東証の再編〜新たに構成される3つの市場とは〜
2022年4月4日から東京証券取引所(東証)
の市場区分が再編される予定です。
再編まで約2ヶ月と近づいてきたお話なので、
投資をしている方は必ず押さえておきましょう。
そもそも、日本の証券取引所はいくつあるか
ご存じですか?
実は、日本には4つの市場があります。
・東京証券取引所(東証)
・名古屋証券取引所(名証)
・札幌証券取引所(札証)
・福岡証券取引所(福証)
よく聞くのが東証ですよね。
このうち、東証は日本で最大の市場であり、
世界三大市場の1つにも名を連ねてきます。
残り2つはニューヨークとロンドンです。
また、これら4つの市場にはそれぞれ区分が
あります。
名古屋証券取引所は以下の3つ。
・名証一部
・名証二部
・セントレックス
札幌証券取引所は以下の2つ。
・本則市場
・アンビシャス
福岡証券取引所は以下の2つ。
・本則市場
・Q-Board
そして、今回再編となる東京証券取引所は、
以下の5つで構成されています。
・東証一部
・東証二部
・JASDAQスタンダード
・JASDAQグロース
・マザーズ
これらの市場に上場している会社を上場企業
と言いますが、東証一部とマザーズでは企業
規模が全く異なります。
東証一部では名だたる企業が揃っていますが、
マザーズではまだまだこれからという新興企業
が中心です。
そのため、マザーズ等での投資は東証一部に
比べて倒産リスク等も高いですが、その分成長
した際の跳ね具合も倍ということです。
さて、この東証市場が今回再編に至った理由
として、東証一部上場企業の質の低下が1つ
挙げられています。
東証一部には2022年1月時点で2,184社が
上場をしております。
この一部上場への基準の1つとして、
株式の時価総額が250億円以上であること
という点がありますが、
2021年3月時点では約30%の企業が250億円
を下回っているというデータもあるようです。
そういった企業が多く東証一部に残留している
ことは、世界三大市場である東証の質の低下を
促進させることに繋がり、海外の投資家からの
投資を得られなくなることにもなりかねません。
また、知っておきたい指数として2つあります。
・日経平均株価
東証一部上場銘柄の中でも225銘柄を対象
業種バランスや流動性を見て定期的に入れ替え
・TOPIX
東証一部上場全銘柄を対象
これらが投資信託におけるインデックスファンド
の指数となっていることも多いです。
しかし、この指標の元となる東証一部上場
企業の質が悪いと、パフォーマンスは低下する
一方です。
低パフォーマンスの指標は投資家からも価値を
感じてもらえません。
この東証一部上場企業の適正なクリーニングが
なされることこそが、東証市場価値向上の一助
となると私も感じます。
実際に、アメリカの代表的な指数であるS&P500
はNASDAQやニューヨーク証券取引所30銘柄を
対象としておりますが、日本のTOPIXと比べ、
パフォーマンスが断然に違います。
そのため、今はS&P500に連動する投資信託を
つみたてNISA等で買付している方も多いです。
国としての経済政策なども全く異なるため、
色々な外部要因が影響しておりますが、
上場基準だけで比べてもこれだけ違います。
拡大してみていただくとわかる通り、
時価総額基準や流通株式数など全然違います。
そのため、日本の市場は上場基準は厳しいものの
一度入ってしまえば成績はボチボチで居続けられ
る、いわば大学入試をクリアして、学生にさえ
なれば大学に居続けられるような感じです。
一方で、アメリカの市場は入るのはそこまで
厳しくないですが、上場廃止にならないよう
居続けるための基準がかなり厳しい条件です。
成績の悪い企業はどんどん淘汰されていく、
資本主義大国、成果主義THEアメリカという
感じですね。
こうして、適正なクリーニングをして最高の
パフォーマンスの指標を構成しているという
わけです。
そのため、今回東証市場も質の改善として、
市場再編が行われることとなりました。
今回の再編としては、従来の5区分から3区分
となります。
新しい3区分は下記の通りです。
・プライム市場
・スタンダード市場
・グロース市場
イメージはこんな感じですね。
各市場の基準は下記の通りです。
基準詳細については日本取引所グループ(JPX)
のサイトをご確認ください。
この3区分への再編がなされることで、日本の
投資市場への影響は大きいと考えられます。
特に、TOPIXインデックス系のファンド成績、
TOPIX構成銘柄である個別株への投資など、
影響が出る点はたくさん考えられます。
しかし、何事も端境期は損益が発生するものだ
と思います。
これで日本市場の質が向上され、世界からの
投資価値も高まれば、国力の上昇にも繋がる
と思います。
4月以降の今後の動向が楽しみですね。
それでは。