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2024年10月22日 08:16
夜道をわたる市営のバスよ尋常でなく鄙びた姿で排気の様子が徐々におかしく彗星のごとくなれば懐かしい人を乗せて空へ空へてんてんとかけてゆくだろう
2024年8月15日 16:56
石よ時の流れ大地の変遷げに重々しいものが濃縮されてそこにあるのにどうしてかそんなにぽっかりとしているのだ山や岩のようにおどろしいすがたで畏敬を集めるがよいものをどうしてかそんなに小ぶりに丸くなっているのだ石よ私の旅に黙って伴われる石よ動力も持たぬのにどうしてそんなに自由なのか私を経由してどこへゆくのか嗚呼、私の血潮にも石と同じ元素が流れているではないか石のよう
2024年7月28日 00:34
あの素晴らしい山肌に私の魂は吸いついてしまったりんりんと夏が更けてゆく
2023年3月13日 17:04
靴下に 縫われた鳥がうれしい平日の朝
2023年3月14日 08:58
昨夜 雨が降った今朝の 眩しい 庭の葉を陽に透かし肌色のハサミでスック スックと切り取っていく世界はこんなにも美しい と知らせるために葉は 手元から零れながら還っていく光の中へ還っていく澄んだ空気に輝きながら還っていく
2023年3月15日 00:15
若い君の涙が瞳に溜まった涙がこの夜をこらえて明日明日の朝陽に溢れればひとつのつややなレモンとなってまばゆく光るのだろう
2023年3月16日 10:43
ぺりり剥がれた地球ぴゅるる風が注がれてひらりモンシロチョウ飛んでいった
2023年3月17日 18:57
京都ステイションの美しい夕暮れに浮かべる金曜の心
2023年3月18日 10:13
アスファルトの傷口に咲いたささやかな花がまるで異国のさみしい歌だった私の及ばぬ時代と場所で流れたにがい潮だったひっこ抜くなそれはまぎれもなく母のくらしに芽吹いた花かもしらず踏みにじるなそれはまぎれもなく私の未来にひらく花かもしらず
2023年3月19日 00:05
某氏は、ラッコである。一見、ヒトである。顔立ちも、ラッコ風ではない。あえて言うならば、猫風である。目はやや吊っていて、鼻はスンともフンとも鳴りそうな様子である。でも、自分はラッコなのだという。本人がそう言うならラッコなのだろう、と思いながら、普段は忘れている。ただ、ときどき某氏が「私、ラッコなので」なんて、話の合間に、ふいに、自然と言うものだから、そんな時には、そういえばそうだった、くらいの感じで
2023年3月20日 09:04
一人でいると言葉が 寄ってくる闇が 寄ってくる私はいつも居心地のいい椅子にもたれながらしおからい夜の海でさみしさをいじくっている
2023年3月21日 11:59
ひゅるり風が吹き茶ばんだ心の剝ける気がした
2023年3月22日 12:37
車体の曲線に降りて星のように笑っては進みに合わせて滑ったりする前髪にとまったら虹の泡になって透きとおっている木々の上では冠のまねごと葉は 黄色に喜んで幹は 隠した宝石をチラチカさせる人は虹彩と産毛が美しくいつもより天使に近づいたりする
2023年3月24日 00:13
いつかわかるでしょうかかつてわたしがあんなにも単純に青一色で描いていた空はまたたくまに汚れていったいつかわかるでしょうかいま わたしたちは不気味な静寂を航る重い曇天それすら泣かせまいでどうにか錨を下ろそうとさああなたの目には光が乱反射しているあなたの中で生まれた光が心身を泳いで今外へ出てゆこうとしている批判されても無視されても光は光闇を切り裂いていく