720

音楽とか石とか好きです。

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最近の記事

【詩】夜の市営バス

夜道をわたる市営のバスよ 尋常でなく鄙びた姿で 排気の様子が徐々におかしく 彗星のごとくなれば 懐かしい人を乗せて 空へ空へ てんてんと かけてゆくだろう

    • 【詩】眉

      すよと眠る あなたの眉をなぞる 上がったり下がったり よったりひらいたり 一日の苦労にまさる この眠りの安けさ すよと眠る あなたの眉をなぞる この道をしってる こんな道知らない その先と後を想う この指の勝手さ すよと眠る あなたの眉をなぞる

      • 【詩】石讃歌

        石よ 時の流れ 大地の変遷 げに重々しいものが 濃縮されてそこにあるのに どうしてかそんなにぽっかりとしているのだ 山や岩のように おどろしいすがたで畏敬を集めるがよいものを どうしてかそんなに小ぶりに丸くなっているのだ 石よ 私の旅に黙って伴われる石よ 動力も持たぬのに どうしてそんなに自由なのか 私を経由して どこへゆくのか 嗚呼、私の血潮にも 石と同じ元素が流れているではないか 石のように生きることができれば 波うつ心に日々抗うこともない 石のように暮らすことができ

        • 【詩】夏山

          あの素晴らしい山肌に 私の魂は吸いついてしまった りんりんと 夏が更けてゆく

        マガジン

        • 66本

        記事

          【詩】宇宙船

          トクベツ貧乏な子たちが暮らす 町イチバンのボロアパートが 実は宇宙船だったらいい 地球の滅ぶ夜 静かに浮かび上がる船の中 彼らだけは夢を見続けられるように

          【詩】宇宙船

          【詩】山へ飛ぶ

          空を飛べたら あの山へだって行けるんだな ベランダから臨む馴染の山へ 空を飛べたら あの親しげな山肌めざして 彗星のように飛んでゆこうと思う

          【詩】山へ飛ぶ

          【詩】緑龍

          カズラを湛えた 低いフェンスに風そよげば 鱗燦めかせて どこまでも泳いでゆく 緑龍が泳いでゆく

          【詩】緑龍

          【詩】東京、21世紀

          人は死んだら星になるけど、ここは東京、21世紀。空には星ひとつない。科学・医学ともに凄まじく進歩した今、この街で死ぬ人間などいないというわけだ...

          【詩】東京、21世紀

          【詩】虹

          虹は 光・空気・水 生命の源でありながら 平素謙虚な彼らより ふと可視の世界へ発揮された魅力

          【詩】虹

          【詩】裾野

          裾野市 とあり あのドレープが効いた ツートンカラー・スカートに すまぬ気持ちで そろり 走らせる車

          【詩】裾野

          【エッセイ】幸せな発熱

          熱を出すと、浮かび上がってくる記憶がある。 あるクリスマス。私たちの家族は兵庫のマンションで暮らしていた。このマンションからはすぐに引っ越すことになるけれど、これまで住んだ家で一番いい家だった。私はまだ4歳の幼稚園児で、同じマンションの一室でピアノを習っていた。 そのクリスマスに、私は熱を出した。母は子どもを甘やかす質ではなかったけど、私がまだ小さい頃は叱った後と病気の時はいつもよりうんと優しかった。特に病気の時には、りんごをすってくれて、私はそれがとても好きだった。 その冬

          【エッセイ】幸せな発熱

          【エッセイ】優しさの起源

           「挫折とか、ドロップアウトとか、したことあります?」  居酒屋でTさんから聞かれた。当時、月に3度ほど顔を合わせるメンバー6人ほどで飲みに行った時のことだった。  それぞれの挫折経験や、現在の社会構造に疑問を持ったきっかけを話す流れだったため、それ自体特に不審な質問ではなかったが、私は少々まごついた。小さい失敗や後悔は数え切れないほどだが、特筆するような挫折なく生きてきたからだ。今の社会構造について知りたい、話したい、良くないところがあるなら変えていきたい、私がそう思うよう

          【エッセイ】優しさの起源

          【詩】山科盆地

          盆地に暮らして どこへゆく先にも 山がある 山の先には 空がある 空に抱かれ 山に抱かれ 大きな椀の中 ゆき かえり 空に抱かれ 山に抱かれ 大きな腕の中 おきてはねむり くらし

          【詩】山科盆地

          【詩】山櫻

          春 山肌に現れる 美しい痣よ 吉野でもないこの土地で 儚く灯る鴇色よ その淡い存在で 青も蒼も霞ませている

          【詩】山櫻

          〖詩〗 おひるま

          遠く横切る車群の輝き 側溝を流れる水面の煌めき 太陽の粒が星を真似て遊んでいる

          〖詩〗 おひるま

          〖詩〗 人を嫌う

          人を嫌うと 遠くの山が美しく迫ってくる 地平線を遮るビル群 あれらを粉塵と消し去り 山と空で視界を満たしたい欲が 抑えがたく溢れてくる 人を嫌うとき 私はひとつの大きな感覚となって 社会的無気力の装いのうちに 野性的知性の血潮 鈍く滾るそれを しつしつとめぐらせ 山よ恋し 海よ恋しと浮ついて見せながら その実深緑の闇に沈んでいるのだ

          〖詩〗 人を嫌う