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長編小説「アンブローシア・レシピ」

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*創作大賞2024応募作品*18世紀、フランスに拠点を置いていた錬金術師集団『オルダス・マイン』が作り出した不老不死の霊薬『アンブローシア』。フランスで王政が倒れたのち、『オルダ…
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#20世紀

「アンブローシア・レシピ」第5話

1914年10月3日(1) ロンドン(あぁ、もう、納得できないことだらけだわ!)  深く…

紫藤市
6か月前
10

「アンブローシア・レシピ」第6話

1914年10月3日(2) ロンドン「リーデンホール街の教会前で! すぐここに運んでくれ…

紫藤市
6か月前
10

「アンブローシア・レシピ」第7話

1914年10月3日(3) ロンドン ミリセントは1896年に南アフリカのトランスヴァー…

紫藤市
6か月前
9

「アンブローシア・レシピ」第8話

1914年10月3日(4) ロンドン 夕方まで外科の診察室で眠っていたウェインは、目を覚…

紫藤市
6か月前
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「アンブローシア・レシピ」第9話

1914年10月3日(5) ロンドン「でも、刺された場所によっては命が助かっても身体に障…

紫藤市
6か月前
9

「アンブローシア・レシピ」第10話

1914年10月3日(6) ケンブリッジ サイモン・エイプリルはその日の午後、ひたすら主…

紫藤市
6か月前
13

「アンブローシア・レシピ」第11話

1914年10月4日(1) ロンドン「ウェイン! これ見て!」  午前7時、ミリセントは今朝届いたばかりの新聞を握りしめて兄の部屋に飛び込んだ。  昨夜は傷がじくじくと痛んでほとんど眠れず、明け方になってようやくまどろんでいたウェインは、賑やかな妹の声に苦笑しつつ瞼を開ける。  ミリセントは鈍色のワンピースに白いエプロン姿だ。どうやら家政婦オニールの手伝いをしているらしい。 「今日の新聞に昨日のウェインの事件が載っているの! 『プリースト診療所のグレイ医師、暴漢に襲われる』っ

「アンブローシア・レシピ」第12話

1914年10月4日(2) ロンドン オニールに食事を運んだ後、ミリセントはウェインの部…

紫藤市
6か月前
13

「アンブローシア・レシピ」第13話

1914年10月4日(3) ロンドン 朝食後、ウェインの傷の状態を確認したバートランドは…

紫藤市
6か月前
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「アンブローシア・レシピ」第14話

1914年10月4日(4) ロンドン 午後6時を過ぎて、露店で購入した夕食のフィッシュア…

紫藤市
5か月前
11

「アンブローシア・レシピ」第15話

1873年1月9日 カイロ エジプトの首都カイロの外国人が多い地区では、アラビア語に混じ…

紫藤市
5か月前
11

「アンブローシア・レシピ」第16話

1914年10月5日(1) ロンドン ロンドンの下町の月曜日は、朝からやたらと騒々しい。…

紫藤市
5か月前
9

「アンブローシア・レシピ」第17話

1914年10月5日(2) ロンドン 診療所の外来が始まると、途端に一階が賑やかになる。…

紫藤市
5か月前
8

「アンブローシア・レシピ」第18話

1914年10月5日(3) ロンドン キャスパーは、先に行ったミリセントとバートランドが自分たちを見ていないことを確認してから、突然声を掛けてきた男を路地に押し込んだ。 「あんた、キャスパーって名前なのか」  男はにやにやしながら彼に確認する。  緊張した面持ちでキャスパーは自分より頭ひとつ分大きい男を睨んだ。 「なんでこんなところにいるんだ?」  小声でキャスパーが訊ねると、男は底意地の悪い笑みを浮かべる。 「プリースト診療所ってのは、あんたの職場? あんた、自分の職場の同