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春待ちの庭で〜春の魔法が、そっと目を覚ます〜

雪の名残がまだ庭先に残るころ。
梅の木の枝先に、小さな小さなつぼみがふくらみ始めた。

「まだかな、まだかな?」

梅の枝にちょこんと座りながら、小さな妖精が揺れる。
桃色の透き通った羽をひらひらさせ、つぼみをそっとのぞきこんだ。

庭に出てきた少年が、それを見つける。
「今年も来たんだね!」
「うん!さぁ梅の花を咲かせる準備中だよ!」

毎年この季節になると、梅の妖精がやってくる。
小さくて、ふわふわしていて、少し気まぐれ。
それでも、一生懸命に梅のつぼみに話しかけたり、風を送ったりしている。

「春、まだ来ない?」
「うーん、もう少し!」
「寒いね。」
「だから、甘いものを食べよう!」

妖精は、どこからか小さな紅白の団子を取り出した。
「梅の木の下で食べると、おいしいんだよ!」
少年は笑って、家からお茶を持ってくる。
二人でお茶をすすりながら、梅の木の下で春を待つ。

それから数日後。
「ついに…!」

妖精が朝からそわそわしている。
冷たい風が吹く中、つぼみが少しずつほころびて——
ついに、ふわりと一輪の梅の花が咲いた。

「やったー!!」
妖精はくるくる回って大喜び。
「春、はじまるね!」

少年は梅の花を見上げて微笑んだ。
「また来年も、一緒に春を待とうね。」

妖精は大きくうなずいて、梅の花びらの上でくるりと回る。
冬の終わり、静かな庭先。
ひと足早い春の訪れを、小さな妖精とともに感じるのだった。

また、来年。

あとがき
寒かった冬も終わりに向かい、少しずつ春が目覚めてきました。
言葉を紡ぐことで、季節を肌で感じられている気がします🤗
春はもうすぐですね~🌸

今日と明日はハンドメイドマルシェに出店します✨
自分の好きな世界観を言葉やアクセサリーで表現できるように
そして、人と話すこと、それを大切に😌頑張ってきます♪

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SAI - 青の世界と物語
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