【一首評】〈第8回〉観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日我には一生/栗木京子
覚えている限り、幼い時分に母に手を引かれ乗った万博記念公園の観覧車は、私にとってあまり心躍る類のアトラクションではなかった。徐々に遠くなっていく地上の景色を心許なく眺めながら、兄とともに母の両脇を陣取り、私はその腕に必死にしがみついていた。その日父はぎっくり腰を再発し、どこからか車椅子を借りてくると、一日中軒のついたトイレの傍でこともなく時間を潰していた。その退屈そうな父の記憶も相まって、私にとって初めての観覧車体験はどうも芳しものではない。それなのにどうしたことか、私はそ