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ニベの和風カルパッチョ アルザス自然派ワインの溢れる旨味
フィシュルに注文しているお魚のミールパック。毎月6つずつ届くが冷凍庫にだいぶたまってきてしまった。つい先日、シイラの旨しおを食べたばかりだが、どんどん食べていく。
今回はニベの和風カルパッチョ。
ニベ。ヘンテコな名前だが、その由来は浮き袋を煮て膠をとったことから。鰾を「へ」と呼び、それを煮ることから、“ニベ”となったそう。膠は接着剤などに使われる。近海の浅い泥底。砂泥地にいる環形動物(ゴカイやイソメなど)や甲殻類、小魚などをエサとする。
さてニベの和風カルパッチョ。
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フィシュルお得意の厚めの身で、ひと口の食べ応えがしっかりしているが、筋繊維は比較的柔らかで口の中で簡単にほぐれる。中華風な香りはドレッシングに醤油、ニンニク、食用植物油脂が使われているからか。ゴマ油のようなフレーバーも。このはっきりとした風味のドレッシングがニベの奥まで染み込んでいて、魚臭さをほぼ感じない。クセのない白身、軽やかな脂はこの味付けを完璧に受け入れる、磯よりもほんのりと土っぽい香り。添えたミツバのほろ苦さとも絶妙の相性。ニンニク、ゴマ油の香りを伴うニベの旨味に、酒がドンドン進む。
ちなみに以前、ニベはフィシュルのミールパックでハーブオイルマリネにしたものを食べていた。シチリア エトナ火山のふもとで土着ブドウで造られるブドウと素晴らしい相性だった。
今回合わせたワインはイタリア フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州の白ワイン(リボッラ・ジャッラ品種)、アルザスの白ワイン(ゲヴェルツトラミネールとピノ・グリージョ品種のブレンド)。料理の中華風のフレーバーに、果実味が豊かで、スパイスのニュアンスを含むようなワインが合うと期待。フリウリのワインはブドウの果皮などからの成分をしっかり抽出したタイプと想像したが、開栓するとクリーン、フレッシュ、ピュアなタイプだった。
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先ずはイタリア フリウリの白ワインに。
グラディス・チウッタ, リボッラ・ジャッラ, コッリオDOC, イタリア, フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州, 2021, 12.5%, 2,860円
Gradis'ciutta, Ribolla Gialla, Collio DOC, Italy
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1997年設立の新しいワイナリー。ワインに使われるブドウの樹齢は古いもので80年。1〜2日間、低温でブドウを漬け込み、その後、ステンレスタンクにて澱の上で定温発酵。約8か月ステンレスタンク熟成。酸味を穏やかにするマロラクティック発酵は行っていない。
香りには白桃、洋梨、ほのかにコンポートの甘さも。白い花などフラワリーなフレーバー豊かで奥にほのかにハーブのニュアンス。ボリュームはやや強い。
味わいはクリーンでピュア、凛としたこぎみよい酸味。中盤から余韻にかけての風味の持続力強く余韻にほんのりほろ苦いミネラルなニュアンス。品種の魅力が凝縮。
ニベの和風カルパッチョに。ワインのクリーン、ピュアな果実味、フラワリーなフレーバーは反発しないが、なじみが弱い。相性: ★★★☆☆
続いてアルザスの自然派ワインに。
ギュスターヴロレンツ, ワインノット?, フランス, アルザス, 2021, 14%, 5,940円
Gustave Lorentz, Wine Not? Alsace, France, 2021, 14%
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ワインについては先日のNoteに。栽培は完全ビオロジック農法。ゲヴェルツ・トラミネール64%、ピノ・グリージョ36%。
自然派らしい琥珀がかった色調。香りには蜜漬けの花梨、スイートポテトや焼き芋の素朴でいてはっきりとした甘い香り。ジューシーで滋味豊か、ゆったりと染み込むように持続的、癒しの塊。柔らかく素朴な甘さ、強すぎないがキュッとメリハリのある酸味。セレスタで購入。
ニベの和風カルパッチョに。自然派ワインらしい旨みたっぷりの味わいが醤油の旨みに完璧にシンクロ。そこからニベの軽快な旨み、脂を包み込み極上の余韻に。ワインの中のジンジャーのフレーバーも料理への繋がりのワインポイント。五つ星か迷うほどの好相性!相性: ★★★★☆