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人工衛星

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人工衛星をめぐるルールを3分で解説しています。
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#人工衛星

3分でわかる宇宙活動法〜人工衛星の管理計画〜

3分でわかる宇宙活動法〜人工衛星の管理計画〜



人工衛星の管理許可宇宙活動法では、人工衛星の管理を行うには内閣総理大臣の許可が必要とされています(国内の設備を用いる場合)。その際、人工衛星をどのように管理するかといった管理計画は審査項目の一つとされていますが、具体的にはどのような項目が審査されるのでしょうか?「人工衛星の管理に係る許可に関するガイドライン」に詳細が記載されているので、簡単にまとめてみます。
なお、宇宙活動法の全体像はアウトラ

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3分でわかる衛星リモセン法〜用語の定義〜

3分でわかる衛星リモセン法〜用語の定義〜



2018年11月15日に施行された衛星リモセン法は、リモセン記録の適正な取扱いを確保するため、①リモセン装置の許可制度、 ②リモセン記録を保有する者の義務、 ③リモセン記録を取り扱う者の認定等についてルール化しています。

リモセン法でも用語を定義している規定がありますが、肝心なリモセン装置とリモセン記録の定義が若干複雑なのでまとめてみます。

衛星リモートセンシング装置条文上は、以下のように

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3分でわかる衛星リモセン法〜リモセン装置の使用許可〜

3分でわかる衛星リモセン法〜リモセン装置の使用許可〜



衛星リモセン法は、リモセン記録の適正な取扱いを確保するため、①リモセン装置の許可制度、 ②リモセン記録を保有する者の義務、 ③リモセン記録を取り扱う者の認定等についてルール化しています。

今回は、リモセン装置の許可が認められるためにはどうすれば良いのかを取り上げます。

許可制度
高分解能(詳細に地上のモノが判別できる)のリモセン装置を使用するには、内閣総理大臣の許可が必要です。
そして、以

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3分でわかる衛星リモセン法〜リモセン記録の取扱い〜

3分でわかる衛星リモセン法〜リモセン記録の取扱い〜



リモセン法は、リモセン記録の適正な取扱いを確保するため、①リモセン装置の許可制度、 ②リモセン記録を保有する者の義務、 ③リモセン記録を取り扱う者の認定等についてルール化しています。

今回は、リモセン記録を取り扱う際の注意点をまとめます。

リモセン記録の提供の制限提供の制限
リモセン記録をやり取りすることは原則として制限されており、許可を受けたリモセン装置の使用者、特定取扱機関、認定を受け

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3分でわかる衛星リモセン法〜リモセン記録の取扱者認定〜

3分でわかる衛星リモセン法〜リモセン記録の取扱者認定〜



高分解能のリモセン記録は、原則として①許可を受けたリモセン装置の使用者、②特定取扱い機関、③認定を受けた衛星リモセン記録取扱者認定を受けた者にしか提供できません。
認定制度は、テロリストなどにリモセン記録が渡って悪用されてしまうことを防止するため重要です。
今回は、認定を受けるためには何が必要かを取り扱います。

認定制度リモセン記録を取り扱う者は、申請によって内閣総理大臣の認定を受けることが

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3分でわかるコンステレーションの法律問題

3分でわかるコンステレーションの法律問題



コンステレーションとは?2019年5月23日、SpaceXは、約12000機の超小型衛星からなるシステム「Starlink」のうち、60機の打上げに成功しました。
Starlinkは、地球上のあらゆる場所で最大1Gbpsのインターネット接続を提供することを目的とするプロジェクトです。

上の図からわかるとおり、大量の超小型衛星が軌道を周ることで地球上のどこにいても通信が可能となります。
また、

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3分でわかる宇宙のサイバーセキュリティ

3分でわかる宇宙のサイバーセキュリティ



人工衛星に対するサイバー攻撃人工衛星は、通信やGPSはじめ広く民生技術としても活用されていますが、使い方によっては人の生命をも奪い得る能力を秘めています。
例えば、複数の衛星が同一地点に向けて電波を発すれば巨大な電子レンジが出来上がりますし(殺人兵器になり得ます)、GPSの信号に誤りを生じさせて自動運転車の事故を発生させることも可能でしょう。
そうだとすれば、人工衛星あるいはその設備をハッキン

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3分でわかる宇宙ビジネスの資金調達(その2)

3分でわかる宇宙ビジネスの資金調達(その2)



前回の「3分でわかる宇宙ビジネスの資金調達」では、デット(借金)とエクイティ(出資)の違い、プロジェクト・ファイナンスとアセット・ファイナンスの違いなどについて解説しました。

ところで、アセット・ファイナンスでは、お金を貸す側が会社の資産を担保に取ったりすることで、返済してもらえるようリスクヘッジをします。ここでいう担保については、宇宙ビジネスの資産専用の制度があるわけではなく、昔から地球に

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3分でわかる衛星同士の衝突回避



SpaceXの衛星とESA(欧州宇宙機関)の衛星が衝突しそうになったため、ESA側で衛星の回避行動をとったという記事です。

ESAの衛星はaeolusという気象衛星で、昨年8月に打ち上げられました。
一方、SpaceXの衛星はStarlinkという通信衛星で、今年の5月に打ち上げられた衛星群の一部です。Starlinkは1基で運用しているわけではなく、複数、具体的には計画ベースで12000基

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3分でわかるリモートセンシング原則



地形、気温の変化、氷河や石油タンクまで、広く地表の情報を取得することが可能な衛星リモートセンシングが注目されています。
日本では2017年11月に衛星リモセン法が施行され、リモセンデータの取扱いについてのルールが整備されました。
しかし、それよりもずっと前に、リモートセンシングの基本的な在り方について世界で議論され、ルールが作られています。

1986年に採択された「リモートセンシング原則」は

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3分でわかるリモセンデータの保護

3分でわかるリモセンデータの保護



衛星リモートセンシングデータは、その分析によって幅広く地表の情報を取得できるものとして価値を持ちます。
サービス提供のために分析されたデータを提供する事業者としては、そのデータが保護されていた方がビジネスを進めやすい側面があることは否めません。

しかし、リモセンデータが法律上どのように保護されるのか、明確な規定はありません。
そこで今回は、リモセンデータを保護する方法について取り上げます。

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3分でわかるリモートセンシングと個人情報

3分でわかるリモートセンシングと個人情報



衛星リモートセンシングは、人工衛星を使って宇宙空間から地表の情報を広く取得する技術です。
その分解能(解像度)やクオリティが高まるにつれて、個人の生活の様子等も把握できるようになってきました。
この場合、個人のプライバシーや個人情報との兼ね合いが問題となり得ます。

個人情報との関係ー個人を特定できるかどうか個人情報保護法は、「個人情報」を生存する個人に関する情報であって、特定の個人を識別する

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3分でわかる中国の宇宙物体登録(宇宙物体登録管理弁法)

3分でわかる中国の宇宙物体登録(宇宙物体登録管理弁法)



中国の宇宙物体の管理体制宇宙物体登録条約は、宇宙物体についての登録制度を定めています。
登録によって、どこの国が何を管理しているか、また、どの宇宙物体について責任を負うかが明らかとなります。

中国では、国内法として宇宙物体の登録制度を設けており、その制度を支えているのが宇宙物体登録管理弁法です。
同法の目的として、以下の点を実現することが規定されています。

・宇宙活動に対する国の管理を強化

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3分でわかるカナダのリモセン法

3分でわかるカナダのリモセン法



カナダのスタートアップSkyWatch Space Applicationsが750万ドルを調達したというニュースです。
同社は、衛星画像の配信プラットフォームと、リモートセンシング(リモセン)衛星の地上システム向けソフトを開発している会社です。 

日本で衛星リモセン画像を扱おうとする場合、リモセン法の適用を受けるかどうかが問題となりますが、カナダの場合はどうでしょうか?

カナダのリモセン

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