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道なき森と僕らの物語

※物語は全て無料で読めます😊

木が生い茂り、来るものを拒む森。
ここは一体どこなんだろう。
どうして僕はこんなところにいるんだろう。
僕は何度も自分に問いかける。
足元の落ち葉を踏むたびに、
過去の誰かの冷たい言葉が、頭の中こだまする。

『君はいつも間違っているんだ』
『誰も君を必要としてない』と。
それらの言葉が、僕を森に引き戻し、
何度も何度も僕を傷つける
「こんな森にいる理由なんて、もうとっくに忘れてしまった。どこに行きたかったのかすら、忘れてしまったよ」

果てしない森の中、道なき道を進む
葉っぱたちはまるで
僕たちをあざ笑うかのように
進むたびに、切り傷を負わせ
クスクスと笑っているようだ

「まぬけな人間がまた来たぞ」と
言わんばかりに。
早く抜け出したくて、走ってみても
森の中からは抜け出せなくて
僕は何度もこの森を抜け出そうとしても、
進むたびに葉っぱは、僕の行く手を塞ぎ、
枝は服に絡みついて離れられない。
『どうせまた失敗する』そう言って
ひどく冷たい目で、ケラケラと笑う

そんな目にも、笑い声にも、こんな傷にだって
とうに慣れたはずなのに。
進めど進めど、傷は深まるばかりで
治ることのない傷の上に、また傷が出来る。

僕からは見えない赤い液体は
後ろの道に点々と滴っているみたいだ。

そんな僕をしり目に彼女は突然現れた。
「小さな車に乗って、森の中を突っ走ろう」と言い出した
車で通れるわけないだろって伝えるんだけど
彼女は小さな車に乗り込み、エンジンをかけながら微笑む。
『昔ね、私もこんな森に迷い込んだことがあるの』と話し始める。
『そのときは怖くて、逃げたくてたまらなかった。でも、ふと気づいたの。怖がるんじゃなくて、楽しんでみるのもありだって。そう思ったら、森の中でも楽しいことが見つけられたの。 この森を走り抜けたいと思ったの』
彼女はそう言うと、迷わずアクセルを踏み込み、森の中を突き進んでいった。

森は怪奇な目で見ている
またおかしな奴がきたぞって騒いでる。
そんなことはおかまいなしに彼女は
どんどんつき進む

車はガタガタと上下にジャンプしながら
道なき道を進む
枯れ葉がタイヤでカサカサと音を立て、
頭上でカラスが鳴きだした。
森の影は深く伸びて、まるで僕を引きとめようと
手を伸ばしているようだ。

それでも振り返らない僕らを
森は必死になって襲ってくる
さらに生い茂って、とうせんぼのように道を隠す
森は手を広げ、僕の足を引っ張る
こけた僕を見て「また転んだ」と冷やかす。

本当に嫌なところだねって僕が口走ると
彼女は、このひどい森を
「まるでジブリみたいだね」って。
どこまでも澄んだ瞳で言うものだから
笑いがこみ上げてきた。
今まで苦痛にしか感じなかったこの場所が
彼女の一言で、世界が変わった気がしたんだ。

「本当にその通りだね、僕たちは、ジブリの主人公さ!」
と思わず大声で叫んでた。
自分でも驚くほどの声量で、心の中に勇気が湧いてきた。
森の囁くような冷たい声が徐々に、小さくなってゆくのがわかった。
『恐ろしい森でも、きっと最後は本当に大切なものを掴めるわ』
そう言って僕に微笑んだ。
その瞬間、初めてこの森が少しだけ美しく見えた気がした。

君だって、そうだろ?これは僕だけの物語りじゃないんだ。
大切なものに目を向けてみて。

あとがき
傷ついた心をどうしていいかわからず、自分を傷つけることでしか解決できなかった僕。そんな孤独な日々の中で、ひとりの少女が現れ、思いがけない言葉をかけてくれた。その言葉によって、僕の見る世界が変わったんだ。自分を傷つけるしかなかった僕、見える世界を変えるまで。

ここから下は私の見解を述べています
この物語は、ここまでを読んでいただいたので十分伝わります😊
SAIの頭の中を記載していますので、気になる方のみご覧ください。
最後に、この物語はSAIが住宅街に入ったのに気づけば草木がバシバシあたるくらいの細い道を車で通ることになり、「まるでジブリの世界」と思った一言から作られました( *´艸`)
ここまで読んでくださりありがとうございました♡
ではまた明日の詩をお楽しみに♪

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