生理後もイライラ・うつ続く「月経前増悪(PME)」は性被害が原因だった
生理が終わった後もイライラやうつが続くのは、既存の精神疾患が、月経周期によって悪化する月経前増悪/Premenstrual Exacerbation(PME)が原因でした。
もともとの精神状態が、女性ホルモンの変動によって悪化しているので、生理が終わっても鬱やイライラ症状などが続く。
私は生理前から気性が著しく荒くなるので長年、月経前不快気分障害(PMDD)だと思っていたが、生理と無関係に精神症状があることに数年前から気づき、PMEという言葉に出会いました。
そして幼児期から受けていた性被害などによるトラウマで発症した「複雑性心的外傷後ストレス障害(複雑性PTSD/C-PTSD)」が既存の精神疾患であることを自覚し、自分に合う治療法に変えることができました。
PMEの研究はアメリカでも遅れていて、DSM-5にもまだ登録されていないため(2022年8月時点)、日本では知らない人が多く、PMSやPMDDと誤診する医者もいます。
私は10年前、PMDDと誤診した男性医師が「副作用はない」と断言しながら処方した低容量ピルYAZの副作用で死にかける経験をしました。
この体験から無知であることがいかに致命的かという危機感を覚えたので、参考としての情報提供をします。
身に覚えがある人は、下記のセルフチェックで自己診断してみるといいかもしれません。
月経前増悪(PME)とは
月経前増悪/Premenstrual Exacerbation (PME)とは、既存の疾患(抗うつ障害・不安障害・C-PTSDなど)が、月経周期によるホルモンの変動に伴って増悪する精神疾患。
月経困難症(PMS・PMDD)との違い
・月経困難症は、月経中に起こる身体的・精神的な症状。
・月経前症候群(PMS)は、生理の約1週間前から始まる、頭痛や腹痛など身体的な症状。
・月経前不快気分障害(PMDD)は、生理の約1週間前から始まる、鬱などの精神的な症状。
・月経前増悪(PME)は、生理が終了した後も心身の症状がみられる。
PMDDとPMEは特に症状が似ているため誤診しやすいが、PMDDは2013年からDSM-5に病名として登録されていて、PMEは登録されていません。
性被害とPMS・PMDDとの関連性
医療系雑誌「ジャーナル・オヴ・ウィメンズ・ヘルス」による2014年の論文には、PMSやPMDDと性被害との関連がこのように書かれている。
私はこの論文を読んで、月経前に特に気分が落ち込むPMDD的症状で悩んでいるのは、幼児期から受けていた性被害が関係しているということを確信しました。
それまでは性虐待の記憶をなかなか受け入れられませんでした。
でもPMDDなら、生理後に症状が回復するはずなのに、鬱やイライラが続きました。
そのことに気づき調べると、別の英文記事で見つけたPMEという言葉が自分の症状と的確に当てはまると思いました。
PMEは既存の精神疾患があるのが一つの特徴です。
私の場合は、幼児期から始まった性被害などのトラウマ体験による精神疾患C-PTSDがそれに当てはまります。
子どもの頃に性的虐待を受けた人は、トラウマによるC-PTSDを患う可能性が高く、成人になってから性被害を受けた人はPTSDを患う可能性が高いです。
またPMDDとPMEの症状はよく似ています。
こと2つの前提を踏まえると、この論文では「研究対象が児童性虐待でC-PTSDを患い、PME症状が現れているにも関わらず、PMDD症状を見せてる」と誤認している可能性があります。
PMEを、PMDDとして女性ホルモンなど身体的な原因だと認識し、根底に隠れている精神疾患に気付けなければ、適切な治療法ができないことにもなりかねません。
実際、私をPMDDと誤診した医師は、低容量ピルYAZを処方し、私は激しい偏頭痛に悩まされた。YAZを飲んだ女性の突然死が相次いでいることをたまたまニュースで見なければ、私も同じように死んでいたかもしれません。
私みたいなトラウマによる精神疾患の場合、心の内を長年、誰にも話せなかったことで症状が悪化していることが多い。なので、薬で感情や症状を抑え込むのではなく、感情を感じ取って解放するトークセラピーや心理療法の方が相性がいいと経験から感じます。
トラウマ治療の過程も山あり谷ありだが、少なくとも致命的な副作用がある薬で苦しみ死ぬリスクを負うことはありません。
PMEの課題
PMEの研究はPMDD以上に遅れていて、アメリカでも診断されたり臨床的に治療されていないのが現状。
日本語では現状、PMEについて詳しく書かれた文献はありません(PMDDについては2007年に初めて出版され、認知が徐々に広まっています)。
PMEセルフチェック
自己診断によってPME/PMDD/PMSに該当するかがわかる質問集(全16問)※がある。YesかNoを選択し、結果(英文)はGoogle翻訳することを推奨。
※このセルフチェックは、PMEの啓蒙活動をするNPO団体IAPMDが、ペンシルバニア大学によるPMSの研究を基にしています。
情報提供を目的としていて、医学的なアドバイスをするものではありません。
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参考文献
Journal of Women's Health: "Early Life Emotional, Physical, and Sexual Abuse and the Development of Premenstrual Syndrome: A Longitudinal Study"
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4158950/
The International Association for Premenstrual Disorders (IAPMD) is a not-for-profit organization providing education, support, advocacy, and resources for those affected by Premenstrual Dysphoric Disorder (PMDD) and Premenstrual Exacerbation of underlying disorders (PME)
https://iapmd.org
PENN CENTER FOR WOMEN'S BEHAVIORAL WELLNESS Premenstrual Syndrome/Premenstrual Dysphoric Disorder (PMS/PMDD) Studies Stress & Premenstrual Symptoms Study
https://www.med.upenn.edu/womenswellness/pmdd_studies.html
PMS vs PMDD, PME and PMAD: Combatting The Worst of PMS Symptoms
https://www.skillsplatform.org/blog/pms-vs-pmdd-pme-pmad-the-worst-pms-symptoms/
PMDD/PMS When PMS symptoms interfere with functioning & quality of life
https://womensmentalhealth.org/specialty-clinics/pms-and-pmdd/
Pre-Menstrual Exacerbation: ‘For Two Weeks Every Month, I Feel Like I’m Losing My Mind’
https://www.womenshealthmag.com/uk/health/female-health/a34463279/pre-menstrual-exacerbation/
Premenstrual Dysphoric Disorder and Psychiatric Comorbidity
https://www.psychiatrictimes.com/view/premenstrual-dysphoric-disorder-and-psychiatric-comorbidity
国会図書館 PMDD
https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/search?lang=ja_JP&keyword=PMDD&page=1&materialtype_facet=Tosho&searchCode=FACET
🎁サポートはトラウマケアや、子どもの人権が尊重される社会づくりの研究(本や映像など)・実践(精神治療・執筆)に活用して、noteに還元してゆきます💫ありがとう🤍ございます✧