、「草」「虹」シリーズなどの作品を作成していく中で、「私の作品が良かった」や「背景を知りたい」などの意見があったとお伺いしています。 暖かいお言葉をいただき、あり

          『ティースプーンとコーヒー』:リレー任務シリーズ

          シダさんのスタエフ配信で作品リレーを行う招待をいただき、参加させていただきました。 私は、物語を終える最後の人となりました。 その時の、背景や伏線回収の経緯を書ければと思います。 はじめに読んだ時私自身、とりをやりたかった気持ちがありました。また、題名も決める必要があるので、私以外の方の作品を仕上げるところは面白かったです。 しかし、私に回ってきた文章を読み終えた瞬間、作品の「僕」と全く同じ、「終わったぁ」という気持ちになりました。 ここから、私の作品研究が始まりました。

          『ティースプーンとコーヒー』:リレー任務シリーズ

          『草』:草わたしの草シリーズ

          シダちゃんねるをお聞きの皆さん、いつも私の作品を聞いてくださり、ありがとうございます。そして、朗読の時間をしてくださるシダさん、いつもありがとうございます。 作品の背景や、私の事について知りたいとの意見を耳にしましたので、この場を借りて紹介させていただきたいと思います 実を言うと、この作品は10分ほどで作成しました。 「草」シリーズの告知を知った時はかなり仕事が忙しくて、話を練る時間がほとんどなかったです。締切り期間も迫る頃に、アイデアがうかんだので、短時間で仕上げてシダ

          『草』:草わたしの草シリーズ

          『緑』:虹シリーズ

          シダちゃんねるをお聞きの皆さん、いつも私の作品を聞いてくださり、ありがとうございます。そして、朗読の時間をしてくださるシダさん、いつもありがとうございます。 作品の背景や、私の事について知りたいとの意見を耳にしましたので、この場を借りて紹介させていただきたいと思います。 私の担当は「緑」でした。 はじめは、葉桜についての物語を考えていました。葉桜の時にすでに春の開花の準備をしている、という内容を考えていました。しかし、緑ではなくピンクになる終わりしか思いつかなかったので、

          『緑』:虹シリーズ

          ダイくん

          「ダイくん帰ってけぇへんなぁ」 毎晩、祖母は私に聞いてくる。 ダイくん。それは私のことだ。 小さい頃、祖母が私のことを「ダイくん」とよんでいた。 「認知症の結果が出ました。これからは。。。」 そう検査員に言われた後の話は頭に入らなかった。 祖母が認知症。 薄々わかってはいたが、言葉にすると心にズッシリくる。 そして、祖母の記憶には“私“はいない。けど「ダイくん」はいる。 「ダイくん知らんか?」 今日もまた私に聞いてきた。 「ダイくんは帰ってくるの遅くなるらしいよ。

          小柄な男性

          「おう、元気か?」 不意に話しかけてきたこの小柄な男性は誰なのだろうか? 最初は分からなかった。 正月に親戚で集まる会に、叔父が「今日は別のとこにいっからな」と言った。 毎年祖母の家で集まるのだが、その時は車で知らないとこに連れて行ってもらった。 着いたのは公園が付いている団地。 4階の1室に恐る恐る入った。 2LDKの部屋。壁には2枚の子供の名前を筆で書いたものが飾ってある。 その近くには、生まれて数ヶ月らしき赤ちゃんがいた。 「おう、元気か?ゆっくりしてな。」

          小柄な男性