いざなうはワールド・コーン・ラビリンス -1- #ppslgr
鋭く突き出されたグラディウスの一撃をスウェーにて上体を逸らし避ける。
続いて超接近戦からのカウンター膝蹴りで蹴り飛ばさんとするが一瞬相手が早く飛びのき、むなしく宙を空ぶった。
太陽が見下ろす鋼鉄のコロッセオの中で、俺は愛機である黒騎士めいた人型機動兵器『イクサ・プロウラ』に搭乗し、目の前の剣闘士を模した人型機動兵器と対峙していた。
その機体は筋骨隆々なる古代ローマ剣闘士の意匠を引き継いでおり、その両の腕には当然剣であるグラディウスと円盾が握られている。力強く盾を前面へ押し出してこちらの斬撃を警戒する剣闘士。
握る太刀を下段に構えると、一見馬鹿正直に正面へ踏み込む!一気に詰まる間合い!爆縮的に剣闘士の目の前まで到達し、盾を構えた彼に対し急ブレーキからの跳躍!空中で身をひねりながら斬撃を放つが済んでの所で背後に回されたグラディウスに防がれた!
だが着地と共に刀身を切り上げてグラディウスをはねのけ、さらに突貫による体当て!強かに背を打ちつけられて剣闘士が宙を舞うがネコめいて回転着地!
油断ならぬ一進一退に太刀を構えなおし慎重に間合いを図る。剣闘士もまた今度はグラディウスを突き出す形で攻撃的なポーズを取った。
空気が固体化したかと思えるほどの緊迫感。しかしその緊張を割って入ったのんびりとした声が制止した。
「はい、コロシアムのレンタル時間オーバーです。申し訳ございません、直ちに退出願います」
もうそんな時刻か。あっという間のトレーニングだった……共に刃物を鞘に納める俺と剣闘士であった。
―――――
超巨大創作売買施設「Note」その区画内にひっそりと存在する胡乱窟が「バー・メキシコ」だ。
その西部劇風を装った弾痕まみれの店内に戻ってくると冷蔵庫からチャのペットボトルを取り出してラッパする。そして先ほどトレーニングの相手をしてくれた、黒い馬掛と縁のない丸い帽子という聞くところによると清末頃らしい装いの屈強な男にCORONAを投げ渡した。
「しかしどうしたんだA・K、近接戦闘の練習をしたいなんて」
「あーなんだ、ほら、いつまでも苦手を苦手なままにしておけないっていうか……」
そう、そうなのだ。どう見ても近接戦闘に特化した仕様にしか見えないA・Kの剣闘士機は、実はその本領は別の所にある。もちろん、俺との立会いを凌いで見せたようにその技量は決して低い物ではない。むしろ彼の苦手意識の方が大きいと俺は感じていた。
「苦手意識の克服は大事だな、俺も最近は怠け過ぎたしいつでも付き合うさ」
「サンキューなR・V。でもお前滅茶苦茶実戦してねぇ?」
「アレらはどうもアドリブ要素が多すぎて基礎がフワフワしてる気がしてな……」
A・Kは俺の回答に対し途中から明らかに上の空になり別の方向を凝視していた。その余りに豹変した様子が気がかりで同じ方を振り向くと、あるのはバーの隅に置かれているテレビだ。だが問題はその流れている映像だ。
とてつもなく巨大なトウモロコシの実が、赤茶けた大地の中央にそびえ立っており、その根元から目に見えてわかる速度で緑が死の大地を侵食していっている。しかも見た感じではフェイクCGなどではない。ニュースもリアルタイムの空撮だと告げている。何という事だ。
「Oh……ジーザス、ブッダ……」
前回の騒動など軽く上回った胡乱事態に俺は深々とため息をついた。
【いざなうはワールド・コーン・ラビリンス -1-:終わり:その-2-へ続く】
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