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貴綱 みか
2021年8月21日 07:42
いつもと少しちがう道を通って近くの商店街まで行く途中ある細道のところに差し掛かった時によろよろと歩くようになった今は亡き父が、転んだりしないか心配で見つからないように、こっそりと後ろから父を見守りながら歩いた道だったことを思い出した父の足腰が段々と衰えてきて歩くスピードもゆっくりになりはたから見てもハラハラするくらいよろよろしながら歩いたり自転車にも乗っていた時期で
2024年8月17日 15:29
みんな痛みを抱えていた痛みを内に秘めてひとりで抱えていたずっと毎日苦しんでいるのにそんなことは見せようともしないから気づくこともなかった誰の責任でもないこれが自分でなくて人の話だったらそれはしょうがない十分よくやった何の落ち度も感じられないそんなことも最善をつくせなかったことベストな状態でないことが最期の時だけは絶対に許されない罪のように
2021年12月6日 13:28
特に気に留めることなく過ぎていったささやかな出来事それはもしかして何か意味のある事ではなかったのかと後になってから思ういくつかのこといつものように静かに座って会社で仕事を片付けているとトク、トク、トクと自分の心臓の鼓動が感じられそしてそれが段々と小さくなって次第に途切れていくのを時々感じるようになり1度医者に診てもらった方がいいかもしれない漠然とそう思いなが
2021年7月9日 11:33
先日久しぶりに映画館で認知症を扱った洋画を観た認知症の人から見た現実はミステリーのようなホラーのようなつじつまの合わない世界が認知症ではない周りの人には理解されず認知症の本人と認知症の人の周りにいる人達とのトラブルの要因となりそこから始まる悲劇の物語そのパターンは最近では食傷気味になるほど見聞きをするがそのトラブルの要因への理解の不十分さや向き合い方、扱
2021年2月12日 08:10
まだ介護が必要になる前のいつ頃だったかはっきりとは覚えていないが母がある時、急に「夫が変なんです」と言い出した母が言っていたのを聞いたか母が何かの紙に書いていたのを見たような覚えもあるが「夫が変なんです」そう言われても私からみたら父親は特にいつもと変わらず何が変なのか全く思い当たることもなく母が今までそんなことを言っているのを聞いたこともなかったので
2021年2月11日 08:07
叔母から母の初婚の相手は背の高い人だと聞いていたが時間より少し前に待ち合わせた場所に着いてあたりを見回すとそれらしき人は見当たらなかった待ち合わせの相手である母の最初の子供のその人については家にあったアルバムの中の小さな子供の頃の写真と名前については母に送ってくれたその人自身が編集に携わったある本から知ったのだったかどうか忘れたがネットで検索をしてみると
2021年2月1日 08:02
仕事以外で出かけるたいていの自分が楽しむための外出友人とランチに行くひとり旅をするライブに行くボディボードに行く等々・・・約束をしたり計画を立てる段階から楽しみな気持ちと介護が必要な家族がいるのに放って出かけるという罪悪感はいつもセットになっていたもちろん自分がいない時に何かあっても問題がないようにデイケアやショートステイや訪問介護は必ず手配していたけれ
2021年1月30日 07:46
精神状態を崩して毎晩興奮して騒いで暴れて手の付けられない状態になってしまった母の入院が決まった時父が炊飯器をガスの火にかけて家じゅうが真っ白に煙った日から毎晩1時間毎にアラームをかけて何かやらかしてないか父の様子を確認する日か続いたが父が自力で立ち上がれなくなって父の入院が決まった時母が最初の入院で退院した日からまた始まった毎晩の母の興奮状態との闘いがかかりつけの内
2021年1月29日 07:27
母の毎朝の朝食だったバナナ母か亡くなってからはあまり買うことがなかったが久しぶりに朝食にバナナを食べようと思いスーパーで何種類かあるうちの少し高めの美味しそうなのを選んだしかし亡くなくなった母に毎朝刻んで食べさせていた時には一番安いバナナしか買ったことがなかったことを思い出し自分で食べようと思ったら美味しそうな高い方をと無意識に選んでいた事に気づいてハッとし
2021年1月28日 08:00
小学生の時のパジャマ認知症の母が機嫌がいい時によくそう言っていたのは洗濯してもすぐに乾く白地に色とりどりの少し大きめの水玉模様のポリエステルのパジャマだもちろん母が小学生の時から持っていたものではなく私が近所の大中で買ってきたパジャマの中の一つだからわりとポップで一般的にはおばあちゃんより若年層向けのもので母がどう思っていたかわからないがわりと明るい
2021年1月27日 12:20
母の表情が乏しくなり何もしゃべらないことも多くなってきた時にふとした拍子に少しでも表情がほぐれて笑顔が見れると嬉しくなった母のおむつ交換の時におむつを取ったままベッドに座らせていたら母が尿を漏らしてしまいベッドの下まで垂れて床まで濡らしてしまったがこんな格好のまま座らせておいて身体が冷えてしまったのかもしれない自分が母を世話してしっかり守っていかなくてはいけないと思
2021年1月26日 07:56
母の身体の脚力体幹腎臓・・・見た目や健診の数値で少しずつ衰えが増えてきてさらには片手だけグーにしたまま指を伸ばすことが出来なくなってきて無理に広げようとしても痛がって広げられなくてお風呂上りなど温めるながらゆっくり時間をかけるとやっと少し握ったままの指がほぐれてくる母の様々な身体の衰えを感じながらも年のせいだから仕方がないと完治を目指すような治
2021年1月25日 07:55
ご近所の家まで町会費の集金に出かけて玄関のインターホンを鳴らすと鼻にチューブを入れたおじいさんが玄関の横の部屋のサッシを開いて顔を出した自分の名前と町会費集金と用件を告げるとおじいさんは部屋の中を何かゴソゴソと探し始めてのど飴の入った袋をおじいさんが町会費を用意するまでこれを食べて待っててとニコニコしながら差し出したそして昔うちの父がおじいさん宅にお邪魔して歓談し
2021年1月24日 16:36
インターホンを押して名前を名乗ると職員の方が鉄の扉を内側から開けてくれる母が入院した病院や老健そして最後に入院したICUでも母は鉄の扉の内側にいた鉄の扉は扉の外の世界で生きるのが難しい人や扉の外の世界の有害なものから守らなくてはならない人のためのものだが母が鉄の扉の内側にいることは親しい人にも容易に話せることではなかった