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絶望のキッズ携帯

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全ての引きこもりに捧げる! 【あらすじ】 嫁の友達である神戸在住42歳のババアには春から中学生になる不登校児の息子がいる。癇癪持ちでゲーム廃人のクソガキ。何とかならないかと嫁に相…
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#長編小説

【長編連載小説】絶望のキッズ携帯 第2話 ガキとババアの関係

そのガキは癇癪持ちで、気に入らないことがあるとすぐに暴れ出すそうだ。ものを投げるせいで家…

白瀬隆
3か月前
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【長編連載小説】絶望のキッズ携帯 第3話 翻訳家

まず俺について書く。翻訳家というとどのようなイメージを持つだろうか。良いイメージがあるな…

白瀬隆
3か月前

【長編連載小説】絶望のキッズ携帯 第4話 研修医

もともと俺は歯医者だった。正確には免許が取り消しになった訳ではないので現在も歯医者なのだ…

白瀬隆
3か月前
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【長編連載小説】絶望のキッズ携帯 第5話 歯医者さん

町の歯医者さんに勤めることになった俺は、郊外の焼肉屋さんというアットホームな空間で歓迎会…

白瀬隆
3か月前

【長編連載小説】絶望のキッズ携帯 第6話 心眼

院長はなかなかに物腰が柔らかな五十歳くらいの男だった。そしてクリニックもなかなかに繁盛し…

白瀬隆
3か月前

【長編連載小説】絶望のキッズ携帯 第7話 大学院

歯科という業界が嫌になった俺は、正しいことをしてお天道様に恥じない人生を送ることを決意し…

白瀬隆
3か月前
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【長編連載小説】絶望のキッズ携帯 第9話 出発

翌日、ガキは空港へと送られた。一応本人も興味を示していたようだから拉致や虐待の類には当てはまらないだろう。それにこの時代だ。LINEがある。困ったときはビデオ通話で居場所を探せばいい。俺はババアにガキの連絡先を聞いた。 教えられたのは今時珍しく電話番号だけだった。古風な家柄に相応しい。やはり陶芸家の孫だ。あまり新しいものを取り入れることを快く思わないのだろう。しかしババアが口にした、ガキの携帯電話でLINEが使えない理由は革新的だった。 「キッズ携帯だからLINEが使えなく

【長編連載小説】絶望のキッズ携帯 第11話 太麺皿うどん

長崎空港からの高速バスは繁華街から少し離れたところにある長崎バスターミナルとかいう建物に…

白瀬隆
3か月前
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【長編連載小説】絶望のキッズ携帯 第12話 愚痴

食事を済ませ、俺たちは家に帰った。さあ、聞こうじゃないか。お前が何をしに来たのかを。太麺…

白瀬隆
3か月前
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【長編連載小説】絶望のキッズ携帯 第13話 中学デビューのために

事態の深刻さに気付き始めたからには、策を用意しておいて損はない。このガキは今後も友達がで…

白瀬隆
3か月前
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【長編連載小説】絶望のキッズ携帯 第14話 スマホがない

ひとしきり笑ったガキは、長崎に辿り着いた時とは全く違う、子供の顔を見せ始めた。俺クラスの…

白瀬隆
3か月前
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【長編連載小説】絶望のキッズ携帯 第15話 一歩目

十円クソ野郎であるこのキッズは、一度親を泣かせる必要がある。それも今までのように自分が迷…

白瀬隆
3か月前
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【長編連載小説】絶望のキッズ携帯 第16話 自己紹介

自己紹介。その名の通り、自分を知ってもらう行為だ。陽気な自分を売り込んでもいいし、淡白に…

白瀬隆
3か月前
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【長編連載小説】絶望のキッズ携帯 第17話 台本

台本ができた。俺たちはプリントアウトし、ガキに渡した。さあ、読んでみろ。 初めまして。〇〇小学校から来ました。●●です。 好きな食べ物は焼き枝豆とアサリの酒蒸しです。 僕はキッズ携帯しか持たされていないので、キッズと呼んでください。 キッズ携帯ではLINEができません。 だから皆さん、僕にはショートメッセージで連絡してください。 すみません、十円かかりますので、僕は十円クソ野郎です。 よろしくお願いします。 俺は満足した。ガキ一人の人生を救ってしまった。これほどタフで優し