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2022年新作テレビドラマ放浪記

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2022年の新作テレビドラマの感想です
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#岸井ゆきの

「アトムの童(第9話)」勝つのはクリエイターであり、未来を創るものだという結論

先週の山﨑とオダギリが「ぷよぷよ」で対決するシーンがこの展開になる感じはした。結局は、ゲームを作るものたちが勝つ展開。そう、時代は熱いものたちに応援するという結果であり、キーマンとなっていた山崎努は、その応援者であったということだ。その山崎努の心を動かしたのが松下洸平だという流れも悪くない。二人の友情でゲームができていくという話の大団円としては、悪くない。 そんな中で、このドラマの中で敗者的に扱われる、麻生祐未や西田尚美には、全く視聴者を惹きつけるような未来が見えなかった気

「アトムの童(第8話)」誰が敵で、誰が味方か?ものつくりにそんな概念は必要ないのでは?

ゲーム業界の生き残りを賭けてという感じの株主総会であったのだろう。それが行われる前に、オダギリジョーが警察に任意同行。その背後に皆川猿時のタレコミがあったのか?まあ、銀行員の描き方を醜く描くのは、「クロサギ」と同じか?TBS、銀行敵に回して大丈夫? そんな中、今回のラスト、株主総会の真ん中でマイクを持った山﨑賢人、格好いいですな。今回の役は、カジュアルなゲーマーにおいても、スーツを着たオフシャルな姿も実に生き生きとした山﨑を見ることができたのは収穫かもしれない。そして、恋愛

「アトムの童(第6話)」自分たちの夢見る場所が想像できれば、そこに帰ってこられるということ

先週のとんでもない終わり方で、これは怒りの復讐編に変わるのかと思ったら、そんなことはない、全く先週とは違う心地よい再生の回となっていた。憎しみよりも、自分たちのやりたい夢を追いかけ、その再生の場所に辿り着くということを主題に持ってきて、新しい会社の名前が「アトムの童」。タイトル回収で、ここからがドラマの本当のテーマの追求という感じなのだろう。 会社を奪われて一年後、松下は玄里のつながりなのだろうが、自動車メーカーで自動運転のAIとの連携ソフトを作っているようだ。そして山﨑は

「アトムの童(第5話)」ここで天から地に落とされ、本当の復讐劇が始まるということ?

しかし、資本家と銀行が組んでこんな事をやっていい訳はない。日曜劇場でこういう修羅場みたいなのを色々見させられてきたが、最も醜い光景の気もした。そして、最後に吠えるオダギリジョーは、究極に悪い奴に描かれている。来週から全く様相の変わるドラマになりそうだ。視聴者をどのように気持ちよくさせるのか楽しみなところ。 その前触れというのか、まずはゲーム配信がうまくいかないという流れから。全てはオダギリが配信会社に手を回して行った事なのだろうが、日本人でここまで権力行使できる人間がいるの

「アトムの童(第3話)」敵が周囲を全て取り囲んでいる状況を真摯な態度でどう逆転するのか?

しかし、ゲームを作る段になって、後から入ってきた林泰文や、松下が連れてきたパブリッシャーの玄里など、そして銀行の皆川猿時らも、全てオダギリ・ジョーの手の中にあるということが、この回で完全に明らかにされ、なおかつゲームのデータを全部消去してしまうとは、オダギリ・ジョー、自分の利益のためなら、他人の夢などどうでも良いというスタンスが明確になってきた。しかし、ゲームを作るときにバックアップというものをしていないということはないだろうと思うのだが、そのファイルまで消したのか?まあ、デ

「アトムの童」ゲーム業界を描きながらも、人間関係のアヤみたいなものがテーマか?

このドラマの最初で説明されるように、今やゲーム業界はその才能とアイデアで巨万の富を得られる世界であることは確かだ。そして、大企業対個人という形でも闘うことが可能な世界でもある。そこを舞台に、側から見たら無謀と思える闘いを描く物語のようだ。 放送後、ネットの感想を見ると、「下町ロケット」「陸王」と同じテイストを感じた方が多いようだ。確かに日曜劇場としては同じような、アリが象に立ち向かうような話。だが、最初から、闘うものに人間関係の過去があり、その復讐戦的な要素があるのは、池井

「パンドラの果実〜科学犯罪捜査ファイル〜(第9話)」10年後の未来が全く予想できない事と、テロの脅威が隣にあることと…

ラスト、家族と友人が仲良く誕生日を祝うシーンで終わる。そう、このドラマは、こういう笑顔のある日常がいつまでも続きますようにと願うために作られていると信じたい。 シンギュラリティというAIの進化の話から始まったドラマは、最後はウィルスのを人が悪意で故意に進化させることにより、テロを起こすという話で帰結した。これを見て、現状のパンデミックが、故意に起こされたのではないかと思う人もいるだろう。そして、バイオテクノロジーの発達は、新たなテロの火種として世界中で考えられてたりもすると

「パンドラの果実〜科学犯罪捜査ファイル〜(第8話)」遺伝子操作、不老不死、そしてその先には世界制覇?

今回は、ディーン・フジオカの娘を追って、必要なものが、悪巧みのところに集められ、それを追うものは、痛めつけられながら、なんとかそこについていくという1時間。今までとは違い、あまり科学的検知的なものは出てこなかった。最終回の予告の断片を見る限りは、今まで視聴者に見せてきた、先端科学をまとめて世界制覇につなげるような、ある意味古典的な結末になりそうだ。 そう、こういう話は、手塚治虫の漫画を多く読んでいた世代には、得意分野である。科学を正義のために使うか?自分の満足のために使うか

「パンドラの果実〜科学犯罪捜査ファイル〜(第7話)」万能遺伝子の奪い合いという、実際にもありそうな話に危うさを感じる

娘が誘拐され、思いっきり全力で走る、ディーン・フジオカ。彼をこの役に当てたのは、このためかと思わせる。こんなに必死こいた感じに走れる役者は彼しかいないだろう。こういう場面が生きる役を彼に与えたいと思うのは私だけではないだろう。 そして、物語の芯は、遺伝子戦争みたいなものだとわかってくる。その免疫万能の遺伝子を持つ人間が、フジオカの妻の本仮屋ユイカだったという話だ。その妻が双子だったということがわかる。片割れが、岸井が開発していたプロメテウスウィルスに感染したものの、老化しな

「パンドラの果実〜科学犯罪捜査ファイル〜(第6話)」ナノマシンという見えない世界が人類に寄与する日はくるのか?

40年前くらいの昔、まだ、スマホもなかった頃、「マイクロマシン」なる言葉があった。モーターなどを極限まで小さくしていってロボットの駆動に使ったりしていた。その頃は、デジタルの世界がそんなに広がっていたわけではなく、AIとかいうものの今のようなイメージもなかった。 そんな、小さな駆動装置は昨今では当たり前になってしまい、今回、このドラマで描かれているのは、「ナノマシン」と呼ばれる、ウィルスレベルの機械である。いや、機械と言えるかどうかもよくわからない。これができるなら、細胞レ

「パンドラの果実〜科学犯罪捜査ファイル〜(第6話)」霊をいないものと科学分析した上で、霊を否定できない話

ディーン・フジオカ、ユースケ・サンタマリアに加えて、ダイヤモンド・ユカイとは、どんなドラマなのだろうか?それはともかく、ダイヤモンド。ユカイは、ずーっと彼のスタンスや雰囲気を保ったままに今年還暦。こういう存在も、また不思議な事象にも感じる。とはいえ、存在感はある。 今回のお題は、「霊の存在」。いまだに、ネット上には心霊写真的なものも多く見受けられる。心霊写真というのは、現像の時の化学的な要因によってできることもあったのだが、デジタルの場合は合成がしやすいからなおさら真偽がわ

「パンドラの果実〜科学犯罪捜査ファイル〜(第5話)」ウィルスの研究は今も進み、新しいウィルスが作られているという怖さ

人類を滅ぼすようなウィルスを作ってしまったということが岸井ゆきのが超えてはいけないものを超えてしまったというところが明かされる。上の写真にあるウィルスの姿を見るだけで怖そうなのは、なかなか、ドラマ的には引き込まれる。 その岸井と一緒にウィルス研究に励んでいた、栗山千明が、35歳で老衰で死ぬという事件が起こる。岸井が研究をやめて以降も、栗山はその研究を続けていて、事故でそのウィルスを浴びてしまい死に至ったという話。しかし、停電したから持って逃げたというが、-80度で保存できる

「パンドラの果実〜科学犯罪捜査ファイル〜(第4話)」拡張現実が、リアルを操作するということ?

4回目のお題は、VR、バーチャルリアリティ。多分、ここのところで技術的にはまだまだ新しくなっていきそうな分野。上の写真のように、宇宙に行けるような感じなら、そこで重力も変わるとか、そう言う施設的なものも考えられる。これは、狭い空間の中で、大きなデータを取得できるという意味でもあるのだろう。 このドラマでは、突然の連続転落死ということが、事件の発端。オチは、いわゆる、リアルな空間とヴァーチャルな空間を混同していたということ。飛び降りても死なない、バーチャルな世界を味わった後で

「パンドラの果実〜科学犯罪捜査ファイル〜(第3話)」科学が超えてはいけない壁とは何か?そして、科学という言葉の脆さ

岸井よしのが最初から何度も「科学には超えてはいけない壁がある」的なことを呟いてる。そして、それがこのドラマのテーマでもあるのだろう。フジオカの口から、シンギュラリティという言葉も出てきたし、「科学が人の知能を超えるのか?」という命題に、いろんな可能性を示そうとするのがこのドラマなわけだろう。そういう意味では興味深い。 今回は、人間の蘇りの話。研究室の遺体安置所の遺体が突然歩き出したという話だ。先にも書いたが、この手の話は約半世紀前の「怪奇大作戦」でも描かれていた事象だ。ただ