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2023年美術鑑賞記録

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2023年に見た美術展色々
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#絵画

【所蔵品を魅力的にみせること】みること・つくること・さわること 府中市美術館 常設展

【所蔵品を魅力的にみせること】みること・つくること・さわること 府中市美術館 常設展

府中市美術館 常設展 みること・つくること・さわること(23年2/26会期終了)

府中市美術館のコレクションは江戸絵画〜近代〜現代美術まで多岐にわたる。

絵画、彫刻、日本画、写真、造形表現も多岐。
これをシンプルに時代ごとに「江戸絵画の動物」「人体と彫刻」「光・風・水」「物質」の4つの小テーマに沿った構成で見せる。

色々あるなぁと思いながら、自分の琴線に触れる作品を探すのが楽しい時間。

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【現行Bunkamuraのフィナーレはシャネルのドレスとともに】マリー・ローランサンとモード  Bunkamura

【現行Bunkamuraのフィナーレはシャネルのドレスとともに】マリー・ローランサンとモード  Bunkamura

今回、展示の切り口はマリー・ローランサンとモード。
お、これは服飾展示あるで?といそいそと見に行った。
100%絵画の話だったら、、、、もしかしたら見に行かなかったかもしれない。

絵画と時代をどう見せるか

その時代を反映する服装がよく見ると絵画の中に散りばめられている。
帽子、宝飾、ワンピース。服飾文化史から紐解いても面白い。今まで、なんとなくもやーっとした絵画の人、という認識が変わってくる。

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【海辺のゲルハルト・リヒター】 見えないもの、見たいこころ 野崎道雄コレクション受贈記念 神奈川県立近代美術館 葉山

【海辺のゲルハルト・リヒター】 見えないもの、見たいこころ 野崎道雄コレクション受贈記念 神奈川県立近代美術館 葉山

2023年6月19日。曇。
神奈川県立近代美術館葉山でも、寄贈による新所蔵品展のお披露目が行われている。
「でも」というのは、2023年GWに静岡県立近代美術館で開催された新所蔵品展も寄贈品中心のお披露目だったからだ。
静岡県美と交流を続けた現代美術コレクターの逝去により、生前のコレクションが美術館へ寄贈された。内容は現代美術作品中心。
昨年度購入予算0円&現代美術作品手薄だった、という公立の美術

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【実在しない懐かしさ】 野又穫 Continuum 想像の語彙 東京オペラシティアートギャラリー

【実在しない懐かしさ】 野又穫 Continuum 想像の語彙 東京オペラシティアートギャラリー

2023年7月7日鑑賞
野又穫氏は今回、初めて名を知った。
もしかすると、現代美術館や近代のコレクション展で見てきたのかもしれないのだが、ものすごいインパクトを持って印象に残る、ということが自分にはいままでなかった。

だからこのように1作家を取り上げてくれる展示、作品をまとめて見る機会を企画し、実行してくれたオペラシティーには大変感謝している。

まとめてみること、の面白さ、深さ。
そうですね音

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【リアルの境目】上田薫展 誰も見たことのないリアル 高松市美術館開館35周年記念特別展 美術をめぐる旅1

【リアルの境目】上田薫展 誰も見たことのないリアル 高松市美術館開館35周年記念特別展 美術をめぐる旅1

スーパーリアリズムの第一人者、上田薫氏の個展が高松市美術館で開催されている。

【ことの発端】

先日、東京国立近代美術館のコレクション展で、上田氏の「スプーンに水飴」が展示されていたのだ。
何分でも見ていられると思った。
その時「高松市美術館で個展やるんだよなぁ…高松かぁ…遠いなぁ他に見どころ…高松まで行くならば直島もね…あ、イサムノグチ庭園美術館あるじゃない!」
と、妄想が進む。

【旅の始ま

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【意味の意味を考える】荒川修作+マドリン・ギンズ《意味のメカニズム》 全作品127点一挙公開「少し遠くへ行ってみよう」セゾン現代美術館

【意味の意味を考える】荒川修作+マドリン・ギンズ《意味のメカニズム》 全作品127点一挙公開「少し遠くへ行ってみよう」セゾン現代美術館

2023/8/6

ただなんとなく、かっこいい画面だなと見ていた荒川修作の絵画だが、彼の目指した絵画の概念、入り口にやっと立てる、そんな展示だった。
でもやはり画面はデザイン的要素もあり「かっこいい」。

まず意味の意味とか考え始めると、もう脳内大変なことになるので考えない人がほとんどだろう。

特定のものごとの意味を考えることは多々あるかもしれないけれども。

「意味」の意味とは。
これを9歳の

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【パンク屏風】ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン アーティゾン美術館

【パンク屏風】ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン アーティゾン美術館

パンクだな、と。
すずしろ日記をずっと読んでいた方は、「何を今更」なのかも知れないけれど。
それとも今の状況だからこの内容が公開できるのか。
いや、今の状況でなくても山口さんの静かな勇気の声明をきっとアーティゾン美術館は公にしてくれたと思う。
そんなコーナーもあった。

山口晃氏のイメージ

「現代日本画家」「現代版狩野派」的なイメージを持っていた。
初めて作品を観たのは現美のMOTアニュアルの頃

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【ゴッホの吸引力】ゴッホと静物画 伝統から革新へ SOMPO美術館

【ゴッホの吸引力】ゴッホと静物画 伝統から革新へ SOMPO美術館

オランダのゴッホ美術館の所蔵品を中心に静物画を見せる展覧会である。
ゴッホ美術館の別館は黒川紀章氏が設計し、損保ジャパンが建設費用の寄付もしている。
そのゆかりもあるのだろう。SOMPO所蔵品のひまわり、もゴッホ美術館が真贋鑑定をしている。
そんな繋がりも見えつつ。

先日、イヴ・サンローランの展覧会で、絵画オマージュ・ドレスを見た時に、ゴッホのアイリスが元ネタの洋服があったのだ。

金色のスパン

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