魚屋さんのマグロの照り焼き イタリア アブルッツォの驚異的コスパ赤ワインはボルドー好きにもブルゴーニュ好きにも
近所の魚屋さんでみつけたマグロの照り焼き(350円)。
いつもあまりお客さんがいないので心配になるが、350円で売られている日替わりの煮付けや焼き魚が美味しい。以前もカレイの煮付けに、シャンパンを合わせて楽しんだ。
マグロは火を入れると赤身の肉質から得も言われぬリッチな脂が広がる。火を入れることで生とは異なる魅力を表現する。まるで肉のよう、というと安易な表現だが、脂がもたらす余韻の幸福感はまるで上質なビーフを食べたときのよう。そういえば、世界一ソムリエの田崎真也さんは、グルメレポーターが魚を食べてまるでお肉のようですねと表現するのはけしからんと仰っていた。ならば肉を食べなさいと。なるほどなるほど、使い方には気を付けましょう。
過去のNoteでは、マグロのメンチカツやマグロほほ肉のステーキにワインを合わせていた。
さて自宅でお皿に盛り付け、薬味にはチューブ入りの生姜を絞って添える。みりん、醤油で甘辛く煮付けられたThat's 母ちゃんの味。マグロの豊かな脂と赤みの鉄分のフレーバーはまるで肉を噛んでいるようなリッチな口当たり。そして余韻にほのかに磯の香り。
合わせたワインはハンガリーのバラトン湖近くで造られる白ワイン(地場品種など3種ブレンド)と、イタリア アブルッツォ州の生産者協同組合が作る驚異的コスパの赤ワインに合わせた。この赤ワイン、2000円少々とは思えない素晴らしい味わい、そしてマグロの照り焼きと完璧な相性をみせた。また、開栓してからも発展を続けていて、数日かけゆっくり飲んでいるハンガリーのワインもしっかり四つ星で食らいついてきた。
アブルッツォの赤ワインに。
カンティーナ・トッロ, エンメオー(MO), モンテプルチャーノ・ダブルッツォ, リゼルヴァ, 2017, 13.5%, 2,365円
Cantina Tollo, Mo, Montepulcianod'Abruzzo Riserva, Italy
カンティーナ・トッロは、アブルッツォ州トッロにある生産者協同組合で、1960年に40の栽培農家が集まって設立。イタリアでもっとも影響力のあるワインガイド、『ガンベロロッソ』が発行するコストパフォーマンスワインの専門誌『アルマナッコ デル ベーレベーネ2008』でイタリア最優秀ワイナリーに。『ガンベロロッソ』トレビッキエリ(2011-2017)。
香りには快活で陽気な表情にドライフルーツが入り混じり、5年前後の熟成を感じさせる。チェリーリキュール、乾いた樹皮、ほんの微かにカカオ、力強くも深淵。
味わいにはブドウの旨みが豊かに広がる。緻密な酒質、タンニンはまだまだ力強く舌にじっとりと張り付く、非常に長い余韻。
深淵なボルドー好きにも、妖艶なブルゴーニュ好きにも勧められる公約数なワイン。敢えて弱点を探すと、温度が高くなるとフォーカスが緩くなる点。ほんのりと冷やして。それにしてもこの素晴らしい味わいで2,000円少々とは驚異のコスパ。トスカニーで購入。
マグロの照り焼きにワインを合わせる。鉄分のリッチなフレーバーに、胡椒を足してさらにフレーバーの広がりをスパイシーに。これごワインのチャーミングな果実味、タンニンを含む奥行きにスパイスが絶妙にブリッジ。そしてマグロの旨みにもじんわりと染む。完璧!相性: ★★★★★
さて、ハンガリーの白ワインとの相性は。
パーツァイ, アグネシュ, ハンガリー, バラトン, バダチョニ, 12.5%, 2,574円
Patzay, Agnes, Badacsony, Balaton, Hungary,
ワインについては先日のNoteに。
バラトン湖近くで、3種のブドウをブレンドして造られる(スルケバラート34%、ヴェルシュリースリング 42%、リースリング 24%)。スルケバラートはピノ・グリの別名。こちらより購入可能。
マグロの照り焼きに。しょうがを添えて食べると、ワインの好意的な酸化のニュアンスと果実味の滋味へのシンクロ率が劇的に向上し、一体となってマグロの上質でリッチな脂に絡み、余韻をきれいにまとめる。相性: ★★★★☆