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2024年8月の記事一覧

【読書ノート】『御伽の部屋』(『授乳』より)

【読書ノート】『御伽の部屋』(『授乳』より)

『御伽の部屋』(『授乳』より)
村田沙耶香著

村田沙耶香ワールド全開のシュールな物語。主人公の佐々木ゆきの幼少期と現在の中性的な男子との出逢いの物語。

「御伽の部屋」というタイトルは?
現実と非現実の境界や想像力の領域を表す。この言葉は、日常の枠組みを超えた空間や出来事を指し、人間の知識や認識の限界を超えるような領域を示唆する。

物語の主題は何か?
男女差別のない世界、男女平等の世界を真っ当

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【読書ノート】『夫とUFO』(『我が家の問題』より)

【読書ノート】『夫とUFO』(『我が家の問題』より)

『夫とUFO』(『我が家の問題』より)
奥田英朗著

夫が、自らにはUFOが姿を見せ、それらと交信していると告げてきた瞬間から、この物語は始まる。

夫は、決して新興宗教にはまらず、しかし、心からUFOとの対話を信じ込んでいるようだ。

私(妻)は、かつての同僚から会社の内情を聞いてみたところ、様々な問題が明らかになってきた。

キーワードを挙げてみる。

①UFOの目撃
未知の存在や現象に直面す

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【読書ノート】『ある閉ざされた雪の山荘で』

【読書ノート】『ある閉ざされた雪の山荘で』

『ある閉ざされた雪の山荘で』
東野圭吾著

今年は、映画もあって、けっこう話題になった作品なので、積読状態だったのだけど、ようやく読むことができた。

7人の俳優が、最終オーディションとして、雪に閉ざされた山荘に集められる。山荘で起こる事件を解決する課題が与えられている。

密室の中、次々と、メンバーが姿を消していく。アガサクリスティーの『そして、誰もいなくなった』を思い起こさせられた。

俳優と

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【読書ノート】『思い出エレベーター』(『時ひらく』)

【読書ノート】『思い出エレベーター』(『時ひらく』)

『思い出エレベーター』(『時ひらく』)
辻村深月著

本書は6編からなるデパートアンソロジー。本作品(『思い出エレベーター』)は、辻村深月さんが担当。

日本橋三越を舞台にした物語。

デパートというのは、幸せの象徴のような場所だ。

物語に登場する一家は、日本橋三越。一家の思い出の場所。何となく、暖かく、ほろ苦い気持ちにさせられる。

デパートのエレベーターは、懐かしい思い出を呼び起こす。昔、子

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【読書ノート】『真珠星スピカ』(『夜に星を放つ』より)

【読書ノート】『真珠星スピカ』(『夜に星を放つ』より)

『真珠星スピカ』(『夜に星を放つ』より)
窪美澄著

高校生のみちるは2ヶ月前に亡くなった母の霊を見る。母親は、言葉を発することはできないものの、表情や身振りで、みちるにアドバイスをしてくれるのだ。

ある日、みちるは、いじめっ子たちに捕まって、学校の屋上に連行されて、みちるに取り憑いている悪霊を除霊すると言ってコックリさんを始める。コックリさんからのメッセージは、
「い、し、め、た、ら、の、ろ、

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