【書評】サイモン・シンの『代替医療解剖』は第1章だけでも読んでおいたほうがいい。
ロッシーです。
最近、サイモン・シンの著作がマイブームです。
『フェルマーの最終定理』
『暗号解読』
『宇宙創成』
どれも本当に面白い!
そして、この『代替医療解剖』も面白かったです。
「代替医療」というのは、ざっくり言うと、通常の病院で行なわない医学、医療のことです。
本書では、ホメオパシー、アーユルヴェーダ、カイロプラクティック、鍼灸など、様々な代替医療について、その有効性について記載されています。
では、そもそもその有効性というのはどうやって判断するのか?
それは、「ランダム化比較試験」というアプローチです。
「なんだそれ?」
と思う人も多いでしょう。
「サンプルを無作為に割当てた異なる群に対して,変数X(要因)の介入度を変えた結果変数Y(結果)が群ごとにどれだけ差があるかを調べる手法」
のことなのですが、これだけ読んでもチンプンカンプンだと思います。
ざっくり言うと、
「とあるAという成分が人体に有効なのかどうかを確かめる場合、まず2つの集団を作って、同じ条件にする。そして、片方の集団にはAを投与し、もう片方の集団にはAのプラセボ(偽薬)を投与する。そして、治療法を提供する側も、自分がAを投与しているのかプラセボを投与しているのか分からないようにする。」
というものです。
詳細については、本書の第1章に分かりやすく記載されていますので、ここだけでも読む価値があると思います。そして、科学的思考方法のなんたるかを理解することができると思います。
そういう知識がないと、SNSなどで「これに効く」とかいう言説に乗せられてしまいかねません。
特にコロナ禍ではそういうことが多く見受けられたように思いますし、様々な陰謀論も多くSNSなどで流布されていましたから、悪影響を受けてしまった人も多かったと思います。
そうならないよう、きちんと科学的思考方法を身に付けましょう!
本来は、科学的思考方法について、学校できちんと教える必要があると思いますが、そこまで教えてくれないのが現実です。
だから、とある製品のコマーシャルを見て、
「あ、なんだか効きそう!」
と勘違いして高いお金を支払うことになってしまうわけです。
逆に、私たちがお医者さんに行って処方される医薬品は、このランダム化比較試験というハードルをクリアしているため、「〇〇に効く」と堂々と言えるわけです。
基本的に、医薬品と同等のハードルを潜り抜けていないものは、「〇〇に効く」と言えません。言ったら薬機法という法律に違反することになります。
でも、業者もそこは心得たもので、ストレートに「〇〇に効く」とは書かずに、「〇〇でお悩みの方に」というようなグレーな書き方をするわけです。
でも、本当に効くのであれば、「ランダム化比較試験」をしてそれを統計上証明すればよいわけです(お金はかかりますが)。
もちろん、世の中に沢山存在する「代替医療」の全てがウソではありません。それらが本当に効くのかどうか、本書はその限界やリスクも明確に示していますので、代替医療の実践者や患者にも参考になるんじゃないかなと思います。
医療というものが科学的思考方法のもとに整備されてきたのは、歴史上比較的つい最近のことです。
それまでの人類史上、私たちは、根拠も定かでない適当な医療を行ってきていました。瀉血なんていうのもそうで、病気になったら血を出せばいい、なんていうアホな治療法が18世紀には当たり前に行われていたわけです。
そういう時代に生まれなくて良かったですし、現代の医療体制を築いてこられた先人達に本当に感謝したいですね。
ぜひ、興味のある方は読んでみてください!
最後までお読みいただきありがとうございます。
Thank you for reading!