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精神疾患における薬の役割
精神疾患を抱える方の多くが薬を飲みたがらない。
これは日本に限った事ではなく世界中で同じ事が言える。
先日会ってお話をさせて頂いた方も「薬は飲まずに病気と付き合って、少しずつ良くしていきたい」と言っていた。
実際、アメリカやカナダでは、薬の処方は出来るだけ最後の手段になっている。
日本のようにとりあえず薬を出すという治療は基本しない。
精神疾患の方が薬を飲みたがらない理由はいくつかある。
まず1つに、投薬治療は「対症治療」と言われ、その瞬間に現れている症状を緩和するためのものだからである。
いわば、解熱剤のようなものである。
発熱の原因は分からないが、とりあえず熱を下げるために飲む、みたいな物である。
精神病薬も同じような物で、例えば、抗うつ剤は決してうつ病の根本を解消してくれるわけではなく、その人に出ているうつ病の症状を和らげる役割しかない。
なので、投薬だけで完治するという事はまずなく、飲み続けないといけないのである。
そして2つ目は強い副作用である。
精神病薬の多くが強い副作用を持つ。倦怠感や頭痛、吐き気、眠気など、症状は様々だが、一貫して言えるのはかなり辛いという事である。
その副作用が嫌で薬を飲みたがらない人もたくさんいる。
根本の改善をしてくれるわけでもないのに辛い副作用に見舞われ、高い薬代を払い続けると聞くと「いい事ないやん」と思う方もいるかもしれない。
しかし、薬にもちゃんと役割はある。
アメリカやイギリスでは投薬と心理療法を組み合わせて行う事が多く、過去の研究からも、その2つを組み合わせる事で効果が最大限発揮される事が分かっている。
では、それぞれの治療の役割はなんなんだろうか。
まず、精神疾患というその人の問題に根本からアプローチし、改善を目指すのが心理療法や行動療法である。
基本的に生活習慣の改善やこの心理療法が最初の治療法として選ばれる。
しかし、この心理療法は決して楽な物ではない。
カウンセリングやセラピーは「楽になる」場所であるが、「楽をする」場所ではない。
自分と向き合い、自分の問題と向き合い、非常にしんどいだろう。
しかし、自分の問題と自分自身が闘い、打ち勝っていかないといけない。
それがカウンセリングやセラピーの目的であり、心理療法の役割である。
ただ、精神疾患の方の多くが闘える状態にない事が多い。
例えば、うつ病の方は朝起き上がれなかったり、動けない事がある。
これは呼吸が乱れているせいで脳に上手く酸素が供給出来ず、「身の危険だ!」と誤信号を受け取った脳が「動くな」と指令を出すからである。
このように自分がしないといけない事がどうしても出来ない状態である事がある。
そんな時に、あくまで自分自身で闘える状態まで持っていくのが投薬の役割である。
なので、薬を飲み落ち着いた時、それで終わってしまったらまた同じ苦しみを繰り返す。
薬を飲んで闘える状態になったら、闘う必要がある。
自分の問題と向き合う必要がある。その為の投薬である。
なので、1つ重要な事は、薬も上手く利用する事が大事だという事である。
精神疾患における薬の役割。
最後まで読んで頂きありがとうございました。