ボタニカル哲学(後集99)一場の夢
俳優に白粉を塗り、紅を注して化粧をさせて、美醜を筆先作り出しているが歌が終わり舞台が跳ねれば、美醜はどこにいってしまったのであろうか。碁打ちが先手を争って勝負に出て、勝敗を競っていても、対極が終わり、碁石を片付ければ、先ほどまで血眼になっていた勝負はどこにいってしまったのであろうか。
つまり、何事も瞬間的な幻影であり、本質は本来、無対立の静かな世界だということ。
言換えれば、達人たる者は、現前する現象に一喜一憂する空しさを知っておきなさいと言える。
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