パンドラ・イン・ジ・オーシャン -1-
「R・V、二匹目の喋るマグロが発見されたの」
しかるに、常識というのは覆されるためにある。つい最近覆された俺の常識の一つは、マグロは日本語を話せるという事だ。だがそんな体験はもう二度とないだろうと脳裏に刻まれた深い傷を忘却の砂で埋めて忘れ去ろうとしていた矢先の、彼女の言葉だった。
夕暮れの光差し込む黄昏時の、荒くれ文筆家ことパルプスリンガー達が集うここは、超巨大創作売買商業施設”Note”の片隅にある古びた西部劇風のバー・メキシコ。
今日一日の執筆ノルマを何とか乗り越え