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ウクライナ侵攻

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ラトビア紀行③ ラトビアとウクライナ侵攻

ラトビア紀行③ ラトビアとウクライナ侵攻

日本では、反戦メッセージやウクライナの国旗を街中で見るたびに、写真を撮っていた。

侵攻当初は、日本でも関心が高かったように思える侵攻も、今では、まだ続いているものとなりつつあって、関心が下がっているように感じている。

それもあってか、日本の街中で、この情勢に関して何か表現されていると、ビビビってくる。

少しだけ自分のことを。ウクライナ侵攻が始まった時、モスクワにいた。

言葉と文化を学ぶため

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2月24日を前に思うこと〜1年前、モスクワにいた日本人の独り言〜

2月24日を前に思うこと〜1年前、モスクワにいた日本人の独り言〜

2022年2月22日、20時頃だっただろう。こびりついた汚れでくもった窓から覗く無愛想な縦長の建物、足元からはセントラルヒーティングからもわぁとした熱気、狭い机にパソコンを置く。注目の的は、右手にある加湿器の残りの水量。1時間程度遅れて始まった老害の話は、ロシア帝国の話から始まった。老害、だるい。聞き流していく。まって、これを本気で話していたら。ふと背筋が凍りついた。

翌日は穏やかだった。いつも

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空っぽの銀行

空っぽの銀行

雪が降り始めた。夕暮れ時が近く冷え込みが厳しくなった。寮に戻るような時間。それでもこの日は一心不乱にATNを巡り続けた。

どこのATMにも長蛇の列ができている。30分以上待ってようやく辿り着いた先には、ルーブル紙幣はなかった。代わりに待っていたのは、「残高不足のため引き出し不可」と書かれた取引画面。「そんなことある?」思わず動揺してしまう。現金を引き出せなかったことを思うとくらくらした。ふと周り

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戦争と平和

戦争と平和

 8時を知らせるアラームで目を覚ます。窓から遮る太陽の光は眩しい。モスクワの空は絵に描いた様に美しかった。眠い目を擦りながらスマホの機内モードを解除。【露軍、宇へ軍事侵攻】。いつも通り眠りについて目を覚ましたら、戦争が始まっていた?意味が分からないし、分かりたくもない。空に目をやる。美しい。スマホに目を落とす。物騒な写真や動画が転がり落ちている。YouTubeでニュースを見る。どのメディアも「特別

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ウクライナ侵攻から1年 〜1年前、モスクワにいた日本人の独り言〜

ウクライナ侵攻から1年 〜1年前、モスクワにいた日本人の独り言〜

あの日の朝は、晴れていた。雲ひとつなかった。澄み切った青空に雪をかぶった木々の白はよく映える。窓から差し込む朝陽はキラキラしていて、春の訪れを密かにお祝いしているかのようだった。

Доброе утро(おはよう)! 窓から見える優しいタッチで描かれた水彩画のような空(неба)は、добрая(優しい)という言葉がぴったりだった。

2時間前、隣の国で何が起きたのか、君は知っている。それでも、

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3月4日〜ロシアを去ったあの日を想って〜

3月4日〜ロシアを去ったあの日を想って〜

モスクワを去ってから今日でちょうど1年。トラブルに巻き込まれることなく、無事に帰国できたことを、今では喜ばしく思う。しかし1年前、成田空港に着いたときに私が発した最初の言葉は、「日本に着いてしまった」だった。

2022年3月4日。この日は、長い冬の終わりから春の訪れを祝う、マースレニッツァの真っ只中だった。

マースレニッツァとは、バターと小麦をたっぷり使って薄く焼き上げたブリヌィという円い形の

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ウクライナのパパとネコちゃんに会いたいの

ウクライナのパパとネコちゃんに会いたいの

くすみピンクのカーディガンにブレザー制服のスカート。真っ白な上履きはひときわ目立つ。

窓から風が吹き込むと、大胆に束ねられたブロンドの髪がなびく。

ヴァーニャのお姉ちゃんか。少しドキドキする。

10月にウクライナからやって来た8歳の男の子の通訳を、大阪の小学校でしている。

今日は、14歳の姉の通訳を頼まれた。

「今、性教育の授業をしているから体育館に行ってくれん?」

国語でも英語でも数

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