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句集『金魚』阪西敦子 ふらんす堂
阪西敦子さんの第一句集
『金魚』に付箋がこんなに沢山になりました。
繰り返し読んでも実に心地よく読むたびに付箋が増えていきます。
その中で私の好きな初夏の句をいくつか抜きだしてみました。
『金魚』 阪西敦子句集
ふらんす堂
金魚揺れべつの金魚の現れし
どくだみや誰か口笛吹いた道
初夏やからりと回る洗濯機
雲見れば島動きたる五月かな
母の日の少女は口を開いて寝て
あぢさゐの囲む何もなき広場
初
句集『しなやかな線』
吉田祥子 文學の森 令和五年五月発行
「未来図」同人 未来図後継誌「磁石」創刊 編集同人
ながさく清江先生 超結社句桜田句会でご一緒の吉田祥子さん第一句集『しなやかな線』を読む。
小学校の教師をしていらっしゃる祥子さん、どのお句も自然体であたたかく魅力ある作品の多い句集です。
指先
くちびるに触るる茶柱春兆す
加賀金すべて撒くごと大花火
春浅し指先白く母の逝く
月光に清められたる蛇口かな
カメ
句集『今と決め』安倍川翔
フランス堂 平成26年版
ながさく清江先生の超結社句会「桜田句会」でご一緒いている 知音同人 安倍川翔さんの句集です。
西村和子先生帯
行方克巳先生序
春の灯やドライマティニもう一杯
騾馬を牽く青年の背に陽炎ひぬ
マンゴーと豚の頭を並べ売る
日焼けしてオレンジ色の似合ひたる
外灯に透けて守宮の動かざる
正装はバミューダショーツ虫の秋
貨車の列葡萄畑をゆつくりと
春愁や硝子戸くすむ基地の町
昭和女流俳人 池上不二子句集
昭和31年発行 近藤書店
池上不二子
新選女流俳人叢書
昭和三十八年 刊
寒紅に老いのこころの遊ぶなり
金銀のうろこ飛び散り櫻鯛
抱き寄せし吾子もろともに東風の中
初蝶の空新しく流れけり
冬の浪岩間があげし大しぶき
冬雲や川面一筋暮れ残る
流燈を置くとき額の大映し 額ぬか
流燈のつぎつぎ橋をくぐりゆく
七夕竹切り倒したるふかみどり
足もとに朝の蟲鳴く山晴るる
父を訪ふ
曼珠沙華楽しき花と今