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句集『金魚』阪西敦子 ふらんす堂



阪西敦子さんの第一句集
『金魚』に付箋がこんなに沢山になりました。
繰り返し読んでも実に心地よく読むたびに付箋が増えていきます。
その中で私の好きな初夏の句をいくつか抜きだしてみました。

『金魚』 阪西敦子句集
ふらんす堂

金魚揺れべつの金魚の現れし 
どくだみや誰か口笛吹いた道
初夏やからりと回る洗濯機
雲見れば島動きたる五月かな
母の日の少女は口を開いて寝て
あぢさゐの囲む何もなき広場
初夏の塔より出でて列の尾よ
犬小屋にけふは犬なし吹き流し
大地我が後ろにありて夏の門
片側はランタンの灯に照るキャベツ
死してなほ縞笑ひをる藪蚊かな
夏蝶が渡りて森のにはたづみ
金魚連れ帰る家々よくみせて
追ひ越せる一匹光り蟻の列

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