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「パンドラの果実〜科学犯罪捜査ファイル〜(第8話)」遺伝子操作、不老不死、そしてその先には世界制覇?

今回は、ディーン・フジオカの娘を追って、必要なものが、悪巧みのところに集められ、それを追うものは、痛めつけられながら、なんとかそこについていくという1時間。今までとは違い、あまり科学的検知的なものは出てこなかった。最終回の予告の断片を見る限りは、今まで視聴者に見せてきた、先端科学をまとめて世界制覇につなげるような、ある意味古典的な結末になりそうだ。

そう、こういう話は、手塚治虫の漫画を多く読んでいた世代には、得意分野である。科学を正義のために使うか?自分の満足のために使うか?という選択。その中で、勧善懲悪的な話に持っていく。だが、このドラマはそんな単純なものではない気はする。まずは、プロメテウスウィルスが注入されたエルマー遺伝子保持者は、このままでは、死んでいくことは明らかで、岸井ゆきのは、それに対抗するナノマシーンを短時間で作れと脅迫される。実際、岸井はナノマシーン研究者ではないのだから、そのものの理解から始めたらとても時間がない気がするのだが、それを促す加藤雅也は、岸井がそのくらい天才だと思っているということなのだろうか?こうなると、もはやSFというよりは、子供向けの漫画のストーリーだ。この辺りが、このドラマがもう一つ盛り上がらないところなのだろう。

そして、それを追うフジオカは、走って、闘って、潰されながら、娘の居所に近づく。警察の捜査は全く無視して走るというのも、盛り上げるためにはわかるが、古典的な刑事ドラマとSF話の融合というところ。そこに、新しさは見えないが、これで楽しめる人がいればいいのだろう。

前から書いているが、ここで提示される、仮想の科学は、手塚治虫の時代とは違い、実際にそうなる可能性が見えてきているようなものが多い。そして、そんな馬鹿げた話に、真骨注ぐ科学者たちは世界中にいると思われるわけだ。そういう意味で、ただ、正義か悪か?というような落とし所にはしにくいのが現実。だから、この先の結末の出し方はすごい重要だと思う。

そして、その遺伝子やなのマシーンを弄れる、岸井ゆきのだけが、この結末を作れる人なわけで、そのあたりの葛藤みたいなものに、もっとフォーカスしていかないといけないのでは?と思いますよね。作り手は、そこを一番、曖昧にしたいのだろうけどね…。

多分、加藤雅也とその一味が企んでるのは、不老不死の遺伝子を自分の手にすることにより、大きなビジネスを行い、世界を制覇するようなことなのだろう。今も、ロシアなどでは、人など殺しても、自分の利権を守ろうとする輩もいるし、武器商売は、世界制覇につながって今も動いている。それに代わるものが、バイオテクノロジーだと思って動いているものは多いだろう。

そう、今回のパンデミックにしても、実際、ビジネスライクで世界が薬業界に振り回されただけであり、彼らは多くの富を稼いだわけだ。そして、彼らはウィルスを制圧できはしなかった。ある意味、バイオテクノロジーには、それくらいに人々に恐怖も希望も与えるということを示したということである。

そういう題材を扱ったのがこのドラマである。ラストくらいは、しっかりしたメッセージが欲しいと感じた、ラスト前の今回であった。

とはいえ、HULUでのシーズン2はすぐ始まるのですね。そこに繋ぐのは、なかなかハードルが高い気はしますけどね…。

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