Happy!Book!Making! -1- #ppslgr
「R・V!本を作ろう!」
時は既に月が傾く深夜、場所は都市型創作物売買施設「Note」の片隅にある西部劇風のバー「メキシコ」にて。
数日ほど行動を共にした異性に塩対応を続けた咎で、常連客の実に七割ほどを敵に回した俺は『次に彼女が現れた時には誠実に応対する』というゲッシュ(大雑把に言えば古代アイルランドにおける戦士の誓いの事、破ったら大体死ぬ)を立てる事で何とか再入店を許された訳だが。
「そりゃまた唐突だな、M・J。何か切っ掛けでも?」
「うん、クリエイターの冬の祭典、クリエイティブマーケットのサークル抽選に通ったんだ。それで一緒に参加する人を探してる」
「フムン」
誘いをくれたのはM・Jと言って眼鏡に黒髪、そしてバー・メキシコの荒くれ共の中では浮きそうなくらいの温和な面立ちと雰囲気の人物。
彼の服装は、俺の年柄年中黒コート黒づくめに針鼠の様に武器を積載した非常識な見てくれとは真逆の良識的なカジュアルである。
「ちょっと待ってくれ、実現可能か勘案する」
「うん」
クリエイティブマーケット、通称クリケはクリエイターにとってはやはり憧れの場である事は間違いない。俺もいずれは参加しようと考えていたため、とても魅力的な誘いではある。
テーブルを指先で叩きながら熟考する、判断基準は出版可能かどうかだ。
期限までに印刷できない場合は出展不能となりM・Jに迷惑をかける事になる。それは良くない、それなら他のパルプスリンガーを誘ってもらった方が良いだろう。
最大の問題は、本の印刷に必要なデータをちゃんと準備できるかという所だ。原稿は、ある。問題は表紙の画像データと、書籍にする為の本文の組版加工だ。
だがそれらについてもいずれ自費出版はするつもりだったため、ある程度道筋は立ててある。そして期限もまだある。であれば実現する事は可能だろう。
「よし、何とかなりそうだ。俺が同行しよう」
「いやったぁ!これでR・Vの本ゲットだ!」
「そういうM・Jだって出すんだろう?是非買わせてもらおう」
「うんうん、テンション上がってきた!」
今にも飛び上がらんばかりに喜ぶM・Jに、俺も参加を決めてひとまずは良かったと判断する。
「ところで依頼する印刷所は決めてあるのか?」
「いや、全然。R・Vは?」
「今話が来た所だから当然ノープランだ」
「じゃあまずはそこからだ」
「そうだな」
俺はパルプ小説を打ち込んでいたノートPCからブラウザを立ち上げると自費出版について対応してくれる印刷所を検索する。
同様に検索を行うM・J。
「これは」
「思いのほか」
「選択肢が」
「多いな……」
スカムサイトが増えたとはいえ、ニッチな情報についてはまだまだインターネットの情報は有意義ではある。検索してすぐに5~6社程度は引っかかった。当然、質の高い低いはあるだろう。
「M・Jは予算のほどは?」
「そこまで潤沢って訳じゃないよ。そっちは?」
「カツカツだ、だが何とかやり遂げよう。まずは自分達のニーズに合った会社を選ぶとこだな」
「うん」
俺はいかつい背を丸めてモニタに食らいつく。
【Happy!Book!Making! -1-:終わり:その-2-へ続く】
作者注記
自費出版をしよう、となった時に立ちはだかる問題は幾つもある。
本連載ではフィクションとしてのストーリーと合わせてワンポイントアドバイスをしていきたい。よろしく頼む。
自費出版をするのに必要なのは表紙データと本文データ、カバーも依頼するならカバーデータも必要だが、表紙データの応用で作れる。この辺りについては順を追って後々解説する。
まずはその二つについて自分が用意しなくてはいけない事を把握しておいてほしい。
印刷所についても次の回辺りで選定理由について記載するつもりだ。
今回はここまでだ。またな。
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