【読書ノート】『真珠星スピカ』(『夜に星を放つ』より)
『真珠星スピカ』(『夜に星を放つ』より)
窪美澄著
高校生のみちるは2ヶ月前に亡くなった母の霊を見る。母親は、言葉を発することはできないものの、表情や身振りで、みちるにアドバイスをしてくれるのだ。
ある日、みちるは、いじめっ子たちに捕まって、学校の屋上に連行されて、みちるに取り憑いている悪霊を除霊すると言ってコックリさんを始める。コックリさんからのメッセージは、
「い、し、め、た、ら、の、ろ、う」という言葉だった。以降、いじめは収まった。そして、母の霊も現れなくなった。
最後に、みちるが、父親に一生懸命に作ったコロッケの中からなくなっていた真珠のピアスが出てくる。という話。
キーワード
①スピカ
おとめ座で最も明るい星で、美しく輝く一等星。和名の「真珠星」は、その純白の輝きに由来している。ギリシャ語で「尖ったもの」を意味する「スピカ」は、おとめ座が持つ麦の穂先にあたり、「穂先」という意味になっていて、英語読みでは「スパイカ」や「スパイク」の語源になっている。
②真珠のピアス
真珠は「愛情」を象徴する宝石。その理由は、丸い形をしているため、「縁が切れない」「愛する人を繋ぎ止める」「愛を引き寄せる」という意味がある。
「真珠のピアス」というユーミンの作品は、失恋や別れをテーマにしている。歌詞の中で、片方のピアスを彼のベッドの下に捨てるのだけど、愛情と別れの複雑な感情を表しているのだという。
物語の主題は何か?
⑴母親は安心感を与えてくれる存在であり、その愛情はかけがえのないものだということ。
⑵母親は子どものことを常に考え、自分のためだけでなく、子どものためにも行動するということ。
⑶母親は家族の中心であり、家族の空気感や個性をまとめている存在だということ。
真珠のピアスは、母の存在と愛情を象徴していることから、彼女は家族をつなぎとめる大切な存在であったのだと理解した。