読書感想:「いやな気分よ、さようなら」
本日の読書感想文はこちらの本、「いやな気分よ、さようなら コンパクト版」。やまざき的評価は、星5つ中、星5です!私のメンタルの回復に、大きく貢献してくれた本です。
原著版の出版が1980年と古いのですが、現代でも十分使える認知療法の本。日常のストレス、ネガティブ思考、イライラ、不安感などに対処するためのさまざまな方法が書かれている実践的な1冊です。
現代の認知行動療法で使われるコラム法や認知再構成法をより簡単にした方法なども書かれていて取り組みやすいと思います。
「いやな気分よ、さようなら」のいいところ
この本のメリットをまとめると以下のとおり。
取り組みやすいワークがたくさん紹介されている
実際の例が書かれていて、こういうふうにやればいいだなとよく分かる
怒りや不安など、感情別に章立てされていて自分に合ったものだけ取り組むのも可能
ページ数が多いので読み応えあり
深刻度が低い「抑うつ傾向」くらいならこの本で改善しそう
自殺に関する項目もあって幅広くカバーしてる(ただし、死にたいレベルの場合、早く病院に行くべし)
この本は、私が大学で心理学部生時代に、非常勤で来てた先生に教えてもらった本です。その先生自身がちょっと抑うつ気味になってしまったときに、この本を読んで回復したとのこと。学生たちに「みんなも気分が落ち込んだりしたときには、この本を読んでみて欲しい」といっていたのを思い出し、私も買いました。
最初の方に書かれているワークはちょっと難しめです。最初から順番に本を読んでいくと、ここでドロップアウトするおそれアリ。
本のなかで紹介されているワークはたくさんあります。最初のほうで紹介されている方法がうまくいかなくても、あとのほうのワークがうまく自分にフィットする可能性は十分あります。難しいところは飛ばして、とりあえず読み進めていくのがよいかと。
ワークに取り組みながら読んでいくといいかも
一気に全部読んでからワークに取り組むのもアリですが、私は1つワークを読んだらまずはそれに取り組むスタイルで行きました。ある程度そのワークが身に着いたら、先を読んでまた新しいワークに取り組むという感じ。
この手の本は、うっかりすると「読むこと」が目的になってしまいがち。読んだだけでは気持ちの改善は難しく、地道にワークに取り組んで時間をかけて自分のものごとの捉え方や行動を変えていく必要があります。
着実にひとつひとつのワークに取り組んで、自分に合ったものはとくに熱心に続けていく継続力が必要です。
「いやな気分よ、さようなら」のイマイチなところ
この本のイマイチなところは、以下のとおり。
ページ数が多くて消耗がひどい人は読むのが大変
うつの重症度が高い人は、通院や薬物療法との併用が好ましい
むしろ重症なら薬飲んでしっかり寝てしっかり食べる方がかなり大事
原著もだが日本語もいかにも「翻訳!」という感じ
一定期間はワークに取り組み続ける必要がある
本として、読みやすさはあまり期待しないほうがいいですねw原著自体が古いことと、日本語訳も古いし、いかにも「翻訳!」という感じのちょっと読みにくさのある表現になっています。
あと、この本だけでうつ病を治そうとするのは危険。どの程度のうつ状態か、個人が判断するのは難しいため、「病院に通うかどうするか迷っている」場合、まずは病院に行ってそのうえでこの本を併用するのがいいと思われます。
健康な人はそもそも「病院に行くかどうか」を迷うことはないため、通院が少しでも頭をよぎっている人は、早く病院に行ったほうがいいです。
あと、ワークは「1回やったら速攻うつがよくなりました!」みたいなことにはなりません。ある程度、続ける必要があります。私も効果を感じ始めるのに2か月くらいはかかりました。
当時、すでに双極性障害でメンタルクリニックに通院していましたが、ある程度まで回復したのち、なかなかよくならず。そこで「そもそも薬だけでよくなるのは難しいわ」ということに気付き、ものごとの根本的な捉え方・考え方をどうにかしようと本書を手に取った次第です。
「病院に通って薬もちゃんと飲んで、飲酒喫煙を控えつつ、睡眠もそこそことれてるけど、なにかイマイチよくならない。本を読む元気くらいはある」という人におすすめしたい1冊です。
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