父の記憶②:「認知症の医者」から「空から見守る父」へ
私が生まれた時、既に38歳だった医師の父。
彼は本当に仕事が大好きで、関西の自宅兼診療所で働き詰めだった。
家族と過ごす時間は削られがちだったが、車の運転が好きだった父は忙しい中、私を塾や学校まで車で送り迎えしてくれた。
車の中で洋楽やサザンが流れ、音痴な父が調子っぱずれに口ずさんでいたことを覚えている。
私は高校生になった頃から友人との時間を優先し、学業が忙しくなった大学5回生で実家を出た。
以降実家には時々立ち寄る程度となり、父と過ごした時間は限られる。
私がお酒を飲め