エッセイ:忘れられない一節
私は出掛けた時、基本的に書店に行きます。そこでブラブラと30分ほど本をつまんでいます。たまにグやロフトも覗くくらいしますが。
三月の下旬だったかな、いつもみたいに書店で本をつまんでいました。その日も、なんの気無し選んだ中原中也の詩集を手に取り、いつものようにてきとうな頁を開きました。その時に目に飛び込んできた一節が忘れられません。
「げに秋深き今日の日は石の響きの如くなり。」
読んだのは春先でしたが、この寂寥感たるや、一気に秋のような虚しさを感じました。石の響き、というの