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ポップカルチャーは裏切らない

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”好きなものを好きだと言う"を基本姿勢に、ライブレポート、ディスクレビュー、感想文、コラムなどを書いている、本noteのメインマガジン。
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2024年11月の記事一覧

異界の際にて/吉澤嘉代子トライアングルツアー「旅する魔女」@住吉神社能楽殿(2014.10.19)

異界の際にて/吉澤嘉代子トライアングルツアー「旅する魔女」@住吉神社能楽殿(2014.10.19)

吉澤嘉代子がピアノに梅井美咲、ギターに細井徳太郎を迎えたトライアングル編成で開催しているツアー「旅する魔女」。一般的なライブベニューではない場所で開催される公演も多いこのツアー、福岡は住吉神社能楽殿にて敢行された。この会場は能楽のみならず様々なライブも開催されておりこれまで後藤正文、藤原さくら、折坂悠太、フラワーカンパニーズらがここで演奏してきた。吉澤自身も2017年以来、2度目のライブとなった。

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今週末(12/1)文学フリマ東京39です & 最終批評神話『exp.1』にこんな評論を寄稿しました

今週末(12/1)文学フリマ東京39です & 最終批評神話『exp.1』にこんな評論を寄稿しました

今週末、12/1(日)に東京ビッグサイトで開催される文学作品展示即売会・文学フリマ東京39にて頒布予定の評論/批評の同人雑誌『exp.1』に評論文「「羊文学と“轟音・女性ボーカルバンド”~閉じて開くためのベールについて」を寄稿しています。作家/批評家/編集者の村上裕一さんが主宰する「最終批評神話」のブースにて販売される予定となります。

本イベントと『exp.1』の基本情報は以下の通りになります。

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鏡を覗く、誰かと繋がる/森井勇佑『ルート29』【映画感想】

鏡を覗く、誰かと繋がる/森井勇佑『ルート29』【映画感想】

森井勇佑監督による長編映画第2作『ルート29』が桁外れに素晴らしかった。綾瀬はるかを主演に迎え、そのバディとして前作『こちらあみ子』で主人公を演じた大沢一菜を引き続き抜擢。その意外性のある組み合わせで紡がれるのは、およそ明快さとは無縁のストレンジな幻想譚だった。

このあらすじで確かに間違いはないのだが、このプロットだけでは到底語り切ることのできないイリュージョンに満ちたシーンだらけの怪作でもある

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【文学フリマデビュー】最終批評神話『exp.1』に寄稿しました

【文学フリマデビュー】最終批評神話『exp.1』に寄稿しました

12/1(日)に東京ビッグサイトで開催される文学作品展示即売会・文学フリマ東京39にて頒布予定の評論/批評の同人雑誌『exp.1』に評論文を寄稿することになりました。作家/批評家/編集者の村上裕一さんが主宰する「最終批評神話」のブースにて販売される予定となります。ブースはF-01 (西3・4ホール)で、こちらが会場配置図です。

『exp.1』は今回の文学フリマ東京で初刊行となるテーマフリーの同人

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これが若者のすべて/フジファブリック × ASIAN KUNG-FU GENERATION × くるり「ノンフィクション」(2024.11.10)

これが若者のすべて/フジファブリック × ASIAN KUNG-FU GENERATION × くるり「ノンフィクション」(2024.11.10)

フジファブリックのメジャーデビュー20周年を祝うイベントシリーズ、そのラストを目撃するべく大阪城ホールに足を運んだ。「ノンフィクション」と名付けられたこの3マンライブに集ったのはASIAN KUNG-FU GENERATION、くるりという豪華なラインナップ。2組はそのキャリアにおいてフジファブリックと大きく関わっている。

フジファブリックは2010年のフジ富士フジQから2011年『STAR』の

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ダウ90000『旅館じゃないんだからさ』と一緒に聴きたいBase Ball Bearプレイリスト

ダウ90000『旅館じゃないんだからさ』と一緒に聴きたいBase Ball Bearプレイリスト

ダウ90000 第6回演劇公演「旅館じゃないんだからさ」 を配信で観た。2021年に初演され、ダウの名を一躍世に広めた名作の3年ぶりの再演である。千葉のTSUTAYAを舞台に、様々な恋慕がひしめき合う物語だ。あれから3年経ち、より色濃くなった”レンタルビデオ“への郷愁が記憶をくすぐってくる。

本公演のテーマソングはBase Ball Bearの「夏の細部」。作品との呼応性、劇中での使われ方など両

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宇宙を抱える/荻上直子「まる」

宇宙を抱える/荻上直子「まる」

先日、広島県福山市にある「神勝寺 禅と庭のミュージアム」を訪れた。ここには「洸庭」と言う建物がある。まるで舞い降りた宇宙船のような造形で、その厳かな存在感に圧倒された。

この建物の中では、彫刻家・名和晃平によるインスタレーション作品を鑑賞できる。暗闇の中で徐々に浮かび上がる光と波によって、禅の世界を体験するというもの。得難い美しさだった。

すっかり禅への関心が生まれた折、鑑賞した映画「まる」が

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