#86 穏やかな気持ちで働きたい
昨日の昼休み。
僕よりも前から今の職場で働いている同僚がこう話してきた。
「人手不足だから大変だけど、雰囲気は今が一番いい」
人手不足が慢性的な課題となっている職場も多いと思う。
それは、図書館でも例外ではない。
人手不足になると、一人当たりの仕事量が増える。
負担が増えると、ストレスになり、心身にも影響がある。
僕は今年度から図書館の責任者になった。人員調整は担当していないので、人手不足解消についてはさらに上の役職に任せるしかない。
けれど、上に立つ人間として強く意識していることがある。
それは、徹底的に怒りという感情を排除することである。
働く場所に怒りは不要
僕がかつて適応障害になってしまった職場は、雰囲気がピリついていた。
常にそこには怒りやイライラが同居している。
それを緊張感と捉え、いい刺激にできる人もいるだろう。
しかし、僕にとってそれは負担以外の何物でもなかった。
他人の顔色や場の雰囲気に敏感な傾向がある僕は、怒りやイライラを察知して息苦しさを感じてしまったのだった。
だから、僕にとって怒りやイライラというのは働く上で不要である。
緊張感に変換できない僕にとっては、生産性を下げる要因になる。
同僚が職場の過去を話してくれた。
過去は、とんでもなくピリついた雰囲気だったらしい。
それを作っているのは、かつて在籍していた上司だったのだという。
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ケース1:机をバンッと叩く上司
その人は、私語を許さなかったのだという。
確かに勤務中の私語というのはよろしくはないが、朝礼前や終礼後など勤務時間でなくないときくらいは別にいいのではないかと個人的に思う。
しかし、その上司はそれすらも許さなかった。
そこまではまだいい。しかし、誰かが私語をするとその上司は、
バーンッ! と机を叩き
「静かにして下さい。ここは職場ですよ」
と、断じたのだという。
その上司は機嫌の良し悪しが激しく、常に部下たちはその人の様子を窺いながら仕事をしていたそうだ。
そんな上司の下で、誰が働きやすいのだろうか。
ケース2:イライラした雰囲気を醸し出す館長
館長はどうしても仕事が多く、細かい作業も人一倍多い。
だからイライラしてしまうことがあるのも致し方ないとは思う。
しかし、かつて在籍していた館長はイライラを顔から雰囲気から全面に表出させる人だったのだという。
人というのは、言葉がなくてもある程度雰囲気を掴める生き物だと思う。
館長はある意味ではそれを利用して、
「今、私はイライラしているから、話しかけないでくれ」
というオーラを顔色から、キーボードを叩く音から部下たちに伝えていたのである。
そして、それを読み間違えて話しかけると、
「後にしろ」と叱責してきたようだ。
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普通にパワハラやないか。
と、思わず同僚にツッコんでしまった。
そして、イライラは人に伝染する。
当時の職場は、上司がこのように怒りやイライラをコントロールできない人だったから、それがスタッフへも伝わってしまったのだという。
つまり、スタッフたちもちょっとしたことで怒りを表出していたのだ。
地獄絵図。働きづらいことこの上ない。
その同僚も、「あの時は怖かったなぁ」と遠い目をして話していた。
今はそんな上司たちはおらず、職場には穏やかな時間が流れている。
今の上司もスタッフも、感情をコントロールできる人間なのだ。
だから、僕もとても働きやすい。
職場は、穏やかであることに越したことはない。
怒りを覚えたときはあえて笑う
たかが1人の人間、されど1人の人間。
たった1人の雰囲気によって、職場全体が良くも悪くもなるのである。
とりわけ上に立つ人間ならなおさらだ。
だから僕は、上に立つ人間になってから、今まで以上に感情のコントロールに気を配るようにしている。
少なくとも、怒りとイライラは絶対に表出させまいと。
もちろん仕事がうまくいかなくてイラッとすることもある。
ストレスがたまってしまうこともある。
そんなときは、苦笑でもなんでも笑みを浮かべるようにしている。
先日の記事でも笑顔の力について書いた。
こういうときこそ笑うことが大事なのだと僕は思う。
口角を上げるだけでも気分は変わる。
「ちっ、なんでこうもうまくいかないんだ!」という怒りも
「ううむ、なかなか手ごわい仕事だなぁ」と自然と言葉も変わってくる。
笑みを浮かべながら困っていると、案外周りも気にかけてくれるものだ。
幸いにも、心優しいスタッフが多いから「忙しそうですね」とか「大変ですね、何かあったんですか?」と尋ねてくれる。
そうするとコミュニケーションが生まれて、自分一人で抱えたモヤモヤが雲散霧消してくれるのである。
この点については話を聞いてくれるスタッフに感謝しかない。
やはり、怒っている人よりも困りながらでも笑みを浮かべている人の方が話しかけやすいことは間違いない。
怒らないこと、そしてできる限り朗らかでいること。
それを心がけて、僕は日々、職場の雰囲気作りに努めている。
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