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白湯の短歌

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今まで詠んだ短歌をまとめました*
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#詩

◆ 短歌:クリスマス

五千円かけた髪の毛アレンジも
触れられぬまま日付が変わる

恋人がいる方が寂しいと知る
27歳 クリスマスの日

***

長く付き合ってるカップルってこんなもんですかね。ショックでふて寝し、note連続投稿が途絶えました。

白湯(さゆ)

短歌 -1- 音で楽しむ季節

短歌 -1- 音で楽しむ季節

さらさらと もみじ身を寄せ輪唱し
虫も負けじとからだ震わせ***

風吹けば、まだ青い紅葉がさらさらと擦れ合う。
波のように広がる「さらさら」に、ふと気づいた。

重ねるように、虫の鳴き声。
脳に響く。身体の芯から落ち着く気がした。

秋は音が豊かな季節。
夜長に窓を開け、夜風に乗ったBGMを聞きながら、
ただ目を閉じて深く呼吸をしてみませんか。

***

短歌はじめました。

短いNoteをこ

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現代短歌 -2- 過ぎゆく季節 (3首)

現代短歌 -2- 過ぎゆく季節 (3首)

7日間 広い世界で他でもない
"キミ"を見つけたセミたちの歌 知らぬ間に排水溝に連なった
蝉のカップル 秋空あおぐ死んでなお 暴風雨にも流されず
契り交わした蝉が添い寝し***

台風や熱帯低気圧が何度か通り、
季節はすっかり秋に移り変わりました。

ある日、秋風に誘われてベランダに立つと、
排水溝には蝉2匹の亡き骸が
気持ち良さそうに天をあおぎ、並んでいました。

何度風雨が襲来しても、流されず

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現代短歌 -7- 就職活動 (6首)

現代短歌 -7- 就職活動 (6首)

ほがらかで平均的なAさんの
採用理由「ほがらかだから」GPA3.6のぼく落ちて
代返ばかりしてたあいつが掲示板 連なる「内定しました」が
自尊心やら何やら破砕「TOEIC 800点」の明快さ
企業理解度 数値化させて5社落ちてやっと気付いた
面接は射撃訓練ではなく会話「君の良さ? しっかりしてる。」
人事部に期待していた答えはもっと***

ふと懐かしくなって「みん就」を見たので、
就職活動につい

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現代短歌 -8- 安い飲食店(6首)

現代短歌 -8- 安い飲食店(6首)

「女こそ平気な顔で浮気する」
下卑た笑いが響き渡る店店員を叱る店員 客を見て
笑顔になって「いらっしゃいませ」

キッチンに「はい喜んで!」が響いた
感染予防 大丈夫かな

モーニング 安すぎちゃって不安だな
あとで飲み物追加しとこう行きつけのご飯屋さんに募金した
不思議! 心もお腹も満ちた

ご飯屋に求めるものは美味しさと
安さとあとは「平和な時間」***安くて良い飲食店もあれば、
安かろう悪か

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現代短歌 -9-  ランチ5000円 (5首)

現代短歌 -9- ランチ5000円 (5首)

「お食事を始めさせていただきます」
一礼されて胃がしゃんとする

目の前によりどりみどり 旬菜が
これから僕を構成してゆく十品の味覚を舌に乗せてみる
どれも新鮮 十品十色食前酒 料理と共に出される茶
旨み引き立ち キリリと香る

自尊心 手っ取り早く上げるなら
高くて旨い飯を食うべし
先日、京都伊勢丹を訪れる機会があり、
11階の「和久傳(わくでん)」さんで
ランチをいただきました。

その体験が

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現代短歌 -10- 旅先にて問う (7首)

現代短歌 -10- 旅先にて問う (7首)


旅し問う ここはいったいどこだろう
自分はいったい誰なんだろう

人格は土地柄により形成され
引っ越す度に人格増える

***

遠い地で何食わぬ顔して生きる
人が僕より幸せに見え

稲を植え 田に水を張り
コンバイン駆る人たちは
日々何思う?

東京でサラリーマンをするだけが
生きる手段といつから信じた?

山そびえ 川が流れて
作物が実る以上に 何を求める?

結局はないものねだり
都会にて

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現代短歌 -11- 一宿二飯 (6首)

現代短歌 -11- 一宿二飯 (6首)

「お料理は一粒残らず食べなさい」
呪いが支配する宴の場

美術品 並び続ける食卓で
ふと人件費の割合思う

途中からフードファイトが始まった
天ぷらの量 良い加減にして

胃もたれが加速していく連泊を
生き延びるため昼食を抜く

いかんせん適応力が高いので
二泊もすればまるで我が家よ

三泊もすれば故郷や両親や
会社を忘れ 名無しになった

***

一生分の魚介を食べ、
潮風を嗅ぐだけで吐いてし

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現代短歌 -13- 大企業という大船 (6首)

現代短歌 -13- 大企業という大船 (6首)

大船に乗って航海 大海原
陸地も星も見えないままで

偉いほど見えないらしいきらめきが
海の藻屑と化して散りゆく

ボート乗り白波飛ばし波間縫う
軽快なキミ みおろす僕は

***

はぁ 明日、会議の司会
眠れずに原稿作り 音読重ね

大荒れの海にて舵を取りきれず
原稿隠し 波に揺られて

寝る前の反省会が長引いて
夢の中でも溺れて沈む

***

大企業で社内政治に潰されたアイデアの数々が、

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現代短歌 -14- スマホ依存症 (9首)

現代短歌 -14- スマホ依存症 (9首)

通信が制限された不自由で
スマホ依存から自由になる

***

出かけなきゃ ちゃんとスマホ持ったっけ?
カバンまさぐる スマホ片手に

地図を見るためにスマホを持ち 歩く
気づけばネットサーフィン ここどこ?

暇だなあ すかさずスマホ取り出して
二時間溶けた 何してたっけ…?

冬は嫌い 手が寒いから
手袋したらスマホ見れない

新書買い、隙間時間を有意義に!
──結局カバンの底に忍ぶ

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現代短歌 -15- ネガティブあるある (7首)

現代短歌 -15- ネガティブあるある (7首)

寝る前に「明日死ぬ」まで妄想し
落ち込んどけば日中無傷

往復のどちらが嫌と聞かれたら
「行きは怖くて 帰りよいよい」

「え、引っ越し?」
海外旅行の荷物量
現地調達ゼロの気迫よ

自己評価 負か零でしかつけられず
他人の評価 正の値のみ

「努力家ね」
ネガティブさんの「無意識」な
保身活動 プラスに評価

トラブルが起きたとき まず思うのは
「どうすりゃこれを予期できたのか」

失敗を前提に

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現代短歌 -16- 人間と動物 (6首)

現代短歌 -16- 人間と動物 (6首)

古来より野山の命かりて生き永らえてきた
自覚はあるか

人間は地球の支配者? とはいえど
百獣の王にキバむかれたら

「可愛い」と庇護をうながし種を残す
猫の生存戦略 真似て

猿山の大将ばかりが囲われて
負けたつわもの 独りちぢまる

「サバイバルせよ」と野山に放たれた
現代人は何割のこる?

獣道 人のゆく道 見分けつつ
水音たどる彼の眼光

***

野山に混じりて竹をとりつつよろづのことに

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自由律俳句風 -1- ルックス(7句)

自由律俳句風 -1- ルックス(7句)

寝顔がブスじゃねえ女になりてえ

無意識が作りだす表情がトド

愛想求めんな、愛想を求めるぞ!

うるせー! 私にとって可愛く在る

ルックスは目に見えるだけで「個性」のうち

個性をひとつ伸ばせるなら? ルックス。

偉人にならねえ 巨乳にされるから

***

愛媛県松山に旅行に来ました。
ゆかりのある種田山頭火さん、正岡子規さん、夏目漱石の句を読み進めています。

俳句は勢いがありますね。

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現代短歌 -17- 大人になる (5首)

現代短歌 -17- 大人になる (5首)

「大人」とは 自分の機嫌と
人生の舵を自ら取れる人です

アラサーでやっと
自分の機嫌なら取れる
美味しいものを食べ寝る

人生の舵取りまじでムズくない?
航路通りもつまんないしさ

ベタ凪の同棲航路2年半
目的地には「結婚」は無し

求人を並べ欠点探しては
結婚できぬ人思い出す

***

世知辛いですね。
なにも考えずやりたいことだけ語っていた5歳の頃に戻りたい

白湯(さゆ)