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seiji_arita
2025年2月8日 22:49
「月と共に」湾曲する海岸線と空がひとつになるあたりきらきらと輝く海を指差す少年を見た夜に長い散歩をして世界のゆくえを考える老人少女は香り付きの蝋燭を売っているそして綺麗な声でキャロルを歌う枯れて黄ばんでいく丘の草や冬の雨さえも愛した遥かな空虚を見つめる彫像のように時は動かず風だけが吹いている語りうる行為の散漫な影が言葉少なに切り取られその頭上では
2025年1月22日 21:10
「不死の詩」真夜中過ぎの柔らかな暗闇ふらふらと揺れる 発熱に近い温もり君は不死の詩を歌う床の上に脱ぎ捨てられた僕等の衣服に月が濡れた光を注いでいる夢想 想像力 妖精の翼自らの妄想の図柄を君の中にある宇宙に描く君の持つ生身の魔法が 一欠片 甘く割れていく月に打たれた音叉の音に耳を澄ませたふたりの唇が触れた時 君は花となり鮮やかな蕾を開く僕は不死の
2025年1月19日 18:13
「辺境」僕等は然るべき判断を保留し続ける事により無限に引き伸ばされた希望を抱き続けている時間は無限ではないのにある時には堅固な岩塊の上にまたある時は軟弱な泥地に僕等の意志は載っているのかもしれない世界中の人々は軍服を身に纏い気をつけの姿勢を取っているかの様に見える尋常ではない希望と強い夢想へと駆り立てる想いを軍服の下に隠したまま地球上の一番みすぼ
2025年1月17日 11:36
「予言する鳥」道徳だとか理論性だとか其れを凌駕するほどの狂気爛熟を極めた架空の帝国都市混ざり込む耽美的な旋律感情投入と自己投影 希薄な色彩を塗り替える流離う若者達 現在と過去に対する葬送のマーチしばしの黙考 深い森の中で鳥が予言する世俗的な装飾性を捨て去るのだと自分の心の中にある言葉に耳を傾け信じる事だと前に進もうとしている者だからこそ つまづ
2024年12月25日 17:17
「旅人」僕等は旅人の姿を追いかけている僕は最も親しく信頼出来る君にすら僕自身の断片しか伝えきれてはいない僕の全体像は君にも誰にでも理解する事など出来ないだろうそう僕等は隣人の姿ですらはっきりと見えない薄暗がりの道を手探りで歩いている時々 誰かの言葉や行動により閃光に照らし出されたかの如く君を認識する事が出来る僕等が同じ場所に居てぴったりとくっ付く様
2024年12月23日 16:03
「桜日待たずに」形があるものにせよ 無いものにせよ全てはいつか消えていく 残るのは記憶だけだ僕等は普段 あまりにも多くの巧妙に作られた複製に取り囲まれている其のせいで本物を知らない実物の持つ激しさ荒々しさや其の重みを見失うただの野放図な認識だけが空から落ちて来た激しい宿命的な恋の始まりの様に僕は存在理由の第六番目に 恋みたいなもの…そう書き残す不
2024年12月6日 20:28
「12月の夜空」魔法に満ちた夜燃え盛る炎と愛しさ唇に降りて来た夢其の瞳の中に見た楽園貴方は私以外の誰かを愛する事なんて出来ないそんな言葉を口にする彼女12月の夜空に永遠を誓う星を描いたもっと自惚れなよ 綺麗だよ
2024年11月25日 10:39
「ライラック」嘘に閉じ込められた沢山の雀が空を仰ぎ羽ばたこうとしている僕は重みの無い小さな言葉の断片が羅列された紙切れを部屋中にばら撒く路地裏に捨てられた腐りかけの果物が入った箱からまだ食べられそうなものを漁る僕等はずっと下を向い生きて来た世界が新聞記事に集中している時僕と君は腐りかけの果物を分け合い食べた致死的な響きを帯びた風と暁色に染まる窓辺僕
2024年11月17日 17:45
「さよなら 愛しい人」起きて見る夢 愛だけを残して僕はただ其処にある空白に従属する何かが不意に通り過ぎる そう風だ一陣の風が通り過ぎて行く 何も奪わずに想いと意志を与えて自分が自由だと感じれる唯一の状態が此処にある 其れは空白の中だ僕の内面 混沌とした闇にある毒と向き合うある場合には致死量に匹敵する毒性を含むものだって其処には存在している現実と幻想が入
2024年11月10日 03:25
「花唇」咲き誇り揺れ舞い誘う花唇想いの数だけ言葉を重ねそっと此の手で触れた柔らかな花ただ ひとつの願い事 祈りは瞬く星明かり立ち止まり 振り返り また歩き出す栞を挟んだ此のページに書かれている 終わりの無い物語悲しみの雲と刹那の雨 希望の虹と柔らかな陽の光夜空には同じ想いを抱いた小さな星が並んでいる僕は其の星の輝きに耳を澄ませる貴方と同じ夢を
2024年11月6日 21:30
「夢のほとり」ひとつ またひとつ色を重ねて見えるだろう最後にはきっと救われる世界はいつか弱者に救いの光を与えてくれる僕等にも虹が見れると信じて激しく降りつける雨も我慢して来た一日はとても長く嘆きの雨は降り止まぬそして きっと 人生は短い誰のもとにも陽が照らされるのなら彼女は何故に… 僕等は さよならを告げる為に出逢ったんじゃない見上げ
2024年11月1日 10:24
「今夜なら」肩寄せ合って歩く影僕の伝えたい想いと 君から伝わる想い愛しさの欠片 恥じらい染める胸の音願いの明かりを灯す瞳の奥何度でも聞きたい言葉を覗き込む僕等の星がまたひとつ恋の詩を奏でる言葉になる前の言葉 歩こう 明日へ想いの星々が集い瞬く今夜なら
2024年10月31日 17:46
「星摘み」さよならを沈めた ありがとうの言葉時の流れの先に 咲く事のない花が揺れている結べない糸を後ろ手に隠して音もない夜に輝く一等星手を伸ばす真夜中星はあんなに遠く 夜はこんなにも長い街灯の明かり 踏めない影だけを連れて歩く舞い散る無言が此の街を包み独り行き先を影に尋ねる
2024年10月30日 11:01
「七色」秘密の色彩に指先が触れ そして唇が触れた時愛の言葉は静かに僕等の内面意識に閉じ込められる僕は迷いもなく この身を委ねる瞼を閉じて見つめ合い 夜の淵に誰も知らない小さな花が咲く君がかけた虹の下に僕は居た花の香りに似た記憶が僕を包み込む躊躇いがちに繋いだ手 指先に告白の余韻遠い日の恋は詩となり僕はまた触れられぬ虹の色彩に手を伸ばす交わす吐