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認知症と介護。人生100年時代のリアル|吉田喜重『人間の約束』

 昨夜は、吉田喜重特集『人間の約束』(1986)を観に国立映画アーカイブへ。

※ややネタバレあり

 認知症の母親と父親を取り巻く家族の葛藤が淡々と描かれる。きれいごとは一切ない。特別な家族の出来事ではなく、どこの家にも起こり得る様であり、怖いほどのリアリズムに上映2時間引き込まれる。

 三國連太郎が認知症が徐々に進行する老人の姿を秀逸な演技で見せる。失禁したり、先祖の墓を掘り自らそこに入ろうとしたり、近所のゴミをまだ使えるからと拾い集めたり、老いのリアルを見せつける。

 重苦しいストーリーに時折ポロンポロンと流れる細野晴臣のピアノの旋律が唯一優しい。

 老いと死は誰にも平等にやってくるものだから、他人事として見ることができない。正解は何も示されない。

 認知症と介護。尊属殺。同意殺人.自殺幇助。

 吉田映画に多く登場する水鏡がここでも重要なモチーフとなる。

 このアクチュアルな問題は、バブルに浮かれた80年代、どれほど真正面から取り上げられることがあったろう。いや、今も向き合えないまま、わが国は人類が経験したことがない超高齢化社会に突入している。

 思わず今朝は起きがけスクワット10回。80歳過ぎても自分の足で歩くため、まずは筋トレかなあ。認知症予防には何をすれば良いのだろう。社会は何をすべきで、何をしてくれるのだろう。「人間の約束」とは何だろう。Alロボットはボケたわたしに優しくしてくれるのだろうか。

吉田喜重作品としては異色のテーマ
西武セゾン出資の映画というのが珍しい
バブル期流行った企業メセナってやつ


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