反事実的思考で固定観念を捨て去れるか:占いによる性格診断は正しいか
他者の「反事実的思考」を作動させようと思ったら、例えば次のような問いを投げかけてみるといい。もしもあなたが平安時代に生まれていたら。もし今のウクライナに生まれていたら。もし黒人として生まれていたら。もし離島に生まれてインターネットのない暮らしをしていたら。
人は違った状況下においては、現在の考えとはまた違った考えを持っているだろう。そしてそんな空想に思いを馳せてみると、自分の結論や固定観念について、ちょっと考え直す気になる。
心理学でいうところの「反事実的思考」とは、現実の状況がどのように異なった形で展開していたかを仮装して考える思考法ことを言う。英語の「counterfactual thinking」(その起源はアリストテレスやプラトンの時代に遡るというから驚きだ)をそのまま訳した言葉だけれど、これはとても面白い考え方だ。
例えば「東京大学を卒業して、大企業や法曹界に入ることが最高のキャリアパス」と思っている人が、「反事実的思考」の見地から、「人生を成功か失敗かのバイナリー・バイアスで二極論に分けることなく、もっとバランスを求めた生き方ができるのではないか」と考え出したらどうだろう。
異なる想定下では、その人のこれまでの主義や結論や信念が、今とは全く違うものになっている可能性が高いということだ。
占い好きの人は、獅子座の性格はこうこうで、牡牛座の人はこんな性格だ、というようなことを言う。けれどももし、同じ獅子座生まれの同一人物であったとしても、2000年前のギリシャで生まれた場合と、20年前に東京のど真ん中で生まれた場合では、性格や行動、思考の構築の仕方が全く変わってくる。
このように固定観念を少し違った角度から見直すことで、また別の世界観が見えてくる。
そしてそれは固まった頭を柔らかく、人生の視野を広くしてくれる。
もし人生の途中で行き詰まったら、突拍子のない状況にいる自分を想像してみるのも一つかもしれない。
きっと新しい光が降りてきて、見え方が違ってくるだろうから。
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