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【実在しない懐かしさ】 野又穫 Continuum 想像の語彙 東京オペラシティアートギャラリー

2023年7月7日鑑賞
野又穫氏は今回、初めて名を知った。
もしかすると、現代美術館や近代のコレクション展で見てきたのかもしれないのだが、ものすごいインパクトを持って印象に残る、ということが自分にはいままでなかった。

だからこのように1作家を取り上げてくれる展示、作品をまとめて見る機会を企画し、実行してくれたオペラシティーには大変感謝している。

まとめてみること、の面白さ、深さ。
そうですね音楽でいうとフェスではなくワンマンライブでしょうか。

さて作品についてはこんなメモが残された。

・素材感がわからない
・ありえないのに写実で描かれるとありえそうな気がする
・建物の質感
・虚無感
・人気(ひとけ)のなさ


・素材感がわからない
・ありえないのに写実で描かれるとありえそうな気がする
・建物の質感
写実的に描かれているはずなのにどこかでその質感が消失しているというか。実はテラコッタの素材に見えたけれど指を押し当てたら発泡スチロールなんじゃないか?と思うような、自分の認識を超える質感が目の前に描かれている。

架空の風景だからか、重力がわからない絵なのだ。独特の浮遊感。

そして建物もどこかで見たことがありそうだが、明らかに現実に存在しない架空の建築なわけで。でもこれからその建築は実現しなさそうでもある。未来っぽいのに遠い昔のようにも感じる。

未来のアルフォートに載ってたらどうしよう
エッシャー的要素も感じる
神宮球場に見える



・虚無感
・人気(ひとけ)のなさ
入り口があるのに人はいない。草は生えるのに人はいない。
無音の絵という印象である。
90年代の作品はとにかく静かな世界が描かれていた。
近年の作品では人がポツリと描かれていたり、時間軸、スピード感、疾走感がある作品もある。

これは数年前の渋谷のスクランブル交差点っぽさ
発光している
夜の光は人の営みを感じる。

しかし90年代のひっそり感は独特で画面に吸い込まれる。

種明かしとしての作家のモチーフ

作家が参考にしたかもしれない写真がポツリポツリ、と展示ケースに並べてある。そこに写る現実の世界に何故かホッとしたのだ。

こういう工場、確かに郊外で見かける

そしてマン・レイの空に浮かぶ唇のポストカードも展示されていて、それを見た時に妙に腑に落ちた。マン・レイとかマグリットに強く惹かれる何かがあったのか。
何となく、共通点は感じられる。

面白い作品を見た。
そして幼い頃見た、教育テレビの単発の名もなき番組のような。(2度と同じ番組が放送されない感)
見る人によって違うのだろうが、どこかしら心の奥の郷愁を煽るのではないだろうか。

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