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永遠に輝く愛の象徴:オスカー・ワイルドの『幸福な王子』日本語訳を徹底紹介!

 こんにちは!
「noteの本屋さん」を目指している、おすすめの本を紹介しまくる人です!

今日は、オスカー・ワイルドの『幸福の王子』を紹介します。

オスカー・ワイルドは、その華麗な文体と鋭い社会風刺で知られる19世紀の作家です。

彼の作品の中でも、『幸福な王子』は、子供から大人まで幅広い世代に愛される、感動的な童話として特別な位置を占めています。

物語は、街の中心にそびえ立つ「幸福な王子」の像から始まります。生前は宮殿の中で何不自由なく暮らし、街の人から慕われていた王子ですが、早逝後、記念に立派な銅像が建てられます。両目には輝く青いサファイア、剣の装飾には赤いルビーが、体は金箔に覆われ、その心臓は鉛で出来ていました。この美しい王子は絢爛な銅像になってなお、生きているときとおなじように自我を持っていました。


高い柱の台座の上から街を見下ろすことで、王子は初めて人々の貧困や苦しみを目の当たりにします。彼の心は悲しみに打ちひしがれ、涙を流しますが、金箔の体では何もできません。そこに、冬を越すためにエジプトへ向かう途中だったツバメが飛んできて、王子の足元で羽を休めることになります。

王子はツバメに、自分の体から宝石や金箔をはがして、貧しい人々へ届けてくれるよう頼みます。ツバメは最初は戸惑いますが、王子の悲痛な願いに心を動かされ、彼の使者となることを決意します。

こうしてツバメは、王子の目から輝く一つのサファイアを、貧しい劇作家に、もうひとつのサファイアを病気の子供を持つ貧しい母親に届けます。王子は完全に失明してしまいます。さらに、剣の柄に飾られたルビーを、寒さに震えるマッチ売りの少女に与えます。そして、体全体を覆っていた金箔を、貧しい人々に分け与えていきます。

冷たい冬が訪れ、ツバメは弱っていきます。エジプトへ渡る体力も残っていませんでした。それでも、ツバメは最後まで王子のそばを離れず、彼の目となり、手となり、足となって、自己犠牲の愛を運び続けました。

やがて、ツバメは王子の足元で息を引き取ります。そして、王子の鉛の心臓も、悲しみのあまりに砕け散ってしまいます。

春になり、街の人々は、かつては美しくて自慢であった王子の像を「汚い」という理由で撤去し、溶鉱炉で溶かしてしまいます。しかし、王子とツバメの鉛の心臓だけは、溶けることがありません。心ない人々はツバメの亡骸と王子の心臓をゴミ捨て場に捨ててしまいました。

天国から下界を見ていた神様が、天使に「最も尊いもの」を楽園へ運んでくるように命じます。それは優しいツバメの亡骸と、優しい王子の心臓でした。

ワイルドの美しい筆致で描かれるこの物語は、単なるおとぎ話ではありません。そこには、真の愛、自己犠牲、そして社会への鋭い批判が込められています。

作品に込められたメッセージ

  • 物質的な豊かさよりも、心の豊かさが大切であること

  • 真の幸福は、他者を愛し、助けることによって得られること

  • 社会の不平等や貧困に対する問題提起

『幸福な王子』は、現代社会においても、私たちに大切なことを語りかけてくる作品です。それは、見返りを求めない愛の力、そして、私たち一人ひとりが世界をより良い場所にするためにできることがあるという希望です。

たくさんある日本語訳を徹底紹介!

なぜ、今さらこの幸福の王子を記事にしようかと思ったかというと、その日本語訳の多さです。

そして、それをまとめている記事が、インターネット上にほとんど無かったので、今回一番乗りで記事にしてみよう!と思ったのです。

この記事さえ読めば、幸福の王子の推し活が完璧にできます。


西村孝次

これが一番有名ではないでしょうか。皆さんに家にあった幸福の王子も、この表紙ではないでしょうか。小林秀雄の従弟。弟の西村貞二は西洋史学者で東北大学教授を務めました。孫はプロサッカー選手の西村卓朗。ほぼ百歳まで生きたので、明治大正昭和平成を生きた翻訳家。

幸福の王子を翻訳したのは1968年とめちゃくちゃ古いです。ですので改版が2003年に出版されました。

今江祥智 ・矢吹申彦(絵)

日本語訳が出た12年後に「こどもたちにも読んでもらおう」ということになり、絵本の形で今度は出版されました。

1999年に紫綬褒章を、2005年に旭日小綬章を受章している。今江祥智訳によるもの。残念ながら、最近がんになり他界されました。

岡信子・清宮哲(絵)

87歳の童話作家。日本児童文芸家協会会長をしたり、日本文藝家協会理事をしたりする偉大な童話作家。2008年児童文化功労賞。もともとは幼稚園の先生だったけれど、童話作家に転身しました。

前川 祐一

いろんな大学教授を歴任した英文学者による翻訳。イギリス文学のプロフェッショナルでした。2001年に他界しています。

井村君江


有名な英文学者。これ以外にもたくさん執筆しています。2003年に生まれ故郷の宇都宮市にケルト・妖精関係資料(文豪の自筆原稿や貴重な美術品を含む)を寄贈しました。

寄贈された資料を展示するため、2007年7月31日、世界的にも珍しい妖精をテーマにした美術館うつのみや妖精ミュージアムがオープン、名誉館長に任命されました。最近は闘病生活をなさっています。91歳。

西本 鶏介

児童文学作家。数え切れないほどの著作があり、いろんな大学の教授もなされています。現在90歳。評論もしています。

西崎一郎

こちらはアメリカ文学者による訳という面で面白い。解説もあるようですが、こちらの翻訳は手に入りにくく私も読んだことはありません。

河野芳英

現在も大東文化大学で教授をしている英文学者による翻訳。

西田実

アメリカ文学者、翻訳家。白百合短期大学助教授、東京外国語大学教授、白百合女子大学教授を務め、1987年退任。 ユージン・オニールなどアメリカ文学専攻で、翻訳も多いが、英文解釈の参考書の執筆もしていました。

神宮輝夫

こちらの翻訳はプレミアがついていて3万円近くします。数年前に亡くなるまでかなり精力的に活動した児童文学作家の訳。青山学院大学の名誉教授でもありました。国際グリム賞も取りました。もし持っている方がいたらコメントしてください。

今村葦子

こちらも児童文学作家の訳。他の著者とは違い、自分で執筆した絵本がほとんどで専業の絵本作家。もっともっと子ども向けの翻訳になります。

小野忠男

こちらは割とクラシックな教育用の訳と絵で構成されているバージョンです。むかーしの図書館とかに置いてあるのは、この絵本バージョンの幸福の王子です。

こわせたまみ

こちらは、小さい子ども向けに翻訳され、絵がついたバージョンの訳です。良いお話ですから、母親にこんな絵本を読み聞かせされたら、素晴らしい大人に育ちそうですね。

冨山太佳夫・冨山芳子

こちらは少し変わった妖怪文庫というシリーズの翻訳。一風変わった翻訳で読みたい方は、こちらをどうぞ。

金原瑞人

こちらは法政大学教授の児童文学作家による翻訳と、清川あさみという画家によってフルリニューアルされた、かなり大型の絵本です。結構見応えあるので、何回も読んだ人はこれを買い直すといいかも!

曽野綾子

有名人なので知ってる方も多いと思いますが、小説家で郵政取締役を務めた女性による訳。じつは幸福な王子も翻訳していたんです!

いもとようこ

こちらは翻訳も絵も同じ人が描いたという珍しいタイプの訳。かわいい猫の絵が有名なあの方です。

天川佳代子

こちらは時代に合わせてポケット文庫、さらにKindleで読めるようにと翻訳されたバージョンです。なんと今まで紹介した訳、ここまでKindleはひとつもありません。なので、Kindleで読むならこちらがおすすめです。

原マスミ

こちらは吉本ばななの挿絵を描いている画家による絵と翻訳。

ジェーン・レイ/木原悦子 

こちらはキリスト教徒向けに出版された大きなサイズの翻訳。

あきせいじ

こちらも小さい子ども向けに翻訳されたバージョン。もちろん絵本です。

間所ひさこ

こちらも名作絵本シリーズとして、翻訳と絵がかかれたバージョン。読み聞かせならこちらの翻訳かなと思います。

小尾芙佐

こちらは光文社古典新訳文庫シリーズにより翻訳されたバージョン。Kindleもあり。こちらの訳は専業翻訳家によって翻訳されているので、上に紹介したものたちよりも、より文学的な翻訳になっています。

富士川義之

こちらが、最も新しい翻訳です。東京大学名誉教授による翻訳。ですが、なんと彼は82歳で翻訳しました。一番新しいけど、一番巨匠の訳。

以上が、日本語訳のすべてです(つかれた笑)。

ひとつの作品で、これだけの翻訳バージョンがでている作品は、他にそんなに多くないのではないでしょうか。

皆さんはどのバージョンで読みましたか?どれが家にありますか?

ぜひコメントで教えてください。

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