【平泉町】不登校児の遠足、まち歩きしながらキャリアについて考える
不登校サークルの一日遠足。
まず、自分の足元を見よう。このまち、この土地で描くキャリアデザイン。ぶらり、まちを歩くことから始めてみませんか?
子どものフリースクールが休みだったので特別に朝から不登校サークル活動をしました。北上市、奥州市から電車と徒歩で平泉方面へ出かけました。
テーマはまち歩き。村人と話し、その土地の歴史・文化にちょこっと触れる旅。といっても特に予定もないのんびりした一日。偶発的な出会いやイベントが子どもたちの好奇心や心をくすぐります。
それでは不登校児の1日遠足にお付き合いください♪ まち歩きしながら、子どものキャリアデザインについて考えてみます。
【まち歩き】目的地にたどり着く練習だ!
JR 東北本線、電車に揺られて平泉駅へ。
電車の切符を買ったり、駅の売店で好きなおやつをお金を払って買ったり、人に道を聞いたり、次に行きたいところを決めたり、出来るだけ自分たちでやってみます。
駅を降りたら、徒歩10分ほどの今日の目的地、平泉世界遺産ガイダンスセンター へ。 地図だけ渡されて、第一村人に行き方のアドバイスをもらいながら、目的地を目指します。
平泉の商店街や史跡公園を歩く。面白かったのが、ナビを子どもにまかせると、それぞれの子の特徴が発揮されました。
・地図をよみどんどん先頭にたって進む子
・常に面白いものをサーチしていて、目印の看板を見つけるのが得意な子
などなど個性が現れます。結果、みなの力が合わさって、無事に目的地にたどり着きましたとさ。
不登校当事者ママの悩み
この日の遠足活動に参加した保護者さんたちとは、不登校児の学び、フリースクールの選択肢、中学校高校、将来のことや、子供の特徴についての話など、様々な情報交換をしました。
中には、まだまだ不登校という選択への身内の理解が得られないというママさんもいました。
選択肢が今、どんどんと増えていますので、そこはもう少し時間がかかる所でしょうか。サークル活動では、そんな悩みや、キャリアデザインについても情報共有しています。
歴史発見!平泉世界遺産ガイダンスセンター
平泉世界遺産ガイダンスセンターは、世界遺産「平泉」の価値や魅力を人類共通の財産として後世に伝えるとともに、映像や模型造形を融合させ、「平泉」の全体像や仏国土(浄土)の世界観、奥州藤原氏の歴史等について紹介しています。
2021年オープンの新しくて綺麗な公共施設です。楽しく体験しつつ、平泉の歴史や、昔の人の暮らしについて学びました。
重要文化財の実物あり、ジオラマあり、実物大模型あり、映像インタラクティブコンテンツあり・・・!この日はレゴの展示や映像、土器パズルなどもあり、小学校低学年〜大人まで楽しめました。
ガイダンスセンターに来たら20分ごとに上映されるプロローグシアターはマスト。スタッフさんが、「もうすぐシアターが始まるよ!」と子どもたちに声をかけてくださいました。映像に驚き、ワイワイ騒ぎながら過ごす子どもたちを他の視聴者の方々も温かい目で見てくださってました。
お仕事目線、デザイン目線で世界を眺める
そしてここの蔵書のセレクトも面白く大人も釘付けに・・・。歴史や文化に関する漫画も。ここは中高生にもいいのでは?
ここの施設は、空間づくりの会社により、かなり大掛かりにデザインされていて、基本計画、施設コンセプト企画、展示企画、デザイン・設計、制作・施工、プロジェクトマネジメント、コンサルティングなど、たくさんの人の仕事が一つの施設になっています。
施設や何気ない風景もたくさんの人の力で作られています。そういったお仕事、デザイン目線で施設見学、風景見学するのも面白いです。
この施設をデザインした会社のホームページ。ふむふむ、仕事に対する心や必要な能力について書いてありますね!(会社のまわし者ではありません。)
しなやかな思考、尖った技術や個性、認め合う力。将来、仕事をする上で大切なことばかり。まちのデザインはこんな人の力や能力でできているんですね。
まったりできる公共施設「エピカ」図書館
さてまちを歩い後、駅前で昼ごはんを食べ、平泉町学習交流施設「エピカ」(http://www.hiraizumi-epica.com/ )の図書館へ。
ここの選書もなかなか素敵なんです。小学校3年生くらいになったら学校帰りや、不登校児が、子ども1人でも立ち寄れそうな場所です。他のまちの人も本を借りられるそうです。お仕事やビジネス、キャリアデザインの本もいろいろあったよ!
所変われば悩みも変わる。
人口減少地・平泉の子育て環境
所変われば、ママたちの子育ての悩みも変わる。人口減少地・平泉町の子育て環境は?
世界遺産「平泉」の資産の中には、国宝「中尊寺金色堂」や特別名勝「毛越寺庭園」のほか、特別史跡「中尊寺境内」、特別史跡「毛越寺境内附鎮守社跡」などが含まれています。
平泉の人口は2024年の時点で7000人程度。世界遺産に伴う立派な国の施設とは裏腹に、どうやってコミュニティや子育ての場を存続させてゆくかが問題となっています。
子育てされているママさんの話によると
・東北銀行の窓口は火曜・木曜だけしか空いていない
・病院の内科は1軒だけ
・公園もない
人口減少のまちの持続可能性。現実問題としてのしかかって来ているようです。そういった状況の中で、まちおこしのプレーヤー不足から、ママたちもコミュニティデザインに関わることが増えそうだとのこと。
それはそれで、過疎地の良いことでもあるのかも。
小さい商いがあふれる、歩いて楽しい町
平泉駅前を歩くとお茶処、洋食屋さん、魚屋さんと小さな商いが生きています。軒先には「商い中」の札がかかっています。
まちに出ると大型スーパーやドラッグストア、コンビニがあふれていますが、あらためて小さい農業、小さい商いが溢れる町っていいなと思いました。大人も、子どもも、歩いて楽しいんですもの。
小さい商いがあふれる歩いて楽しい町は、仕事が多様な街。その分、多様な子ども達の才能を活かせるのではないでしょうか?
学校に行かずにどうやって大人になるの?
この日はたまたま北上市の農家 ヤサイノイトウさん が、お店の軒先で野菜の量り売りをされていました。お野菜美味しそう〜!脱サラして2016年に専業農家となった伊藤さん。
不登校の悩みの一つとして「学校に行かずにどうやって大人になるの!?」「どうやって仕事に就くの?」と思う人も多いようです。農業を覚えるのもひとつ。農家さんにも選択肢、一個教えてもらえました。
不登校のことを話すと「農家で就労しながら補助金をもらって農業を学び、そこから農家としてひとり立ちする方法もある。」と教えてくださいました。小学生には無理ですが、大きい子は進路の一つといて考えてもいいのでは?岩手県の農業従事者の平均年齢は 69 歳。一番大切な食べ物を作る農家の次世代育成が急務です。若い人が農業に参入しやすくなるといいですね。
机に向かうことより大事なこと
スイスでは高校に進学する生徒はむしろ少数派で、大多数の生徒は職業教育をスタートするようです。
スイスの例
https://www.kokuyo-furniture.co.jp/solution/mana-biz/2017/09/world-139.php
スイスでは中学生にもなると最初は親の職場にインターンに行ったり。大学進学率もなんと20%。日本は2023年のデータで大学進学率60%。
すぐにお仕事の現場で実践に入ります。学びより、実践を。そして実戦から学ぶということを大切にしているんですね。机に向かってずっと学び続けることより大事なこと、気付かされます。
THINK GLOBAL, EAT LOCAL
食と農の仕事づくり
農業も子どもたちの未来の仕事として重要な仕事のひとつ。
グローバルに考えためにはまず、自分の足元を見よう。THINK GLOBAL, EAT LOCAL(食はローカルに、思考はグローバルに。)
若ものがこのまちで農や食のキャリアデザインを描けるようにと、そんなコンセプトで神戸市が官民で取り組んできた例をご紹介します。様々な社会実験を経て、まちや仕事、風景が変わっていく様子がわかります。
いきなり農業はちょっとできないよな?
いきなりレストランも無理かな?
大丈夫!デザイン都市宣言をしている兵庫県・神戸市は「神戸ネクストファーマー制度」というものがあって、働きながら農業に片足を突っ込めるサポートをしてくれたり、ファーマーズマーケットを開いたりしています。
2015年神戸の地産地消を推進する公民一体のプラットフォームとしてスタートした「EAT LOCALKOBE (https://eatlocalkobe.org/)」。農業への入り口を広げ、農村地域への若者移住につなげていくとともに、耕作放棄地の発生防止と、将来の新規就農、農の次の担い手をづくりを実現。
民間の団体が神戸市と協力し地産地消の推進に取り組みながら、制度、イベント、市民活動によって店舗や農業スクールを展開し、新たな地域ビジネスづくりにまで至っています。
まずはファーマーズマーケットを開催。マーケットには「1.大きな樹の下で開催する」「2.定期的に続ける」という2大ルールがあるそうです。出店者は農家、漁師、養蜂家、酪農家、豆腐屋、醤油屋、漬物屋、ベーカリー、ジャム・グラノラショップ、コーヒーロースター、植物と、多彩。
2018年からは農産物が毎日買える新たなお店ができて、次は、農業への道を目指そうと考えている人、もしくは自給自足生活に挑戦しようと考えている人、その中でも半農半Xで農的暮らしを目指そうとする社会人向けの農業スクール、「マイクロファーマーズスクール」も開校。 https://eatlocalkobe.org/micro-farmers-school/
2019年、神戸の様々な人や活動が紹介された本「ローカルエコノミーのつくりかた」が発売されました。神戸という街の資源を使って仕事を起こし、地域経済を盛り上げる多様なプレイヤーを紹介。
まちづくりと、仕事づくり、人づくりって繋がっているんですね。豊かな自然が残る岩手にもこんな取り組みがあれば、もっと農業を目指す地域の若者も増えるのでは?と思いました。(子どもたちの未来のために、農薬を減らしたいと思っても、農家の高齢化などでどうしても農薬も耕作放棄地も減らない現実があります。)
次の時代の仕事が、そのまち神戸市から生まれているようです。人々の営みがまたまちの風景や地域の未来生態系をつくっていく。生態系デザインに1人1人が関われるって一番おもしろい。そんなデザインに子どもたちも関わってほしいなと思います。
このまちで描くキャリアデザイン
まちを歩き、村人と話し、その土地の歴史や文化にちょこっと触れる旅。いっぱい歩いて、けっこう疲れました・・w
自分の足で出会う風景と人。そこから描くキャリアデザイン。子どもたちには、先人の築いた歴史や文化にたくさん触れ、学び、そこから独自の力で未来をデザインする力を養っていってほしいものです。
住んでいるまちで描くキャリアデザイン。まずは歩くことから始めてみませんか?子どもたちがキャリアデザインを描くためには、コミュニティデザインが必要。もしそれが地域でできたなら、きっとこの街で働こう。この街で暮らそう。と思う若者が増えるかもね!
不登校児の1日遠足。不登校でも楽しく目的地にたどり着く練習、またサークルでも続けてみます。目的地も、ゆくゆくは本人たちに決めてもらう予定です。平泉で過ごした後、電車にゆられて各自家路に着きました。
不登校サークル岩手南 「PLAY!」のサークル活動。人と出会い、「遊び」から楽しく学べた1日遠足でした♪
歩いて楽しいまちから学ぶものは大きい!